Dr.keiの研究室2-Contemplation of the B.L.U.E-

「生涯未婚率」-父子家庭への視座の欠如?!

 こんな記事があった。


50歳時点で一度も結婚したことがない人の割合である生涯未婚率(2010年時点)は、男性20・1%、女性10・6%と、初めて男性が2割台、女性が1割台に達したことが30日、わかった。  

政府が6月初めに閣議決定する2012年版「子ども・子育て白書」に盛り込まれる。  

1980年時の生涯未婚率は、男性2・6%、女性4・5%で、今回は30年前より男性が約8倍、女性が2倍以上に増えた計算。男女共に90年頃から生涯未婚率が急上昇している。  

年代別の未婚率を見ると、25~29歳では、男性71・8%、女性60・3%だった。30~34歳は男性47・3%、女性34・5%。35~39歳は男性35・6%、女性23・1%。 (2012年5月1日 読売新聞)

引用元
http://www.yomiuri.co.jp/komachi/news/20120501-OYT8T00128.htm


単純に考えて、男性の10人に2人、女性の10人に1人が、50歳の時点で一度も結婚していないことになる。

この現象の問題について、考えてみると、、、こんな問いが浮かぶ。

とりあえず、男性をとし、女性をと表記すると、

結婚
結婚
結婚
結婚
結婚
結婚
結婚
結婚
   
   

と、ここまでは分かるのだが、もう一人、女性(S子とする)には結婚している人がいることになる。

この女性S子は、誰と結婚しているのか。それが問題である。上のデータを読む限り、S子は結婚できていることになる。だが、結婚していない男性2人のどちらかと結婚しているわけではない。では、誰と結婚をするのか。

それは、結婚している一組の夫婦が離婚し、その離婚した男性と再婚しているから、こういう男女間のズレがあるのだろう。離婚した男性・女性の再婚率の比較のデータもあればよりはっきりとそれが言えるんだろうけど。

この話を前提とすると、男女の割合からして、離婚した男性の再婚率と、離婚した女性の再婚率の「ズレ」が、こうした男女間の「生涯未婚率」のずれにつながっているのではないか?、と思うのである。

もちろん、「結婚しないで生きていく」と決意している人もいるだろう。それもまたその人にとっての「価値」であり、決して否定されるべきことではない。結婚することが正しいとは誰もいえないし、結婚しない自由というのも尊重されるべきだ。が、この「ズレ」は、そういう価値の問題だけではない。

男性の再婚率は女性に比べて高い。それを前提とすると、離婚した夫婦のうち、男性の方が新たなパートナーを見つけやすい、ということになる。家族が増えるのである。

それを25万人いる離婚家庭の子どもの問題と重ねあわせてみると、次のことが考えられる。すなわち、その8割~9割が女性=母親に引き取られており、再び家族が増える経験をする可能性は低くなっている、ということだ。

経済面だけでなく、家族の再編という視点でも、父子家庭の増加は必須ではないか。虐待された子どもの家庭の8割が母子家庭だというデータもある。母子家庭は、貧困問題のみならず、家庭の再編問題をも難しくする。子連れの母親と結婚したいという独身男性がどれだけいるのか。上の話からして、子連れの父親の再婚よりは、可能性が低いと考えていいだろう。

僕がこのブログでもたびたび書いている「パッチワークファミリー」という視点からも、子連れの再婚家庭は、男女共に再婚同士が望ましい。父子家庭の男性と母子家庭の女性が再婚し、その間に子どもが生まれることで、パッチワークファミリーの「型」が生まれる。こうした新たな家庭は、日本では、まず父子家庭を増やすことから出発しなければならない。

感情論を捨てれば、男性(=父)が子どもを引き取る機会を増やす方が、より「合理的」である-無論、経済的基盤がしっかりしており、DV等のバイオレントな行為をしない男性(=父)に限定される話だが、、、-。(*ただし、DV的行為を妻にする男性が必ずしも子どもに手を出す、ということは言えない。DVは男女間の問題であり、親子の問題とは(つながっていないとは言わないまでも)切り離して考えるべきだろう)

現状としては、父子家庭の方が経済的に女性よりも強い。そして、再婚する可能性も高い。とするならば、母が引き取るよりも、父が子を引き取った方がよいのではないか。父子家庭を考慮した社会づくりは考えられないのか。日本では、まだ父子家庭字体が極めて少なく、父子家庭に対する配慮はないに等しい。

父子家庭を増やすことは、母子家庭の貧困問題を解決するための一つの大きな手段となる。貧困にあえぐ母子家庭の母親も、父子家庭の男性ならば、共感できることも多いだろうし、また共に一人で子どもを育てている「同志」でもある。「離婚」という過酷な経験も共有している。共に、結婚の難しさも分かっている。そういう男女が恋をし、そして、家族の再編を試みるべく、再婚し、共に子連れの再婚家庭を築く。そういうストーリーは描けないのだろうか。

このストーリーが実現すれば、独身女性が離婚経験のある男性と結婚するという現象が減る。そうすると、これまでいわゆる「バツイチ」や「バツ二」と結婚していた女性たちは、一度もこれまで結婚していない男性と結婚するしかなくなる。そうなった時に初めて、男性と女性の「生涯未婚率」は、それこそ平等になるのではないか。

母子家庭を考える際に、これまで盲点になっていたのは、父子家庭へのまなざしの欠如なのではないだろうか。そして、それこそが、生涯未婚率の男女間の歪みを生み、そして、また喫緊する母子家庭の様々な問題を生み出しているのではないだろうか。

人間は一人では生きていけないし、また、子どもにとっても、親的な存在は(たくさんはいらないけど)複数あったほうがいい。「片親だけ」=一人だけで、子育てをすることはやはり難しいし、子どものことを思うと、それは回避したい。けれど、「離婚」自体は、もはや否定できるものでもない。…

***

そんなことを考えさせた記事でした。

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