これまでのロックの歴史からすると、
カッコいいけど演奏がへたなバンドと、
演奏は超絶なんだけどヴィジュアルがイマイチなバンドが、
お互いの領域を侵さずに共存してきた。
いや、演奏が超絶なバンド(巧いバンド)は、
その演奏力にあぐらをかいて(あるいは無関心で)、
ヴィジュアルにこだわらないでバンドをしてきた。
だが、巧さだけでファンを引きとめることなどできるはずもなく、
惜しまれつつ消えていったバンドも決して少なくない。
演奏が巧くて、それでヴィジュアルも突き抜けてる、
そんなバンドはいないかなとずっと思っていた。
DEAD ENDやREACTIONや44MAGNAMといった元祖を除けば、
SIAM SHADEがまさに演奏とヴィジュアルを究めたパイオニアだった。
ガルネリウスもこれまでの「ダサウマ」を覆す要素を持っていた。
ヴェルサイユも超絶プレイと超絶コスプレで話題を呼んだ。
最近では、摩天楼オペラがその座を虎視眈々と狙っている。
見た目と演奏力、どちらも突出しているバンド。
これが今の時代の一つのキーワードだろう。
で、そんな今の時代を象徴しているのが、
現在、インディーズシーンで活躍中のDELUHIだろう。
DELUHIを知る人は、まさに現代のV系の頂点を知っていることになる。
DELUHIは、今のシーンに立ちながら、一歩先を見ている。
近未来的な要素を多分に含んだバンドになっている。
もちろん見た目における妥協は一切ない。
これだけカッコいいバンドは久々に見た気がする。
四人のキャラがしっかり立っているというか、
それぞれに個性が付着していて、見るものを引き付ける。
それでいて、とんでもない演奏力をもつ。
現代的なメタル/ハードコアの要素を取り入れつつも、
基本的にハードロック/へヴィーメタルのバックボーンを持つ。
変則ビートや3連・6連…何連か分からないくらいの不規則リズム。
怒涛のツーバスワークもDELUHIの魅力中の魅力だろう。
それに一切妥協なしのJuriのシャウトとメロディー。
さらに、英語を超えた訳の分からない造語?あるいはヒンディー語。
英語で歌うのは20世紀のスタイルだと言わんばかりに、
21世紀型のマルチカルチャー的な言語観を見せつける。
本作の「Yggdalive」は、完ぺきに彼らの造語だろう。
「生きたYggdrasil(ユグドラシル=北欧神)」という意味かな。
yggrが「恐ろしい」、「酷い」という意味らしいので、
「醜い生」、「驚愕の生」とかとも訳せるかも。
く~・・・
こいつら、若いのに凄すぎます。
ルックス、演奏、言語力、どれも最強レベルなのだから、
恐れ入るとしか、言いようがない。
本作はこれまでのDELUHIを踏襲しつつも、
また新たな地平を切り開こうとしている意欲作となっている。
最後の「星のない夜に」は、J-POPとしても成功しそう。
最強のバラードは必聴でございます!
ただ、やはり一つ思うのは、
楽曲のインパクトの弱さかな、という。。。
演奏も歌もいいんだけど、もちろんシャウトもいいんだけど、
歌がちょっと地味というか、メロディーがぱっとしないんだな。。。
X JAPANとの比較で言えば、曲でぐわっと惹きつけられない。
「巧いなあ」とは思っても、「うわ~いいメロディーだわ」とは思えない。
ラーメンでいえば、「凝ってるけど、美味しさで何か足りない」という。
多分、コンセプトの問題だと思うんだけど、
DELUHIの音から、何らかの世界観が思い浮かばないんだよな。
本来なら北欧、あるいは中東なんかが思い浮かんでもいいんだけど、
景色が浮かばない。。。
でも、それは今後越えていってもらいたいところだな。
北欧メタルや欧州メタルって、聴いてて情景が見えるんだよな。
だけど、逆に欧米の人たちはそういう情景がないところに、
惹かれているとも言えないわけで、、、
文句なしのヴィジュアルでしょ!!カッコよすぎです☆