9月7日、とても残念なニュースが発表されました。
あの藤崎賢一が、2010年をもって音楽活動を休止する、というのです。
以下、藤崎さんのHPからのコメントを引用します。
いつも藤崎賢一を応援して下さり誠にありがとうございます。
皆様に今後の音楽活動に関するお知らせがございます。
現在、制作を行っております「Monthly RODROCK 2011 #4」および、The Buddyミニアルバム「DIRTY BLUE BIRD(仮)」のリリース後、2010年をもちまして音楽活動を休止する事と致します。心身における健康上の理由によるものでございます。…
現在の「Monthly RODROCK 2011 #4」、The Buddyミニアルバム「DIRTY BLUE BIRD(仮)」の制作の状況でございますが、「Monthly RODROCK 2011 #4」は残すところ、ミックス、マスタリングでございます。各パートの録音自体はすべて終了しておりますが、藤崎の体調の都合により最終仕上げが遅延しております。「DIRTY BLUE BIRD(仮)」に関しましては、歌詞の手直しおよび2曲のヴォーカル録音が残っております。こちらも藤崎の体調の都合により完成が遅延しております。これらの作品を既にお申し込み頂いております皆様にはお待たせしており大変申し訳ありません。少しずつではございますが、完成に近づいております。
一日も早い完成を目指し引き続き努力致します。今暫くお時間を頂戴します事を、何卒ご理解の程宜しくお願い申し上げます。
この音楽活動休止に伴い、ベスト盤のリリースを致します。2007年〜2008年までの2年間のリリース作品の楽曲をセレクトし、リ・マスターを行った完全限定受注生産2枚組ベストアルバム「KENICHI FUJISAKI 2007ー2008(仮)」をリリース致します。近日より受付を開始致します。詳細は追って当オフィシャルサイトおよびBeメールニュース配信にてお知らせ致します。
「Monthly RODROCK 2011 #4」リリース後は、2009年〜2010年までの2年間の楽曲をセレクトし、リマスターを行った、こちらも完全限定受注生産2枚組ベストアルバム「KENICHI FUJISAKI 2009ー2010(仮)」をリリース致します。受付開始時期、詳細等はお待ち下さい。
2002年からの音楽活動、またそれ以前におきましても、藤崎賢一の音楽活動をご支援下さり、応援して下さっております皆様方には、永きに渡り大変暖かいご声援を頂きました事を心より感謝致しております。本当にありがとうございます。
活動休止までどうぞ宜しくお願い申し上げます。
BEATSKY,LLC.
2011年9月7日
引用元
http://fujisakikenichi.com/main.html
この活動休止は、「心身における健康上の理由」によるもの、と説明しています。また、現在既に体調がよろしくないということも記載されています。
Mein Kampf~Justy-Nasty時代から、Six~ソロ時代に至るまでずっと彼の歌を聴いてきた僕としては、なんか漠とした寂しさがこみあげてきます。藤崎さんは、1967年生まれということで、現在44歳だと思います。
44歳というと、身体的にも色々と問題が起こり始める年齢だと思います。決して若くないですよね。働き盛りでもありますが、でも、色んな病気や障害が出てくる年齢だとも思います。藤崎さんの容体はあまりよろしくないのでは?と心配になってしまいます。
でも、もし身体的な理由であれば、活動休止にするかどうか。治療に専念する、ということをしっかり明記すると思うんですよね。だから…
少し話がずれてしまいますが、思うことを書きたいと思います。
藤崎さんは、きっと今の若い子たちは誰も知らないと思いますが、80年代末期~90年代にかけて音楽シーンを駆けぬけた最高にカッコいいボーカリストの一人でした。インディーズの頃は主に大阪で活動していて、そのアンダーグラウンドな活動がテレビの報道番組で紹介されるほどの人気でした。
デビュー後も、順調にシーンを駆け上がり、お茶の間に登場し、数々のTV番組に出演していました。当時、彼らが登場するTV番組は全部VIDEOに録画していました☆ いわゆる現在のヴィジュアル系に一番近いバンドで、最もメディアに出ていたバンドの一つが、このJusty-Nastyでした。
その後、SPYという謎のバンド(?)を経て、CRAZEという大物ONLYのバンドを始めました。デビューシングルのNAKED BLUEは、勢いとパワーと情熱溢れる最強レベルのビートロックナンバーでした。(僕も、例にもれず、よくライブに行きました♪)
大ブレイクになるか?!と誰もが思うような「完璧なバンド」でした。
が、二枚目のアルバムを出し、いよいよ…という矢先に、藤崎さんが突然の脱退、というショッキングな出来事がありました。まぁ、その彼の歩みについては、ウィキペディアに記載されているので、そちらをご覧頂くとしまして、、、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%97%A4%E5%B4%8E%E8%B3%A2%E4%B8%80
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彼の半生を振り返ると、音楽の世界で生き続けることの難しさ、ロックスターの生きづらさみたいなものを感じずにはいられません。80年代~90年代にかけて、すごい人気のあったボーカリストです。一時期、音楽活動から身を引いていましたが、その後も復活し、地道に活動していました。が、雑誌、メディアで話題になることはほとんどありませんでした。また、往年のファンが聴きたい音と、彼がしたい音の間にもギャップみたいなのがあって、熱心なファンでもあまり彼の今の音を聴かなくなりました。
いや、というよりも、彼のファンたちもすっかり大人になり、音楽にすがることがなくなっていったんだと思います。ポピュラー音楽~ロックって、若者の文化に属しますし、歳をとれば、ほとんどの人がロックの世界から離れていきます。それに、ロックは同時代性が強いので、世代を超えて愛されるということはほとんどありません。バンドとしても、世代を超えられるのはほんの数バンドだけでしょう。それでも、やはり次の世代のメイン・ストリームにはならない。
僕自身がロックの世界に限界を感じたのは、ずばりそこでした。「ロックじゃ、次世代の人間に何かを訴えられない」、と強く感じたのが、18歳くらいの時でしたかね。僕は、ロック=若者へのメッセージだと思っていたので、自分のメッセージが同時代人にしか通用しないことに愕然としたのを今でもはっきりと覚えています。だから、僕はロックの世界を断念し、学問の世界、教育の世界に飛び込みました。
その当時、1995年~2000年は空前のヴィジュアル系ブームでした。自分と同じ時期にインディーズで活動していたバンドが次々に売れて、大ブレイクしていくのを見ながら、必死に勉強していました。同じライブハウスで同じように売れずに(笑)活動していたバンドがブラウン管上で活躍している姿をみて、「羨ましいなぁ」と思うことも多々ありました。
が、今になって思えば、ですが、バンドで生きることを止めて正解だったかな、とも思うんです。負け惜しみかもしれませんが、やはり自分の能力からすると、どんなに頑張っても、生き残れなかったと思うんです。多少、売れることはあっても、今現在に至るまで売れ続けることは絶対になかっただろうし、たとえ一度売れたとしても、すぐに過酷な状況に置かれていたはずです。しかも、この業界、一度衰退すれば、二度と元のように売れることはないんですよね。ごくたま~に、再ブレイクする人もいますが、それとてものすごい天文学的数値の割合でのことだと思います。
一度脚光を浴びて、その後、その脚光に後ろ髪をひかれながら、厳しい状況下でバンドを続けていく、音楽を続けていくというのは、本当に大変なことだと思います。誤解を恐れずにいえば、二度と売れないという前提のもとで、静かに、地道に、コツコツと音楽を続けていく、それほど過酷なことはないだろうな、と思うんです。ただ純粋に音楽が大好きという人ならば、それで幸せかもしれません。が、僕は「ロック=メッセージ」だったので、きっと耐えられなかったと思います。
藤崎さんがどういう気持ちで、どういう想いをもって、音楽活動を続けていたのかは分かりません。でも、恐らく、ものすごい苦悩や葛藤やジレンマややるせなさみたいなものを抱えていたんではないか、と思います。あれだけ大成功し、大きなホールで歌ってきた人ですからね。ある種、ヴィジュアル系の元祖的存在でもあるわけだし、メディア的にも大成功していたわけですし。
でも、まだ藤崎さんも44歳。若いといえばまだお若いです。僕ら研究者の世界では、39までが「若手」ですからね(苦笑)。まだ、この先は長いです。…とはいえ、44歳にもなれば、音楽の世界から別の世界に行くことも容易ではないでしょう。音楽活動一本できた人が再就職できる場所というのは、どれだけあるでしょうか。想像するだけで、その苛酷さに身が震えそうです。今の社会、再就職が容易にできるのは、だいたい35歳までです。35歳を過ぎると、本当に、就活は厳しくなります。
本来なら、何歳になっても、就職が容易にできる社会が望ましいんですけどね。それはなかなか現実的には厳しい話ですよね。
藤崎さんがこの記事を読んでくれるとは思いませんが、かつてのファンとして、心の奥底から、心配し、そして、藤崎さんの人生、未来を祈っています。究極的には、生きていてくれればそれが一番の喜びです。僕自身、かつてのファンとか言っておきながら、全然藤崎さんにお金を使ってないですからね(汗)(でも、一般発売された音源は全部買ってますよ!!(苦笑) インターネットの通販はややこしくて無理です、はい)。
僕は、藤崎さんの声を中学時代からずっと愛していました。覚えています。不登校だった時、稲毛のマリンピアに母親とレコード店に行って、Justy-Nastyのアルバムを買って、平日の日中に家で大音量で音源を聴いた日のことを。教育センターみたいなところに連れていかれることになって、「Justy-NastyのCDを買ってくれたら、行ってもいい」と母に交換条件を叩きつけたことを。14、15歳の頃かな。だから、藤崎さんの声は、僕の人生の半分くらい、聴いているんですよね。
だから、これから先もきっとずっと藤崎さんを応援していますし、これから先も藤崎さんの歌を聴き続けたいと思います。
最後に、僕が彼の一番好きな曲と、ソロ作品の中で一番好きな歌を2曲。
JUSTY-NASTY - あすも夢を
Kenichi Fujisaki
http://www.youtube.com/watch?v=y7Ya5OZyE3I&feature=related
(この曲も好き♪)