中沢新一氏の本は初めてです。
先に読んだ本(「日本の歴史をよみなおす」)の著者網野善彦氏の甥にあたるというただそれだけの繋がりで読んでみました。
この本で、中沢氏は、縄文時代の地図を現在の東京に重ね合わせて、様々な街の相貌や内包する精神性のようなものを掘り起こして行きます。
中沢氏によって語られる根拠や論旨は、すべてがすべて首肯できるものばかりではありませんでした。が、全く別の視座・価値観からの思索のプロセスを追いかける楽しみは十分感じることができました。まあ、よくこんな突飛な思いつきをするものだと感心?しましたし、確かにそうかもしれないと妙な納得感を抱くところもありました。
中には、
(p180より引用) 商品には、たんなる実用の世界の価値を離れたところがなければならない。ちょっと現実を離れた部分があってはじめて、人々の無意識の欲望に触れる、魅力的な商品が生まれるのである。
といったちょっと参考になるコメントもありました。
青山がファッションの街となった訳、銀座が宝石と広告の街になった理由、いま流行りの秋葉原の源流、東京タワーの意味・・・、
中沢氏ならではの感性による解読と意味づけが、ある種別世界の心地よい刺激にも感じられます。
「多様性の受容・活用の実地訓練」というとあまりにも堅苦しい言い様ですが・・・。
好悪の分かれる本だと思います。