これも妹尾堅一郎教授の言われるプレゼンテーションの極意のひとつです。
プレゼンテーションは、相手への「プレゼント」です。
「プレゼント」するときは、相手の好みを考えて贈り物を選ぶはずです。決して「自分が好きなもの」を贈るのではありません。
したがって、プレゼンテーションは、「自分が話したいこと」ではなく「相手が聞きたいこと」を話さなくてはなりません。相手に気に入ってもらわなければ何の意味もありません。
繰り返しになりますが、「プレゼンテーションは聞く人のため」です。あくまでも「聞く人が主役」です。
とすると、「プレゼンテーションは相手に合わせ」なくてはなりません。たとえば、相手の態度を見ながら説明のポイント・テンポ・話し振り等を変える必要があります。
特に気をつけるのは聞き手の視線です。プレゼンテータは、プレゼンテーション中に、常に、聞き手の「キーマンの視線」に気を配らねばなりません。
実際のプレゼンテーションは、スクリーンにスライドを写しながら行いますが、しばしば説明用スライドをコピーしたものを聞き手に配布する場合があります。
この場合、プレゼンテーション中に、聞き手が「資料の先のページ」をめくっていたら要注意です。この場合は、何がしかの部分でプレゼンテーションの進め方を変えなくてはなりません。
なぜなら、相手が資料の先を見ているというのは、そのとき説明している内容には集中していないということだからです。
すなわち、
- 「①そのページは理解した」か、
- 「②そのページに、関心がない」か、
- 「③プレゼンテーション自体に興味がない」か、
のいずれかなのです。
①②の場合であれば、サッサとそのスライド(ページ)の説明は切り上げて次のスライドに移ります。
ただ、③の場合はどうすればいいでしょう?
この場合は、ともかく以降の説明はメリハリをつけてポイントだけを話し、早めに切り上げることです。
聞きたくない話を延々と続けられると、相手は間違いなくイライラしてきます。こういう不満が高まると、相手に対して決定的に悪印象を植え付けてしまいます。
そのときのプレゼンテーションは失敗だったとさっぱりと諦めて、次回のチャンスのためにマイナス印象を少しでも減らしておくのが得策です。
プレゼンテーションは、自分のペースで話し切って自己満足しても、相手に気に入られなければ全く無意味なのです。