日記

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「代筆屋」 辻仁成

2022年01月20日 | 読書

昨年読んだ「作家の値うち」では辻仁成氏が(私が考えている以上に)高得点だったので、読んでみた。この作家は、今はなきすばる文学賞でデビューし、のちに芥川賞も取り、以後コンスタントに作品を発表している。

私生活では歌手で女優の中山美穂さんと結婚、離婚し、一人息子さんとパリで生活していて、パリの情報もいろいろなメディアで発信している人。

あらすじ。

駆け出し作家だったころの私は、行きつけの喫茶店のマスターの紹介で、ひょんなことから人の手紙の代筆をアルバイトにしていたことがある。それを思い出して、シチュエーションは変えて紹介してみる・・・が導入部。

最近の若い人は私信としての手紙を書くのは稀と思うけど、逆に言うと一字ずつ手書きの手紙は、文や字の巧拙を越えて、相手に与えるインパクトは昔以上だと思う。その「重さ」が面倒だとしても、うまくいったとき効果は絶大、その後の人生を変える力もある。

それを前提としてこの作品を読んでみたら、やはりメールやラインでは表せない細かな心のひだ、そして面と向かっては気恥ずかしい決め台詞も、手紙に載せると総違和感もない・・・そのように描いた作品だと思った。

それはやはり手紙の独壇場かもしれない。便箋と封筒を選び、筆記具に気を遣い、書いて封をして切手を貼ってポストへ落とす一連の動作が、今の時代となってはあたかも伝統芸能の所作のようにも思ってしまう。

相手に手紙が届き、返事を待つ間の心の揺れ。来れば嬉しいけれど、来なければ待つ。いつまで待つ・・・そうやって待ちくたびれて尻切れトンボになった関係の一つや二つ、私たち世代の方なら身に覚えがあることでしょう。

通信手段は手紙、はがき、一家に一台の固定電話、電報しかなかった時代。恋愛もまた様式にのっとった奥ゆかしいものだったのかもしれない。今の若い人の恋愛事情が分からないので。

いえいえ、私の感想などはどうでもよろしい。

「作家の値うち」の中では77点と及第点。

小さな出版社に頼まれ、辻氏は気負わずに書いた印象。短編集なのでどこからでも楽に読める。悪い人が出てこない。悪く見えても、手紙を書いてもらうために自分の思いを口に出す時点で、気持ちの整理がつき、次の一歩が踏み出せている。

すごく前向きの作品と思った。そこがまあ、長く生きてきたばあちゃんには物足りない面もあるのですが。


尋ね猫

人見知りで臆病な大型猫、ポン太くんが二週間ほど前に家出したそうです。

知り合いではないのですが、近所に住む人がこのビラを持って来られました。

ボン太くん、この寒空の下、どこでどうしてる?

おうちの人がとっても心配しているので、早く帰りましょう。

それとも迷っている時に誰かに保護されて、そこのおうちの子になったのかな。

飼い主にとっては大切な家族。早く出てくるといいですね。

「野良猫が集まるところ、知りませんか」

「最近はエサをやらなくなって、猫も減りましたよ。うちの庭には時々糞をしに来る猫がいますけど、気を付けて見てみます」という会話を昨日はしました。

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団塊の世代

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