どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設19年目を疾走中。

どうぶつ・ティータイム(57)A

2008-08-15 17:05:56 | 自然
   
  雨上がりの白根方面をのぞむ

 少々騒がしかった浅間山の微振動は、その後大きな変化もなく推移しているようだ。一応偵察に行っているが、前回あわやと思った噴煙の状況は、風向きによって雲を巻き込んだ気流のなせる現象で、やはり当方の誤認による早とちりという結果になった。

 さて、昨14日は各地で花火大会があったらしく、ルート146号の北軽井沢でも恒例の催しが繰り広げられた。
 旧盆で帰省中の者、観光客、近在の人々それぞれがクルマで集まってきて、身動きできないほどの混雑となったようだ。

 しかし、この時季の花火大会は主催者泣かせの進行となる。高原特有の気象状況に一喜一憂させられるからである。
 この日も午後三時過ぎからゴロゴロと鳴り出し、たまたま出かけていた草津でも小一時間豪雨に閉じ込められたのである。

 雨が上がりかけたので、この隙にゆっくりと家に向かった。国道145号に至る下り坂は、周囲の木々や滝が放つマイナスイオンが満ち満ちていて、爽やかな涼気の流れに身をさらしていると欲も得もない心境になるから面白い。

 羽根尾でルート146号に戻って、軽井沢方面への坂を駆け上がる。途中沿線随一の絶景ポイントに差し掛かると、この日もまたため息の出るような展望を用意してくれていた。

 クルマを停めて、四阿山から白根山そして遠く群馬・新潟県境の山々を見渡す240度ほどのパノラマ風景に見惚れる。
 激しい雷雨が上がって直後のみずみずしい空が、茜色に染まっている。
 白根山に連なる峰がムラサキに帯を引き、その下の白雲とともに巨匠の筆の跡を眺めているようだ。

 草津から下りて来たあたりの森は、一足早く暮れようとしている。
 目立たないが霧を生み、雲を育てるイオンの森だ。道沿いの食堂や民家もともに暮れていく。
 小動物も生活の煙も分け隔てなく呑み込まれる。自然は遠目には大雑把なのだ。幕のような夕闇が、そこまで来ている。

 雲は光を独り占めしてますます朱くなる。5分後の大空はまさに真っ赤な夕焼け雲でいっぱいだ。
 季節季節に届けてくれるこの地の景観は、一日一刻けっして同じことがない。
 写真を撮っていると、後続の車両が前方まで行ってから停車し、カメラを手に人が降りてくるのがほほえましい。

 家に戻って食事が終わるころ、ズドン、ズドンと花火の揚がる音が響いてくる。
思わず腰を浮かし加減になるが、結局行くのを諦める。
 会場まで近づくのが容易ではないし、全体に億劫な気分が体を支配しているのだ。
(なんとか開始時刻までに雷雨が上がってよかった・・・・)
 去年の花火大会を思い出しながら、早くも目蓋が重くなるのをとどめられなかった。

 続けて、(57)Bとして雨上がりの夕焼け雲を投稿します。

 

 

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1 コメント

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これぞ天然美 (丑の戯言)
2008-08-16 12:05:51
(A)と(B)の画像、うっとりと眺めさせてもらいました。すばらしいですねぇ。

常々、シャッターチャンスを狙いながら駆け巡る筆者の真摯な姿を彷彿させられます。
昨今はそれが浅間山から白根山へもカバーしようとされているようで、そう言ってはなんですが、トシをとっても心は若者だなあと。
      
思い出すのは、白根山の麓にわれら仲間が遊んだときのこと。やけに冷たい風に吹き下ろされていたからでしょうか、仰ぎ見る白根山がいっそう嶮険に見えたものです。
当然、今より若かったあのころ、回顧されますよ。

写真、ますます好調のようで、次回にも期待。

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