黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

長崎さるく #14 聖福寺2

2009-04-29 03:22:04 | 長崎さるく
前回からアップしている
長崎市内にある唐寺のひとつ、聖福寺の続きです。
この寺は「瓦」にまつわるものも面白いものがある寺です。



山門から大雄宝殿へいく途中の土壁と瓦は、
その部分だけ見るとさながら荒れ寺のような趣ですが、
これが補修費がなくそうなっているのか、
それともあえてその状態で保存しているのかは、
とっても気になります。
とにかくいい具合なんです。







境内には瓦をありえない積み方をして構築した塀がいくつもありますが、
なかでも最も目を惹くのは大雄宝殿の横にあるこの瓦塀です。
明治初期に聖福寺の3末寺が廃寺になった際に、
その寺々の瓦を集めて作られたそうですが、
これがまた凄いですね。







猿の面のようにみえる鬼瓦や右上には魚も見えます。
前回アップした魚板に限らず、魚にまつわるものは唐寺に多く、
この聖福寺の前にアップした宗福寺の境内の壁面にも、
魚のレリーフが施された所がありました。
また中央上部には桃の形が見えますが、
長寿を意味する桃は境内の他の場所にも、
いろいろな形で施されています。

ちなみに瓦塀の中には煉瓦が積まれている様ですが、
かなり厚みのない煉瓦の様に見えます。
この塀が明治の初期に造られたことと考え合わせると、
これもまた蒟蒻煉瓦の遺構ではないかと思います。







素晴らしい瓦塀の奥の階段を昇ると、
大雄宝殿の裏面を高台から眺められる場所へ行け、
さらに階段が急勾配なので、大雄宝殿の屋根瓦も間近に見る事が出来ます。
屋根の四方を守る鬼瓦。
これまた目も血走っていてリアルな形相ですね。







崩れかけた屋根瓦の間からは草が育ち、
いい雰囲気を醸し出しています。







最後は大雄宝殿の裏側の瓦を上から見てみます。
つやがある箇所が何カ所もあるので、
かつては着色されていたかあるいは上薬や釉薬が、
塗られていたんではないでしょうか。

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