黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

長崎さるく #26 グラバー園

2009-07-17 01:32:28 | 長崎さるく
まだまだ続く長崎さるくです。
今日はグラバー園。
これもまた出島と同じ位有名なスポットなので、
全部取り上げていてはきりがありません。
なので気になるポイントだけピックアップ。



長崎港が一望できる、
最高のロケーションに建てられたグラバー邸は、
瓦屋根が乗った国内初の木造洋館。
それにしても長崎には「国内初」の多さに驚かされますが、
そのうちの重要なもの、例えば、
国内初の蒸気機関車 (アイアンデューク)、
国内初の洋式炭鉱技術 (高島炭鉱)、
国内初の西洋式ドッグ (小菅修船場)、
そして国内初のビール (キリンビール) など、
全てこのグラバーさんの息がかかっているのも驚きです。



グラバーさんの奥さんだったツルさんを、
モデルにしたと言われるオペラ『蝶々夫人』にちなんで、
園内にはプッチーニの彫像が飾られています。
園内でもこの付近は緑が深く、一番いい雰囲気なんですが、
その木陰を見てみると…



国内初のアスファルト舗装道路があります。
またまた出ました!国内初。
これはグラバーさんの息子、
富三郎さんが作ったものだそうですが、
その付近には石造りのローラーが安置され、
これまた国内初のテニスコートの名残だそうです。



グラバー邸の邸内には、
幕末の志士をかくまう隠し部屋や、
キリンビールのマークのモデルとなった獅子像など
いろいろあるのですが、それはさておき、
150年前の開国当時の西洋料理を再現した食堂があります。
さすが食玩の国ですね。
鹿の股肉の丸焼きや鴨肉丸煮、
猪の塩胡麻焼きや伊勢エビのスープなど、
野菜が不足しがちなメニューだったようですね。



そしてそれらの料理を作っていたと思われるのがこの厨房ですが、

なんと床が蒟蒻煉瓦じゃないですかぁ!

しかも平並べではなく立てて敷き詰めてあるので、
まるで壁を倒して床にした様に見えます。
もっとも蒟蒻煉瓦は薄いので、平置きにすると脆いため、
床材として使う場合はこうやって使うのが
普通だったのかもしれませんね。

至れ利尽くせりのグラバー園でした。

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4 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ちび太郎)
2009-07-17 09:36:13
長崎ものの紹介ありがとうございます。
的確な解説に「うん、うん!」とうなずいています。

長崎はどこを歩いても「日本で初めての・・・」があまりに多すぎますね。
そんな近代文化発祥の地でありながら、今の長崎は元気がないように感じます。

S34年発刊の「長崎への招待」というガイド本があります。
H7年が最後の改訂で7冊ほど発行されているようです。
古本を取り寄せて、変わっていく長崎の様子を本の中で確認しています。
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▼ちび太郎さんへ (廃墟徒然草)
2009-07-17 18:38:56
何十回と長崎へ行っていながら、
ごく最初の頃に大浦天主堂を見ただけだった長崎。
今年になって初めて市内を見て回ったので、
こうして「初めての感動」をアップしています。
でも、ありきたりな解説ばかりですみません(汗)

ほんとに長崎は国内初三昧ですね。
おくんちの精神に「風流(ふりゅう)」というのがあって、
人を驚かせるために技巧を凝らすそうですが、
そういった文化あっての国内初三昧なのかな、
とも思ったりします。

昔の長崎を知らない人間から見れば、元気がある街のように見えますが、
かつての長崎はもっと元気があったんでしょうね。

『長崎への招待』に見る長崎の変遷、
とても興味深いですね。
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こんにゃく (terashima)
2009-07-17 20:10:47
長崎に行くようになってから「こんにゃくレンガ」の存在を知り、大好きになりました。
細さがかわいらしいです。

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▼terashimaさんへ (廃墟徒然草)
2009-07-18 05:52:37
私も長崎へ行く様になって初めて蒟蒻煉瓦をしりましたが、
妙に魅力を感じる煉瓦ですね。
市内のどこにでもあったら、それほどではないのかもしれませんが、
たま~に見つかるので、嬉しいのかもしれませんね。
これからも長崎へ行ったら、いろいろ探してみようと思います。
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