黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

池島炭鉱十年の変貌 02シップローダー

2017-06-05 15:30:50 | 池島炭鉱
第二の軍艦島といわれる、
軍艦島と同じ長崎市にある炭鉱跡<池島>の全貌をまとめた、
『池島全景 離島の《異空間》』(三才ブックス)の発売記念として、
書籍に収録できなかった池島を、シリーズでお送りしたいと思います。

取材で通った2004年〜2017年の約12年の間に、池島がどう変わったか。
今回は、池島港で最も存在感のある重機<シップローダー>です。

池島炭鉱の港にあるシップローダー

画像は『池島全景』にも収録した2013年(平成25)の様子。
シップローダーとは、
製品になった石炭を石炭運搬船へ積み付ける産業機器です。

右に写る細長い建屋の中にコンベアがあり、
右から左へ移動した製品炭が、
左寄りに写るアーム状の機器から、
石炭運搬船へ積み込まれる仕組みです。

アームは下降して船に近づき、
さらにアーム先端の機器も下方向へ伸張します。
アームの先端に装着された機器がトリンマー。
付近に掲示された説明書をはじめ、
シップローダー全体をトリンマーと解説しているのをよく見ますが、
トリンマーは、この先端に装着された機器の名称です。





池島炭鉱の港にあるシップローダー

そしてこの画像が2014年(平成26)の様子。
製品炭を運んだコンベアの建屋がなくなっています。
コンベアの下の道路が県道のために、
安全性を考慮して撤去されたそうですが、
このコンベア建屋がなくなることで、
シップローダーと製品炭の繋がりが、
よくわからなくなってしまいました。

それほど幅が広いわけではないコンベアの建屋。
同じ工事費用をかけるなら、
なぜ補強費用にしなかったのか、疑問です。





池島炭鉱の港にあるトリンマー

画像はトリンマーの石炭噴出口のアップ。
先端部分は360度回転し、5段階の噴出力で、
石炭運搬船の船倉にまんべんなく石炭を積み付けます。
シップローダー本体が左右に移動しないかわりに考案された、
国内の炭鉱では、現時点で最終段階の船積み技術といえます。





釧路炭鉱のトリンマー稼働時の様子

池島のトリンマーが稼働している映像はありますが、
画像がないので、
釧路炭鉱の稼働中の画像を添付しておきます。
トリンマーの右の噴出口から、
勢い良く石炭が排出されているのがわかります。


“第二の軍艦島”といわれる、九州最後の炭鉱のあった池島の全貌を、
12年以上の取材と400枚超の写真で紹介する国内初の池島本。
『池島全景 離島の《異空間》』絶賛発売中!!