京浜工業地帯のど真ん中を貫通するように走るJR鶴見線。
その支線に<石油支線>という変わった名称の支線があり、
しかも何十年も廃線状態だと言う話を聞き、
見学に行ったときのレポートです。
そもそもこの全長10km程度、
本線の駅が10駅しかない、
工業埋立地を貫通するJR線は、
各埋立地にある事業所へ行くための、
工場通勤専用線的な役割が強い路線だと思います。
事実、今回見学に行った石油支線の隣の支線<海芝浦支線>の終点、
<海芝浦>は、一般乗客でも行くことはできるものの、
改札から出ることはできません。
改札から出られるのは駅の先にある東芝の関係者だけで、
一般乗客は駅構内に造られた小さな公園で時間をつぶすか、
プラットホームから見える海を眺めて引き返すしかありません。
※この海芝浦支線は廃線ではないので、
このblogでとりあげることはありませんが、
<海芝浦>の光景は、この特集をアップするきっかけを頂いた、
Roc写真箱のGG-1さんの海芝浦の黄昏をご覧下さい。
JR鶴見駅から鶴見線に乗って3つ目の駅<鶴見小野>あたりを越えると、
それまで近郊都市のマンション街を走っていた光景から、
にわかに住宅が減り、かわりに工場系の風景にかわっていきます。
そして鶴見から約10分、
石油支線への分岐駅<安善駅>に到着したので、
電車を降りることにしました。
昼の時間だったせいもあるのか、
乗降客は私一人だけでした。
電車がいなくなると、構内にヤードが広がり、
<石油支線>という言葉を裏付けるように、
石油のタンク車が何台も停車しています。
さて改札をでようとすると、
あたりに駅員さんの気配が全くありません。
かつて出札のための窓口だっただろうと思われる窓はありますが、
もう相当長い間使用されていない様子です。
もともとsuicaで乗車してきたのを、
鶴見駅の構内改札で切符に交換させられたのはこのためです。
年期の入った集札箱に切符を入れ、
<石油支線>に向かって歩き始めました。
因みに鶴見線は、鶴見駅以外全駅無人駅ですが、
全線無人化が施行されたのは遙か昔の、
昭和46年(1971)のことだそうです。
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■シリーズ:鶴見線石油支線■
・#01 鶴見駅・本山駅
・#03 安善駅踏切・浅野総一郎
・#04 米軍油槽基地
・#05 安善橋・鶴見線の駅名
・#06 車止め・昭和10年の沿線案内
・#07 踏切・戦後の鶴見線
・#08 ヤード跡・安善町の石油会社
・#09 石油埋立地の意味
・#10 浜安善駅・京浜の発展と衰退
・#11 鶴見線と京浜の未来
・#12 最終回