阿里山森林鉄道祝山線と神木線が6/19より運行再開

（阿里山森林鉄道の運行再開で牽引役を担っている31番蒸気機関車は1917年11月に製造されたもの、阿里山森林鉄道を走行する蒸気機関車の中で性能が最もいいものでもある。）

　世界三大森林鉄道として名を知られている阿里山森林鉄道は昨年8月に台湾を襲った台風8号で大きな被害を受けた。阿里山森林鉄道を経営していた民間の会社、宏都阿里山公司は期限となる3月15日に全線の修復計画を提出することができず、しかも、相談せずに一方的に阿里山森林鉄道の運営を放棄し、契約通りにホテルを建設することもしなかったため、阿里山森林遊楽区の所轄機関、行政院農業委員会林務局は契約に基づいて3月22日に宏都阿里山公司に運営委託中止届けを出して阿里山森林鉄道の経営権を回収した。

　数ヶ月間の復旧作業を経て、阿里山森林鉄道の祝山線（祝山のご来光を拝むにはよく利用される路線）と神木線（阿里山のランドマーク神木に行く路線）の運行が19日に再開された。運行再開を祝うセレモニーは阿里山の先住民族ツォウ族の「迎賓の舞」で幕を開けた。2009年アメリカのグラミー賞にノミネートされた台湾の太鼓グループ「十鼓撃楽団」は阿里山の聳え立つ神木たちからインスピレーションを得て作った「山の呼び声」を演奏し、阿里山森林鉄道の一部路線の運行再開を祝った。

阿里山の祝山線と神木線の運行再開を祝うため、
ツォウ族の少年と少女は19日、
阿里山駅前でツォウ族の伝統的な舞踊を披露してお客さんを迎える。

　嘉義県の張花冠・県長（県知事に相当）ら貴賓の拍手の中で、農業委員会の陳武雄・主任委員は蒸気機関車31号の汽笛を鳴らした。勇壮な汽笛の音が阿里山に響いた。午前11時、蒸気機関車31号は200人を乗せたヒノキ製の車両を牽引して祝山に向けて出発した。

汽笛を鳴らして再出発。19日、蒸気機関車31号は
農業委員会の陳武雄・主任委員が汽笛を鳴らす中、
ヒノキ製車両四両を牽引して祝山へ。

　林務局は乗客へのサービスを向上させるため、解説員による生解説を提供しているほか、19日から27日までの九日間の乗車は無料とする。20日から毎日午前９時、10時、11時、午後３時、４時に阿里山駅から神木駅までの列車が５本、午後２時に阿里山駅から祝山駅までの列車が１本運行されており、一日６往復だ。初期段階では一日当たり６往復から８往復の予定で、一回の乗車人数は200人が上限。祝山のご来光を拝むための「日の出列車」は25日の大型遊覧バスによる阿里山公路での走行再開に合わせて26日午前４時20分に運行が再開される予定。

阿里山森林鉄道の祝山線、神木線が19日に運行を再開。
接待係の阿里山の先住民族ツォウ族の少年と少女は
ヒノキ製車両に乗って祝山へ。

阿里山森林遊楽区は昨年8月、台風8号で大きな被害を受けたあと、お客さんが大幅に減少。19日は土曜日、しかも、祝山線と神木線の二つの路線の運行再開の日であったにもかかわらず、阿里山の駐車場にはバスが数台しか止まっておらず、以前の休日になると、駐車場に各種の車両が止まっていた盛況に比べて非常に寂しい。台風８号発生後、阿里山を訪れた行楽客は全盛期の十分の一に減っている。
駐車場はガラガラ。

阿里山森林鉄道は10ヶ月の修復を経て19日に一部路線で運行が再開された。
ツォウ族の少女はヒノキ列車に乗って車窓の外の美しい景色を眺めている。

　嘉義県政府は25日に予定される阿里山公路での大型遊覧バスの走行再開に合わせて「一人一千三、愛上阿里山（一人台湾元1300元、憧れの阿里山へ）」という一泊二日間の阿里山旅行プランを実施している。
農業委員会の陳武雄・主任委員は神木線と祝山線沿線には高山植物館、小笠原展望台、対高岳駅（台湾の最高峰・玉山を眺めるのにもってこいの場所）などの観光スポットがあると述べ、行楽客はこの二つの路線を利用してこれらの観光スポットをゆっくり楽しむよう薦めている。

祝山と小笠原山の間にある阿里山「高山植物園」展示館は19日に落成した。
貴賓らは阿里山香林小学校の児童による「阿里山の娘」の合唱にうっとり！
現在、山と森林の写真展開催中！

蒸気機関車31号は19日正午、祝山駅に到着！

　2008年6月、林務局は阿里山森林遊楽区の経営をBOT（建設、経営、移転）方式で民間の会社に委ねた。これは阿里山森林鉄道の運行が始まって百年来、初めて実施された民営化方案だ。民間企業宏都建設公司は同BOT案を落札した。宏都建設公司は台湾元17億元を費やして開発計画を進め、運営委託機関は33年間だが、林務局と結んだ契約に明記されている森林鉄道の運営、2009年９月14日に完成する観光ホテルの建設、北門駅の総合開発計画の三つの主軸をクリアできないほか、森林鉄道の運営を受託した後、列車が数回脱線し、列車の運転手のストライキが頻発、民間の環境保護団体も相次いで不満を示したなどから、所轄機関は契約に基づいて阿里山森林鉄道の経営権を回収した。

　阿里山森林鉄道を含む阿里山森林遊楽区は美しい森林、雲海、ご来光、桜の花、駅弁、わさび、高山茶などで国内外で名を知られている。中国大陸の観光客による台湾観光開放後、更に中国大陸の観光客が必ず訪れる観光名所となっている。阿里山森林遊楽区は今回の阿里山森林鉄道の一部路線の運行再開を契機として新たなスタートを切ることを期待。（旺）