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台北市の歩道が平らに~騎楼整平計画~

2009年11月07日 23時57分36秒 | 台湾日記

(「整平計画」の施された騎楼)

台北に来たことがある方は、歩道に段差が多いことで驚いたという思い出があるはず。台湾は雨が多いためか「騎楼」が多い。「騎楼」とは何か?台湾では建物が車道ぎりぎりに建てられている場合がある。しかし、人が歩くところが無くなるわけではない。建物の一階部分がちょうど歩道の幅ほど後退しているからだ。これが続いていると、ずっと軒下を歩いているような形で雨に濡れずに済む。この空間を「騎楼」と言う。中国大陸の広東省広州でも同じような建築様式を見た。雨が多いからと言う理由だったと覚えている。
雨除け、ならびに土地の有効利用としては理解できるのだが弊害があった。建物ごとに歩道部分の高さが異なるのだ。歩道を高くしてしまうのは台風などによる浸水を避ける手立てだというが、結果、歩道は段差だらけとなる。よそ見していると、つまづいたり空足を踏んだりして危険極まりない。お年寄りが大変なのは当然だし、さらには盲導犬の寿命も影響を受けると聞いた。

(段差のある騎楼)

(これもかなりの段差である)

そこで台北市政府では2002年から、「騎楼整平計画(騎楼平坦化計画)」をスタート。「騎楼」の高さを一定の長さで統一する、もしくは段差をスロープにして転倒を防ぐことにした。日本でいう町長に相当する里長さんたちはこのため、地元の人たちに同計画への協力を要請することになったが、一階部分は店舗が多く、工事は営業妨害となるため説得は困難を極めたという。「一週間の工事で一生の幸せを」と説得を続けて何とか着工すると、今度は工事に伴う通行障害、騒音、営業妨害だと不満が爆発、住民による工事阻止の動きも出た。そして7年。台北市の「騎楼」約17万メートルのうち改善が必要だったのは約11万メートル。2008年にはそのうち8万225メートルの段差を取り除くことに成功した。今年年末には全てが完成するという。

(左は車道。右はコンビニエンスストアの入り口。店舗に入れるように板を渡して工事を進める)

(右と左で高さが異なる。これをスロープにする)

(かなりの段差をスロープに直した箇所)

(階段とスロープ併用型)

今後は、この「騎楼」からスクーターを追い出すことが課題となる。「騎楼」にはもともとスクーターが大量に駐車され、歩行者の通行を妨げていたが、「整平計画」は実はスクーターの「騎楼」への乗り入れを楽にしたことになるのだ。スクーターを追い出さねば、「騎楼」を平らにした意味が無い。台北市政府と里長さんたちの努力は続くのである。(U)

(スクーターが停まっていては騎楼は「真の歩道」にはならない!)



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
はじめまして (通行人)
2009-11-17 00:37:10
初めまして。
私もこの騎楼で何度躓いたか・・・。躓くのが嫌だから道路歩くと、車が停まっているし、それを避ければ走っているバイクにぶつかりそうになるし。。歩きにくいですね。
ちょっと気になったのですが、この騎楼、元は日本統治時代に日本人が、台湾は日差しが強いので日陰をつくる為に制式化したと何処かで聞いた事があります。もしかすると雨避けの意味もあったかもしれません。木造の古い商店街でも見られますね。
あと、この騎楼の部分は公道ではなく、その建物の所有者の私有地なので基本的には役所は口出しできないはず。だから住民に理解を求め、この計画に7年も掛かったのでしょうけど。
あとは停まっているバイクもそうですが、騎楼にキッチンセットを設置している店をどうにかして欲しいなぁと個人的には思います。
騎楼スッキリの日は来るのか! (U)
2009-11-18 00:32:39
通行人さま
コメントありがとうございます!
騎楼はお年寄りにつらいんですよね。
日光避けというのは知りませんでしたが理屈は
よくわかりますね。なかなか便利なのですが、
問題はやはりスクーターと飲食店。
テーブルと椅子が騎楼に出ているところも
よく見かけます。所変われば…ということで、
将来どうなるかは台湾の人たち次第です!

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