るぅあんのブログ”晴れが好き!”

店情報『aboutRouen』に続く、日々の雑感をつづっています。スウイーツの情報などの交流の場にしたいと思っています。

「改憲のススメ本」を読んでみた。

2015年08月09日 | 日記


8月15日に向けて、テレビや新聞は「戦争」関連の話題が多くなる。

そのなか、
矢部宏治著『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』を読んでいた。

この著書、ネットなどで見ると、
「改憲のススメ」本だということになっている。

平和憲法を守ろうとする護憲派にとっては、
トンデモ本ということになる。

著者も言っている。
憲法についての日本の悲劇は、
悪く変える=人権を後退させる勢力
指1本ふれてはいけないという勢力しかない、ことだと。

著者は、「基地」と『原発」の問題を一挙に解決してしまう方法として、
憲法を「良い方向に変える」という立場をとる。
そして、
9条1項はそのままに、2項が問題だと言っている。

その9条2項とは、
「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。
国の交戦権はこれを認めない」


著者は、自分たちで憲法を作ること。
そしてその憲法に、
「日本は最低限の防衛力をもつ」こと。
「今後、国内に外国人基地をおかない」こと。
この2つを、明記すべきだと言っている。

この言い分が、「改憲のススメ本」といわれるもとになっている。
改悪派に利用されやすい要素を持っている、ともいえる。

もし、「最低限の防衛力を持つ」という条文を、
現在のように悪用する勢力が現われ、
「自衛隊が武器を持って、他国へ出かけていく」ことだと解釈されたら、
どうなるか?

特に、今度の法案では、
「防衛せねば」と判断し、武器を使用するよう指示するのは、
時の政府であるから、
今の安倍首相が「いくら戦争にはならない。」と約束しても、
いつか別の「時」の、安倍首相でない誰かが、
「間違い」を引き起こす時が来るかもしれない、
という恐れ。

これは日本人が、今までの流れから、
本能的に感じるもの、怖れていることだ。

しかし、だからといって、
「基地」は「原発」は、今のままで良いのか。

とりあえず、「基地」や「原発」がなくならない理由というものを、
この本を読んで、確認してみようと思った。

今、「戦争の抑止力となる」という名目の法案が、
参議院に移っている。

そして、衆院でそうだったように、自民党はどうやっても、
あの手この手を使って、「9月までには決着をつける」だろう。

「憲法違反」だと、大勢の憲法学者が異議を唱えている。
若い人たちまでが、国会の前に集まって、声を上げ始めた。
平和の党・公明党の、長年の支持団体までが、国会前に並び始めた。
先日は、高校生まで立ち上がった、というニュース。

しかし、この法案は通って行く。

一体なぜ、こんな強引なことがまかり通るのだろう?

その本当の理由を、この本は
これでもかと例をあげて、解き明かしている。

何を聞いてもまともな返答をしない政府は、
本当はどこを向いていて、
何を隠しているのか、が
この本で、よく分かる。

大半は、
日本という国の有り様に、うんざりするようなことばかりだ。

結論を先に言ってしまうと、
日米安保条約と日米地位協定が、そして日米原子力協定が、
日本国憲法の上に君臨していて、
日本人の主権を侵害していること、
だから、「基地」も『原発」も止められない、ということだ。

だから、いくら「憲法違反」を叫ぼうと、
その憲法自体が、実際は『日米…法』の下位法扱いされていて、
その理念が空洞化している。
機能を停止していて、「役に立っていない」のだ。

だから日本は、これまで、何を決めるときも、
アメリカにまず、お伺いを立てなければならなかった。

原発再稼働問題しかり。
「日米原子力協定」で、アメリカ側に了承なしに、
日本側が決めていいのは、電気料金だけ。
何も決められないようになってるのだそうだ。

先日のニュースにあった「厚木基地訴訟」も、根は同じだ。
自衛隊機の飛行は制限できても、
騒音問題の真の当事者たる米軍機の飛行は止められない。

「アメリカさんに守ってくださいとお願いしている関係上」、
日本は何も言えないし、
言わないことを約束しているし、
我慢しなければならないのだ、そうだ。

なにしろ、お金を払ってでも
沖縄に海兵隊の基地を残すことを望んだのは、
ほかならぬ日本政府だったからだ。

つい少し前まで、自衛隊は、「違憲」だと騒がれていた。
組織させたのは、アメリカだったし、その目的も当時は「軍隊」だった。

これは、9条2項の「戦力を保持しない」に明らかに違反していた。
なので、「違憲」じゃないかと批判されていた。

ところが今や、自衛隊は、
自衛活動や、災害救助隊として我々の中に溶け込んでいる。

この自衛隊=日本の再軍備にあたって、明文化はしないが、
有事には自衛隊は在日米軍の指揮下に入るという密約
口頭で交わしていたそうだ。
(これを「統一的指揮権密約」というのだそうだ。)

自衛隊は、もう1年前に、アメリカの砂漠で
米軍の特殊部隊にテロ対策訓練の演習を受けたらしい。
今や準備万端、後は時間をかけて国民を納得させる段階、ということ。

自衛隊は、世界をまたにかけて動き回る『軍隊』になるために、
着々と歩んでいるように見える。
あとは、国民の感覚を慣れさせるだけ・・・

もうひとつ、国としての「自立」の問題。
いわゆる、アメリカの「属国」という問題だ。

「属国」どころか、実は、
敗戦国となって70年もたつというのに、
日本はいまだに国際憲章109条『敵国条項」の摘要除外の対象であり、
アメリカの占領状態は続いているのだ、ということ。

だから戦勝国たるアメリカは、
敗戦国の日本の戦後処理にあたっている
のだから、
国連は、人権侵害問題としては対応してくれない。
沖縄の問題は、人権問題ではなく、
人種差別の問題としてしか扱われないのだそうだ。

つまり、戦後はまだ終わっていない。続いているのだ。
これこそ、「戦後レジーム」なのだ。

だが日本は、いつまでこんなことを続けるつもりなのか?
「仕方がないんだ」と、永遠にため息をつきつつ、
アメリカの「手下」を今後も続けるのだろうか。

『日本はなぜ・・・』は、問題を先送りするのではなく、
この状態を本当に打開する方策を、最後に提案している。

著者は、フィリッピンの憲法改正とドイツの戦後の歩みに学べ、という。

険しい道だが、「できる」と著者は断言する。

1945年の時点に戻ったつもりで、
もう1度周辺諸国との関係改善をやり直すこと。
そして米軍基地と憲法9条2項、国連憲章「敵国条項」の問題を、一つの問題としてとらえ、
同時に解決できるような状況をつくり出すこと

それは、ドイツが歩んだ道に比べればはるかに楽な道となるはず、
と結んでいる。

この考え、 素朴すぎるかもしれない。
時間もかかるだろう。
しかしアメリカとの軍事協定ではなく、
国連憲章を中心とした『国際法の原則』を取り入れるこの提案こそ、
案外、日本が真に平和国家として独立できる道かもしれない。

著者たちグループも、今後も調査を続けるそうだ。
実現に向けて障碍となるものの調査を。

この本、憲法改悪派の本かどうかはともかく、
何より知らなかったことが多かった。
「安保村」という利益共同体があり、その年間経済規模は530兆円と聞いて、
(対して「原子力村」のそれは2兆円)
道理で、「基地」はなくならないわけだと、納得した。
読んでみたことは良かった、と思っている。
コメント (1)
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