今日も寒いです。
朝、車の運転席に乗ったら、フロントガラス一面に霜が降りていて焦りました。
幸い去年の霜取りスプレーが少し残っていたので、それをかけてしのぎました。
これからは朝がつらくなる時期ですね。
今日は久しぶりに音楽の話です。
かなり前からずっと温めていた話題なんですが、
かなり長くなりそうなので、2回に分けることになるかもしれません。
何か月か前に、これも車のFM放送を聞いていたのですが、シューマンの「子供の情景」というピアノ曲が流れていました。
聞いているうちにだんだん驚きだしまして・・・、
「こっ、これ、誰っ!???」
演奏後に名前を聞いて二度びっくり。
あの「スタニスラフ・ブーニン」さんでした。
YouTubeにはなくて、CDの視聴しかありませんでした。出だし部分だけですが、それでもブーニンの個性が際立っています。
http://tower.jp/item/3917713/シューマン・こどもの情景
何でしょうね。このピッタリ感。
はっきり言って、「子供おとな?」「大人こども?」
こういうアダルトチルドレン的な演奏家、先日ご紹介したカツァリスなんかにも感じますが、ここまで繊細ではないですね。
このシューマンの子供の情景は、子供好きのシューマンが、色々な場面に応じた子供の心を表現した組曲なんですが、
ブーニンの演奏、特に6番目の「大事件」なんて、子供にとってはすんごい大事件だけど・・・、大人目線で見ると滑稽で笑っちゃう感じがよく出ていて面白い。
9番目の「木馬の騎士」のノリなんて、子供がおもちゃの木馬に乗って、「とつげき~!」何て叫びながら、
その気になってせっせと木馬を揺らしている場面がありありに浮かびます。
シューマンは私も昔から好きで、弾きこなしたいと思いつつ、どうしても合わない、どう弾いていいのかがわかりませんでした。
シューマンを理解するキーワードとしては「ドイツ人」「男性的」「自殺未遂&気が狂って亡くなった」・・・
この「気がくるって」という部分がどうしてもわからない。シューマンのイメージにそぐわない。
シューマンの楽曲、皆「ドイツ的」です。
「ドイツ的」という言葉の語義ですが、ん~説明がむつかしい。
かなり私個人の思い込み的なイメージで言うと、ん~「素朴」でもないし「ごつごつしている」でもない。
なんて言うのか「フランス的でもなくイタリア的でもない」というのか・・・(余計にわかりませんよね)
軽い次元でのアイデアや装飾をしない、和声と素朴なメロディーラインで勝負するというのか。
シューマンもブラームスも決してごつごつしてるわけではないですし、
複雑で難しい音楽理論で作曲するわけですからアイデアも工夫も必要なんですが、
本質的なところ以外の軽薄な装飾はしない・・・、というのでしょうか。
決してフランス的なエスプリがすべて軽薄ではないし、イタリア的な美しいメロディーがすべて感傷的すぎるわけでもないですが、
やはり、フランス的なものが行き過ぎると軽薄さに偏るし、イタリア的なものが行き過ぎると感傷的になり過ぎるし、
そういう意味でドイツ的なものが行き過ぎるとダサくなる。
・・・言葉での説明、難しいです。
シューマンに戻りますが、他の曲も何曲か弾きましたが、かなり和音がガンガン出てきて力強い曲が多いです。
私が挫折した「幻想曲ハ短調」もとても派手な曲で男性的です。
が「自殺&気が狂った」という部分、何か厭世的な、否定的な、諦観した感じ、もしくはアダルトチルドレン的要素がどこにもなくて、
ひょっとしたら「子供の情景」のような小品には、含まれているのかしらと弾きながら探ってみましたが、
見つかりませんでした。
ほんとにこの人、子供が好きなんだな・・・というところばかりです。
シューマンの奥さんは有名なピアニストのクララ・シューマンでした。
クララはシューマンのピアノの先生の娘さんで、クララはこの先生が腕によりをかけて育て上げた秘蔵っ子でした。
なので、シューマンとクララの結婚にものすごく反対して、ものすごい画策、邪魔をしました。
どれくらいものすごいかというと、シューマンがあまりの罵詈雑言に、名誉棄損で訴えて刑務所に入れられてしまうほどです。
二人ともほとんど勘当状態で結婚しましたが、シューマンは死ぬまでクララを愛し続けました。
シューマンは子供が大好きで、多いほど良いと言って、8人の子供ができましたが、
そのおかげで一家はいつも貧乏で、クララはピアノの演奏会と母親業、シューマンも働きづめで家計を回していました。
このころからもう精神疾患が表れていたという事です。
最後は狂ってしまった姿を見せないよう、施設でクララの面会を拒否して2年ほど過ごし、最後はクララに看取られて亡くなったそうです。
なぜこんなことを書いてるかと言えば、
もし、シューマンが生まれつきの気質から精神病を患ったのであれば、それは作曲された楽曲の中に感じられるはずと思って、
ずっと悩んでいたところ、ソースは忘れましたがある日、「シューマンは梅毒だった」という事を知って、何か胸のつかえが取れた気がしたんです。
「やっぱり、生まれ持った気質ではなかった」
芸術家ですからね、人よりも神経質だったり繊細だったりはしたとは思いますが、
他の音楽家に比べてもその範疇から出るような人ではなかったと思います。
シューマンは愛する妻と、子供を8人抱えて、必死に働くパパでした。
早世したのは、クララに会う前にかなり女遊びをしたみたいで、その時にうつった性病にその後じわじわ侵されて、
精神疾患になったという事でした。
この「こどもの情景」は、まだ結婚していない時にクララに「あなたは子供のような人ですね」
と言った自分の言葉にヒントを得て作曲されたという事で、
・・・という事はクララはシューマンよりも子供っぽかった、アダルトチルドレン的な要素がたくさんあったという事です。
そういう育ちが良く、アダルトチルドレン的なオジョー様を選ぶという事は、
つまり、かなり独善的な私の解釈として、シューマンは成熟した大人の男性だったという事です。
この「子供の情景」という曲は音楽的にも、人間的にも訓練された大人の男性が、自らの中に残っている子供心を思い出しながら、
昇華されて、大人向けに書かれた曲です。
その曲を、どう聞いてもアダルトチルドレン的要素満載のピアニスト、S.ブーニンが弾いて思いっきりピタッとはまっている・・・。
私的にはすんごく興味深くて面白いんですが、そう感じるのは私だけなんでしょうかね("^ω^)・・・
貼り付けたリンクは曲の一部ですが、YouTubeにはシューマンの幻想小曲集から「飛翔」と「夢のもつれ」が、
ブーニンの演奏でUPされています。
同じようなノリで弾いています。面白いですよ。良ければ聞いてみてください。
それでは最後に今日の題名のシューマンの「クライスレリアーナ」。
話の内容は全然違いましたね。
なんかかっこよい名前なので題名にしました。
演奏はラドゥ・ルプーです。
この方は顔はイエスキリストみたいですが、なかなか繊細な方のように感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=rdG_Aj6XOYY&t=1262s
シューマンの演奏の正統派というのでしょうか、100%大人の演奏ですね。子供っぽさは微塵もありません。
深いものも感じます。
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