沖縄戦の強制集団死をめぐる教科書検定問題が大方の予想通りの形で決着した。すなわち、あくまで検定意見は撤回しない、日本軍の「強制」という言葉は使わせない、けれども教科書会社が「自主的な」訂正申請をするならば、事実上軍の「関与」なしには発生しなかったことを認めるという形だ。一方では皮肉にも、あくまで「強制ではない」背景や経緯の記述を求めた結果、記述が詳細になる効果もあった。
こうまでして保つことができたのは教科書検定制度の面子だけ、権威のほうはがた落ちである。
今回の奇禍を通して、国民は今まで知らなかったことをいろいろ知った。審議会は回数も少なく、ほとんど文部科学省の役人である調査員の言うまま、どの委員がどんな意見を出したかは秘密で議事録も作成しないこと、教科書会社に対する指示や注意も都合の悪いところは口頭で、文書として提示しないこと。
こうなってくると、「さまざまな圧力を受けない、静謐な審議環境をつくるため」というこれまでの説明で、人々の目をごまかすことはもはやできない。
審議会が文部科学省の意見にお墨付きを与える機関でしかないこと、政治的圧力を受けたことを隠すこと、審議の過程を透明化して批判に耐える自信がないこと、何より国民の意見を聞く必要がないと思っていること、そんな正体を多くの人が知ったのは、せめてもの幸いと言わなければならない。
こうまでして保つことができたのは教科書検定制度の面子だけ、権威のほうはがた落ちである。
今回の奇禍を通して、国民は今まで知らなかったことをいろいろ知った。審議会は回数も少なく、ほとんど文部科学省の役人である調査員の言うまま、どの委員がどんな意見を出したかは秘密で議事録も作成しないこと、教科書会社に対する指示や注意も都合の悪いところは口頭で、文書として提示しないこと。
こうなってくると、「さまざまな圧力を受けない、静謐な審議環境をつくるため」というこれまでの説明で、人々の目をごまかすことはもはやできない。
審議会が文部科学省の意見にお墨付きを与える機関でしかないこと、政治的圧力を受けたことを隠すこと、審議の過程を透明化して批判に耐える自信がないこと、何より国民の意見を聞く必要がないと思っていること、そんな正体を多くの人が知ったのは、せめてもの幸いと言わなければならない。