障害児と学校 → 頑じいの歯ぎしり

障害がある子とない子と → 頑固爺の「ごまめの歯ぎしり」

灰色の教科書

2007年12月30日 | 教育
 沖縄戦の強制集団死をめぐる教科書検定問題が大方の予想通りの形で決着した。すなわち、あくまで検定意見は撤回しない、日本軍の「強制」という言葉は使わせない、けれども教科書会社が「自主的な」訂正申請をするならば、事実上軍の「関与」なしには発生しなかったことを認めるという形だ。一方では皮肉にも、あくまで「強制ではない」背景や経緯の記述を求めた結果、記述が詳細になる効果もあった。
こうまでして保つことができたのは教科書検定制度の面子だけ、権威のほうはがた落ちである。
 今回の奇禍を通して、国民は今まで知らなかったことをいろいろ知った。審議会は回数も少なく、ほとんど文部科学省の役人である調査員の言うまま、どの委員がどんな意見を出したかは秘密で議事録も作成しないこと、教科書会社に対する指示や注意も都合の悪いところは口頭で、文書として提示しないこと。
 こうなってくると、「さまざまな圧力を受けない、静謐な審議環境をつくるため」というこれまでの説明で、人々の目をごまかすことはもはやできない。
  審議会が文部科学省の意見にお墨付きを与える機関でしかないこと、政治的圧力を受けたことを隠すこと、審議の過程を透明化して批判に耐える自信がないこと、何より国民の意見を聞く必要がないと思っていること、そんな正体を多くの人が知ったのは、せめてもの幸いと言わなければならない。

勉強は楽しくない?

2007年12月06日 | 教育
 12月4日、OECD国際学力調査の結果が発表された。実施された「科学的活用力」(前々回2位→前回2位→今回6位)、「読解力」(8位→14位→15位)、「数学的活用力」(1位→6位→10位)の3分野で、軒並み低下したとあっては、また内外野席から「ゆとり教育の弊害だ」とか「授業時数を増やせ」とか、かまびすしい合唱が始まることだろう。
 折りしも昨夜、NHKが2年連続総合1位のフィンランドの教育ルポを放映していた。それによると特徴が二つある。一つは、教員を信頼し、教育課程の編成などその自由選択の幅を最大限に認めていること。もう一つは、子どもに知識や結論を教え込まず、なにより子ども自身の発見を重視することである。世界一の秘密を探るべく、世界各国から視察団が押しかけ、もちろん金持ち国日本からの視察団もいた。高い公費を使って彼らは何を学んでくるのだろう。現実の日本の教育と対比して、何か活かせるものがあると信じることができただろうか。
憂うべきは、成績順位ではなく、科学に対する関心が参加57か国中最下位であり、学ぶ楽しさを見出させない原因である。