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「林原の経営破綻」から,同族経営のあり方を考察する-2(確執 その2)

2014-06-27 15:15:25 | 林原-同族経営の功罪

 バイオ企業の林原(岡山市)の唐突ともいえる経営破綻から3年。その当事者である林原の元社長 林原健氏と弟で元専務の林原靖の兄弟が倒産の原因と長瀬産業がスポンサーに選ばれるまでの経緯,所感を,それぞれの著書で綴っている。
 それぞれに言い分はあろう。同族経営のあり方,同族経営のあるべき姿を考察するうえで,健著”『林原家 同族経営への警鐘』,靖著 『破綻──バイオ企業・林原の真実』は,参考となる書籍である。
  

>>>弟の言い分-銀行に潰された

 弟で元専務の靖氏は,“世界的優良企業「林原」は,銀行に潰された”と訴えている。 「林原」は、食品甘味料や保存料などに使われる糖質・トレハロースの量産化に世界で初めて成功した会社である。1998年の秋以降、新製品のトレハロース を軸に快進撃の10年が始まり、「林原」の 業績はいたって堅調だった。売り上げは伸び、利益は確実に出ていた。ただし、グループ全体で1300億円超と巨額の借り入れが問題ではあったが、金利はき ちんと支払い,直近の10年で350億円を返済していた。

 林原氏の言によると,裏で歩調を合わせた主力取引銀行2行が、銀行借入残高報告の数字が違うことを問いただしてきたことを発端に,“破綻劇”の幕が開いた。「林原」は会社更生法の適用を受け、入札にかけられ、700億円で競り落とされた。弁済率93%の倒産であった。
  「資産もあり、赤字もなく、利息も払い続け、債務も減少していた会社が、なぜ、会社更生法の適用を受けなければならないのか!?」とし,次のように言い切っている。
 ―わたしはいま、はっきりと確信している。破綻劇の幕を開けてしまったのはメインの中国銀行と、サブの住友信託銀行だと。彼らの一連の対応が大きな誘因であった。

>>>兄の言い訳-林原家が悪かった

 これに対して,兄で元社長の健氏は,“林原が倒産した原因は,経理部門を任せていた弟,林原靖と私の関係性にある。もっといえば,林原一族の特異性こそ倒産の真因が宿る”『林原家 同族経営への警鐘』(p4)と,自己批判,反省基調である。

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■ 兄弟の確執 -母の借金を巡り-
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>>>確執 兄から弟への叱咤そして縁切り宣告

 健氏は,“林原が倒産した原因は,経理部門を任せていた弟,林原靖と私の関係性にある。もっといえば,林原一族の特異性こそ倒産の真因が宿る”『林原家 同族経営への警鐘』(p4)と自省している。兄弟の確執の決定的場面が,母英子さんが亡くなった病院での,健氏の靖氏に対する不信が爆発下ともいえるやりとりとして,綴られている。(『林原家 同族経営への警鐘』 p94~p95)

 

 林原兄弟の母の英子さんは経営破綻の翌年にが亡くなった。その時,英子さんは会社から資金を受け取っていたが,それ貸付金などの形となっていたため,13億円以上という莫大な借金となっていることが,判明した。

 この母親の借金に関連して,林原健氏は著書『林原家 同族経営への警鐘』(p94~p95)で,実弟で元専務の靖氏に対する,縁切り宣告ともいえる弟への叱責を次ぎのように綴っている。

▼p94~p95
  母が亡くなったとき、誰から聞いたのかは知らないが、弟が病院に駆け付けた。私は彼を手招きして、二人きりであることを確認すると、こう言った。
「おまえが会社にしたことは許してもいいと思っている。社長として私が至らなかった面も大きいからだ。けれど、おまえが母さんを借金まみれにしたことだけは許すわけにいかない。母さんの葬式も、一部の親族に限定した家族葬にしようと思っている。親戚の前に顔を出したらやり玉に挙げられるから、おまえは来ないほうがいいだろう。いいか、今後一切、おまえと仕事をすることはない。会うこともない」 

>>>確執 弟の反論

 兄の叱咤,そして縁切り宣告に対して,弟の林原健氏は,自らのブログ “「号外・「林原家」について” http://blogs.yahoo.co.jp/gra_yasushi/32719847.html で,次のように反論している。

・母親英子が死去した時に「借金まみれ」であったことを、あたかも、私が「盗んだ」ごとくにとり得る表現があるが、しかし、債務のみが多く残った理由は理由は明快であり、以下の通り。

 1. 母親はかって上場前の中国銀行株式を70数万株保有していたが(直近時価では14~15億円)、わたしは極めてはやい段階で「母や兄と相談」して、将来の相続対策もかねて上場前一株50円で数年かけて兄の妻と子供3人、私の妻と子供2人に譲渡した。母はあえて自分の資産の大部分を7人に引き継いだので所有株式はなくなった。

2. 亡父一郎死去時の母の相続税の借入金に対する利息が50年に亘って計上され、直近死亡時の債務13億円のうちのほとんどが利息相当部分である。ちなみにこの利息の直近10年間の金額は「未払金」として概ね明快に記載されている。

 3. もちろん「気前の良いおばあちゃん」として孫・子はもちろんのこと親戚や知人まで、幅広くお小遣いを弾んでいた事も沢山ある。

4. 生前に不動産も所有していたが、ほとんど売却してすべて会社からの借入金返済にあてている。

5.背景に70年以上に亘って献身的に夫や長男を支えた母親にはやがて相当額の退職金が支払われ、債務の一部は返済できるし、あるいは、亡父の時のように来る相続時に被相続人が多大の税金を支払わないようにしたいという意識は私にはもちろんあった。

       

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 ┃  元専務 林原靖氏の倒産原因に関する言い分
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 元専務の林原靖氏は著書, 『破綻──バイオ企業・林原の真実』で,“世界的優良企業「林原」は,銀行に潰された”と主張している。

  「林原」は、食品甘味料や保存料などに使われる糖質・トレハロースの量産化に世界で初めて成功した会社である。1998年の秋以降、新製品のトレハロース を軸に快進撃の10年が始まり、「林原」の 業績はいたって堅調だった。売り上げは伸び、利益は確実に出ていた。ただし、グループ全体で1300億円超と巨額の借り入れが問題ではあったが、金利はき ちんと支払い,直近の10年で350億円を返済していた。(p19~23)

 林原氏の言によると,裏で歩調を合わせた主力取引銀行2行が、銀行借入残高報告の数字が違うことを問いただしてきたことを発端に,“破綻劇”の幕が開いた。「林原」は会社更生法の適用を受け、入札にかけられ、700億円で競り落とされた。弁済率93%の倒産であった。
  「資産もあり、赤字もなく、利息も払い続け、債務も減少していた会社が、なぜ、会社更生法の適用を受けなければならないのか!?」とし,次のように言い切っている。

 ―わたしはいま、はっきりと確信している。破綻劇の幕を開けてしまったのはメインの中国銀行と、サブの住友信託銀行だと。彼らの一連の対応が大きな誘因であった。(p220 12行目~14行目)」

                。+゜☆゜+。Y⌒Y⌒Y。+゜☆゜+。Y⌒Y⌒Y。+゜☆゜+。Y⌒Y⌒Y+

岡山の世界的優良企業「林原」はなぜ銀行につぶされたのか!?
弁済率93%の倒産の不可思議!?

 この破綻劇のキーとなる役者は一帯誰だったのか。その理由は何だった―――
わたしはいま,はっきり確信している。破綻劇の幕を開けてしまったのはメインの中国銀行とサブの住友信託銀行だと。                            
                                       『破綻──バイオ企業・林原の真実』 p220  11~13行

 

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NHK 「仕事学のすすめ」2月放送予定の林原・1-経営行き詰まる  2011-01-27 14:14:01

  

   :::::****:  マスコミの見方      ::::****

>>>経営破綻の要因--無理な開発投資が業績悪化を招く --
  一連のマスコミ報道は,概ね,次のようにまとめられる。

  林原は食品原料や医薬品の製品化を,基礎研究の段階から手掛けているため,長期にわたり開発投資が先行する事業構造になっている。このため金融機関からの 借り入れで資金調達を進めてきたが,景況悪化で保有する土地や有価証券の資産価値が劣化し,資産規模に対して債務が膨らむ状況に陥っていた。

 林原の主力取引銀行の一つである中国銀行は,体力以上の無理な開発投資を継続したことが経営悪化の主因とみている。
 
 林原の借入金総額は約1400億 円。中国地方の金融機関では中国銀行のほか山陰合同銀行,広島銀行,鳥取銀行が貸し付けており,合算で約500億円であった。

 

 

林原家 同族経営への警鐘

私は棺桶の中まで、真実を持っていくつもりだった

 「これから『同族企業の雄』として持ち上げられた林原の実態をさらけ出す。日本企業は同族企業の割合が世界の中でも飛び抜けて高い。その一角を占めた私たちの失態をぜひ教訓にしてもらいたい。それが今の私にできる最後の責務だと思う。
 さあ見ていただこう。これが株式会社林原、そして林原家の真実である」(まえがきより)。

 父、林原一郎との対立、末弟との絶対的上下関係、早世したもう一人の弟との約束。林原家に深く埋め込まれた、破綻に向かう必然のストーリー。

日経BP社

 

破綻──バイオ企業・林原の真実


著者は、2011年2月2日に会社更生法の適用を申請したバイオ企業の雄であった「林原」の元専務林原靖氏です。

半沢直樹もたじろぐ-銀行の悪行???。

 

ワック

 

 


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