新聞報道によると,4200億円余に上る未曽有の消費者被害となった安愚楽牧場の和牛預託商法をめぐり、警視庁と栃木県警の合同捜査本部は詐欺容疑での立件を見送る方向となった。
その理由としては,投資対象の繁殖牛を有価証券などと同じ「金融商品」と同様に扱い、出資を呼びかけていた同社に「事業実体」があったことによる。
最高で2年以下の懲役の量刑となる特定商品預託法違反罪は,その前提として,顧客を故意にだましたという明確な犯意の立証が必要だった。
同社は、全国に40カ所の牧場を持ち、300軒以上の農家に牛の飼育を委託。近年は契約頭数の約6割しか牛がおらず、牛不足が慢性化していたとはいえ、一時は国内最大規模の約15万頭を飼育していた事実があったことなどから、出資者をだます意図があったと立証するのは難しいと判断したとみられる。
全国安愚楽牧場被害対策弁護団の団長を務める紀藤正樹弁護士は,「詐欺罪で起訴しないのであれば、将来に禍根を残す。捜査を尽くして詐欺罪で起訴すべきだ」と語っている。
紀藤氏はこれまで「牛がいないにもかかわらず、いるように仮装して宣伝した。実在しない牛の番号を記載した契約書を作っており、明らかに計画的な詐欺だ」と繰り返し主張していた。
また被害対策本県弁護団の服部弁護士は「少なくとも配当金遅配の通知後にオーナを募集していた時期については詐欺に問えるはず」と主張。その上で「実刑にさえなるか分からない特定商品預託法違反罪という刑罰の軽さでは、戦後最大の消費者被害という事実の大きさに比べ著しくバランスを欠く」と訴えている。
◇安愚楽牧場の債務返還、一律5%配当へ 債権者「納得できない」
経営破綻した「安愚楽牧場」(栃木県那須塩原市)から回収できた資産で債権者に返還できる配当金が、それぞれの出資金の約5%にとどまる見通し。東京都内で同日開かれた第3回債権者集会終了後、被害対策弁護団が記者会見して明らかにした。
破産管財人が示した資料によると、今年1月の第2回集会以降、東京電力福島第1原発事故の損害賠償として約23億7000万円を回収した。さらに特定商品預託法違反(不実の告知)の疑いで警視庁などに逮捕された元社長ら元役員の配当金約5400万円などを新たに回収。配当の原資になる資産額は約243億2700万円となった。債権総額は約4265億円。
▼「安愚楽牧場」関連ブログー・アーカイブ
・どうする海江田氏-全国安愚楽牧場被害対策弁護団 -経済評論家時代に出資を推奨とし提訴を視野へ
・安愚楽牧場関連・もう一つの破たん-宮崎県小林市のコスモス牧場が休園
・安愚楽問題で国賠訴訟検討 弁護団「行政の失態-被害拡大の一因」
・安愚楽牧場のその後 -詐欺被害はなぜ繰り返されるのか-2
・安愚楽牧場のその後 - 「詐欺被害はなぜ繰り返されるのか-1」
・安愚楽牧場のその後 -栃木の子会社破産 / 鹿児島の会社(カミチク)が一部継承
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- 東京地裁安愚楽牧場に管理命令
- 安愚楽牧場-「自転車操業」の疑い,「景品表示法」違反の疑い
- 安愚楽牧場問題-全国各地の被害者救済の動き
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和牛詐欺 人を騙す犯罪はなぜなくならないのか 共同通信社記者「斉藤知彦」氏が、徹底取材の「詐欺犯罪はなぜなくならないのか」。 講談社(1300円)
被害額4300億円、被害者7万人と、戦後最大規模の消費者被害事件となった安愚楽牧場事件。1990年代、そして2000年代後半に起 こった「ふるさと牧場事件」など、怪しい和牛預託商法が行われ、そして摘発されてきた歴史があるにもかかわらず、悲劇はまたもや繰り返されたのはなぜなのか?
「詐欺専門記者」とj自認の共同通信社記者が、徹底取材で分析した「詐欺犯罪はなぜなくならないのか」。
http://blog.goo.ne.jp/rk_kobayashi/e/5112fedabca050b0544d2a53df0b38b3
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