被害額4300億円、被害者7万人と、戦後最大規模の消費者被害事件となった安愚楽牧場事件。1990年代、そして2000年代後半に起こった「ふるさと牧場事件」など、怪しい和牛預託商法が行われ、そして摘発されてきた歴史があるにもかかわらず、悲劇はまたもや繰り返されてしまった。
これに関連して,1996年から97年に被害が続発した和牛預託商法が思い起こされる。和牛預託商法」では,高額の配当が出るなどして和牛オーナーを募った。実際には,「飼育も牛保有もしてない」会社が,単に出資金を集めるだけの詐欺が行っていたもので,和牛の里共済牧場」「あさぎり高原共済牧場」「ふるさと共済牧場」「みちのく都路村共済牧場」が悪の仕掛け人であった。
安愚楽牧場の「和牛オーナー制度」は,この「和牛預託商法の元祖」もと呼ばれていた。同社がこれまで経営が持続してきたのは,曲がりなりにも牛を飼育する実態があったからである。
安愚楽牧場の和牛商法と,ふるさと共済牧場などの和牛商法との大きな違いは、「繁殖農家」と「肥育農家」にある。ふるさと牧場などが運営した仕組みは,「牛のオーナーになってくれれば,当社で肥育して大きくし,市場で売却してもうけを出し,配当する」という,「肥育農家」のような仕組みだった。
これに対して,安愚楽牧場は,出資者には必ず「母牛」のオーナーになってもらい,生まれてくる子牛を売却することで毎年の配当とし,最後に母牛をオーナーから同額で買い戻して食肉にし,売却するという,「繁殖農家」の仕組みを採用していた。
事実,安愚楽牧場で生まれた子牛や,安愚楽で育てられた牛の食肉は市場で実際に取り引きされていた。それだけに、ほかの和牛商法がすべて破綻しても「安愚楽だけは詐欺ではない」という説明には説得力があり,出資者の安愚楽牧場に対する信頼は揺るがず、存続し続けることができた。
その安愚楽牧場が2011年夏に突如破たんした。 安愚楽牧場に出資したオーナーの債権は合計で4200億円超。破産手続きが進んでも,大部分の金は返ってこない。
参考:『和牛詐欺 人を騙す犯罪はなぜなくならないのか』 斉藤 友彦著 講談社刊
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和牛詐欺 人を騙す犯罪はなぜなくならないのか |
共同通信社記者が、徹底取材で分析し | |
講談社 |
内容紹介
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被害額4300億円、被害者7万人と、戦後最大規模の消費者被害事件となった「安愚楽牧場事件」。1990年代、そして2000年代後半に起こった「ふるさと牧場事件」など、怪しい和牛預託商法が行われ、そして摘発されてきた歴史があるにもかかわらず、悲劇はまたもや繰り返されたのはなぜなのか?
自他共に「詐欺専門記者」と認める共同通信社記者が、徹底取材で分析した「詐欺犯罪はなぜなくならないのか」
目次
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第1部 安愚楽牧場事件
1.戦後最大の詐欺事件?
2.暴かれた疑惑
3.放漫経営の末に
第2部 ふるさと牧場事件
4.騙したのは誰だ
5.そして巨悪は逃げおおせる
第3部 詐欺犯罪はなぜなくならないのか
6.詐欺師たちを追いかけて
7.それでも被害者は悪くない
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「あぐら物語日記」
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