【本稿は,2011-08-09 13:11:30出稿の第2版】
黒毛和牛のオーナーを募集して出資を受け,牛を飼育する「和牛オーナー制度」で知られる畜産会社,安愚楽牧場(栃木県,三ケ尻久美子社長)が9日に東京地裁に民事再生法の適用を申請し,財産保全命令を受けた。東京商工リサーチによると,3月末時点の負債総額は約619億8700万円。 和牛のオーナーは全国に約7万人いるとみられる。同社幹部によると,牛の買い戻しを含めると必要な費用は約4千億円以上になる見込み。
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安愚楽牧場問題,出資者の弁護団結成
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和牛オーナー制度の安愚楽牧場(栃木県那須塩原市)が経営悪化により出資者へ代金の支払いを停止している問題で,栃木県弁護士会消費者問題対策委員会委員長の須藤博弁護士らが8日,同牧場への出資者の相談などに応じる弁護団を結成した。
この問題は,「歴史的な大型倒産になりかねない。大規模な消費者被害を出さないよう対応していきたい」とし,同県内の弁護士13人で弁護団を構成した。
◆細野原発事故担当相,安愚楽牧場「賠償の可能性ある」
細野豪志原発事故担当相は8月2日午前の記者会見で,黒毛和牛生産を全国展開する畜産会社「安愚楽牧場」が東京電力福島第1原発事故で牛肉価格が下落したこともあって,経営難に陥っている問題について「賠償スキームの対象になる可能性は十分にある。専門家でしっかりと確認してもらう」と述べている。
◆安愚楽牧場の経営悪化 -ビジネスモデルに無理あったのでは?
「和牛オーナー制度」の安愚楽牧場(栃木県)は,福島第一原発事故の影響で出荷規制があったり、牛肉価格が下落したことが経営悪化の原因とし,全国3万人のオーナーや取引先への支払いを休止している。 東京商工リサーチの発表によれば安愚楽牧場の11年3月時点の負債額は619億円。10年度の売上げは1027億円。
◆本当に福島第一原発事故の影響が経営悪化の主因なのか-「身の丈」無視の経営が主因では。
安愚楽牧場は1981年に設立。現在は全国40ヵ所に直営牧場と338ヵ所の委託牧場で14万頭以上の黒毛和牛を飼育している。
「オーナー制度」は和牛を出産・飼育するための出資を募り,生まれた子牛を買い取る。その子牛の買い取り価格から諸費用を差し引いた金額がオーナーに「金利(子牛予定売却利益金)」として渡される。その「金利」は年に5%から7%ほどで銀行預金に比べれば高利回りであることから人気を得てきた。
一般的なファンドの場合,投資先を複数にすることでリスク分散させながら事業の持続と利益を追求するが,安愚楽牧場の「和牛預託商法」の場合は投資が牛のみ。2001年には国内でBSEが発症したほか,続いて伝染病の口蹄疫,最近では生食による死亡事故,そして原発事故に至った。 しかも,ここ10年間来牛肉価格の下落が続いて,市場も縮小している。こうした中で,なぜ安愚楽牧場は生き残りオーナー達に配当金が支払うことができたのか,という疑問がわく。
同社は経営悪化の原因は原発事故でのセシウム問題としているが,それは経営悪化を発表する口実でありきっかけにすぎずないのではあるまいか。内情はかなり前から悪かったとも,推察される。
つまり,自身の「身の丈」を超えた経営が,経営破綻の真の原因ではあるまいか。
⇒⇒ 関連記事バックナンバー:和牛オーナー牧場の安愚楽牧場が経営危機
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