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「安愚楽牧場」問題と被害者救済の動き

2011-09-07 05:08:40 | 企業の不法行為

4300億円を超える負債が判明した「安愚楽牧場」問題と被害者救済の動き

 和牛オーナー制度を運営する「安愚楽あぐら)牧場」(栃木県那須塩原市)が民事再生法適用を申請した。これに関連して,1996年から97年に被害が続発した和牛預託商法が思い起こされる。和牛預託商法」では,高額の配当が出るなどして和牛オーナーを募った。実際には,「飼育も牛保有もしてない」会社が,単に出資金を集めるだけの詐欺が行っていたもので,和牛の里共済牧場」「あさぎり高原共済牧場」「ふるさと共済牧場」「みちのく都路村共済牧場」といった事件が発生した。
 安愚楽牧場の「和牛オーナー制度」は,この「和牛預託商法の元祖」もと呼ばれていたのという。同社がこれまで経営が持続してきたのは,曲がりなりにも牛を飼育する実態があったからである。

 なお,和牛オーナー,預託農家などに対する被害者救済の動きはあるが,どこまで債権者の救済につながるかは不透明である。
 
◆安愚楽牧場被害対策弁護団が消費者庁に行政処分を求める
 和牛オーナー制度を運営する「安愚楽あぐら)牧場」(栃木県那須塩原市)が民事再生法適用を申請した問題で,全国安愚楽牧場被害対策弁護団(団長・紀藤正樹弁護士)は,違法な勧誘が行われていた可能性があるとして消費者庁に行政処分などを求めた。同社は経営が悪化した7月中旬,これまでより高利回りで新たなオーナーを勧誘しており,被害拡大につながったとするのが,その理由である。

◆鹿児島県内預託農家に弁護団 安愚楽牧場破綻で (2011 09/01 )
 
 畜産会社「安愚楽(あぐら)牧場」から牛を預かり育てる鹿児島県内の預託農家の弁護団が1日,鹿児島市で結成された。県内19農家に対し滞納されている,預託料などの未収債権を全額回収する目的で鹿児島市と福岡市の3弁護士事務所で構成。
  

◆鹿児島県内預託農家「宮崎安愚楽会」-安愚楽牧場に説明求める要望書 (2011年09月03日)
 「安愚楽牧場」から牛を預かって育てている宮崎県内の預託農家が同社に対し,今後の経営方針などの説明を求める要望書を送った。

 関係者によると,要望書は,宮崎県内の預託農家でつくる「宮崎安愚楽会」の伊藤成年会長名で送付。主に(1)経営が悪化し,民事再生法の適用を申請するに至った経緯(2)同社の再生計画の見通し(3)預託農家の取り扱いの今後の見通し(4)再生計画が明らかになる時期――について,「なるべく早く説明会を開いてもらい聞きたい」としている。


◆東電方針「安愚楽」和牛オーナーは賠償対象外
 安愚楽牧場は,原発事故とその後の放射性セシウムに汚染された牛肉の流通で,和牛価格が下落し,オーナーの解約が急増したことが破綻の原因とし,東電に損害賠償を請求する方針を表明している。債権者の一部にも請求の動きがある。

 これに対して,東京電力は福島第1原発事故の損害賠償問題で,東京地裁に民事再生法の適用を申請した「安愚楽牧場」(栃木県那須町)の7万人超の和牛オーナーについて,個別の賠償請求には応じない方針である。
 東電は,オーナーの損害は,同牧場への出資によるもので,直接的な賠償対象にはならないと判断し,オーナーの出資は原子力事故とは関係ないし,賠償に応じない方針を示している。ただ,同牧場の破綻と原発事故の因果関係が認められた場合は,直接被害や風評被害の賠償に応じる。賠償金は,同牧場を通じてオーナーに弁済される形となり,どこまで損害が認定されるかが今後の焦点となる


▼関連ブログ

・安愚楽牧場の経営破綻 -5000億円以上の被害規模が確実な情勢
 http://blog.goo.ne.jp/rk_kobayashi/e/1522066535e8c8f93b52b73277906cfd

・和牛オーナー牧場の安愚楽牧場が経営危機
 http://blog.goo.ne.jp/rk_kobayashi/e/5112fedabca050b0544d2a53df0b

                   
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