憲法判例を読む (岩波セミナーブックス) [単行本(ソフトカバー)] 芦部 信喜 (著)
片山さん、読みやすくて薄い本ですから、せめてこれくらい読んでください。
総選挙間近になり?、私の記事はすっかり転載してくださらなくなったBLOGOSですが(涙)、わたくしは義理堅く、ちゃんとマメにチェックしております。
で、昨日目についたのが、BLOGOS編集部が「天賦人権論を否定?」とキャプションをつけた記事。何かと思ったら、BLOGOSの中でも有数の辛口ブロガー、やまもといちろう氏の「自民党安倍晋三総裁、維新の会の梯子を容赦なく外す」というエントリーでした。
この記事の主旨は、勝利を確信した安倍自民党総裁が、石原・橋下日本維新の会を「なんていう党でしたっけね」とからかったという話なのですが、そこに片山さつき議員のこんなツイートが張り付けてありました。
@taiyonokokoro50国民が権利は天から付与される、義務は果たさなくていいと思ってしまうような天賦人権論をとるのは止めよう、というのが私たちの基本的考え方です。国があなたに何をしてくれるか、ではなくて国を維持するには自分に何ができるか、を皆が考えるような前文にしました!
あのね、基本的人権は憲法にもらうものではなくて、国がくれるものでもなく、人が人たるがゆえに、生まれながらにして持っているものでしょう。また、そういう天賦人権論を取ったからと言ってどうして義務を果たさなくていいということになるのか。
辛口のやまもと氏は
「どうしてこんなに馬鹿なのでしょう。天賦人権論とは何であるのか以前に、現代国家における憲法の役割に対する理解が及んでいないようであります」
とおっしゃっていますが、全く同感です。憲法は国民の人権を保障するためにあるのです。さらにいえば、そもそも国家は国民の権利を守るためにあるのです。安倍総裁や片山議員ときたら、近代市民革命以前の封建主義の感覚です。
総選挙の争点5 安倍自民党のトンデモ改憲案は大日本帝国憲法より醜い封建主義憲法です
さらに、やまもと氏の記事にこんな引用もあってのけぞりました。
自民党の西田昌二と片山さつきが、国民主権と基本的人権を否定してしまいました
http://togetter.com/li/419069
上の記事には光栄にも私の記事もリンクしていただいていますし、是非クリックして全体を読んでいただきたいのですが、「立憲主義って言葉を聞いたことがない」という名言もある西田という議員さんは、テレビで、「主権は国民にはない日本が長年培った伝統と歴史に主権がある」と宣言されたそうです!
なんやねん、伝統と歴史に主権があるって。伝統と歴史さんが主権を行使できるんかいな。
自民党のトンデモ改憲原案はもはや「憲法」とは言えない この国にはまともな政党はないのか
憲法制定権力 [ハードカバー]芦部 信喜 (著) 主権論を語るならこれくらい読んでください、西田議員。
というわけで、自民党のトンデモ改憲案を作ったお二人は、実に時代錯誤な、凄まじい感覚の持ち主なのですが、もう西田氏のことは語る意味もないと思いますので、今回は初めて片山議員について述べたいと思います。
生活保護叩きをはじめとして、妄言・暴挙をしまくっている片山議員ですが、わたくし、実はこれまで取り上げたことがありませんでした。なぜかというと、はっきり言って、この方が小物だということもありますが、なにより文章が物凄く下手なんですよ。何を書いているのか本当にわからないものがほとんどで、論評しようがなかったというわけです。
ところが、やまもと氏からだけでなく、ネットで散々叩かれたらしく、BLOGOSに片山議員の以下のような弁明記事が載っていました。
芦部教授の生命・自由・および幸福追求権の判例(最大昭和44年・12・24)への解説。自民党の18条改正条文、身体拘束からの自由を明記してますご心配なく!
記事の表題からして日本語として変でしょう?この方、いつもこんな題なんです。ですが、な、なんと、この記事で初めて知ったのですが、片山さんって私の学部の先輩で、3年生で外交官試験に合格し、4年生で国家Ⅰ種試験に合格して大蔵省に入省したという、超エリートなんだそうです。
外交官試験とか、国家Ⅰ種試験なんて、わたくし目指したこともないのですが、あれですか、これらの試験は文章を書く論述試験はないんですか?ひょっとして、択一式と穴埋め記述式だけなんですか?世に名だたる難関試験を突破されたのに、数十年仕事したら、こんなに文章が下手になるなんてことがあり得るのでしょうか。
。。。と言うくらいの、実はこの記事も、凄まじいほどの悪文で、解読するのが本当に大変だったのですが、不肖わたくし宮武嶺は法学部とロースクール、司法試験予備校で憲法を教えて来た身です。となれば、こと憲法にかかわる記事である以上、無視もできませんから、なんとか、解析にトライしてみたいと思います。
まずですね、この文章が何を主題としているのかさえ、よくわからないところがあるのですが、真ん中あたりに
自民党の憲法改正案の18条ですが、
現行18条「何人もいかなる奴隷的な拘束も受けない。犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない」
よりも、弱まったということは、決してなく、むしろ、どういう拘束が今の時代ありうるのかと考えたうえ、次のように明確化しております。
と書いてあるので、自民党の改憲案では徴兵制はしませんと言いたがっているような気もするのです。
しかし、後のほうを読んでみると
「また、一時期、これが徴兵制とのからみ、と誤解されていましたが、ネットの論者も「それとは別。現行条文でも法律できめれば、徴兵することがただちに違憲ではないというのが通説」と認めています。」
と書いているので、今の憲法でも徴兵制は合憲なんだと言ってしまっています。だいたい、ネットの論者って誰のことなんでしょうか。ま、とにかく、徴兵制は今でも合憲のようです、片山説では。
そして、片山議員の、そこに至るまでの論証で噴飯ものなのは、憲法学の泰斗、故芦部信喜先生の文章を引用するのはいいのですが、昭和44年の最高裁判例の解説を持ってくるのはあんまりじゃないでしょうか。だって40年以上も前の判例ではないですか。しかも、この人、芦部先生の教科書や論文集を持っていないらしく、
「生命、自由および幸福追求の権利」について、講義録等から、次の判例解説をみつけましたので、ご参考まで。
って、紹介しています。自分が法学部生だった時のノートから引用しているんですよ。これ、酷すぎませんか?
さらに、芦部先生が
「公共の福祉」については、何がこれに該当するかが抽象的すぎるので、何が人権侵害となり、何がならないのかもう少し、判断しやすい文言であれば、ということはたしかにおっしゃっていました。
って書いてあります。あの、それ、あなたが芦部先生の授業を受けたときの記憶ですよね!?何十年前の話なの??
一言言わせてください。そんなお前が芦部を語るな!
憲法 第三版 [単行本] 芦部 信喜 (著) 司法試験受験生なら誰もが持ってる基本書中の基本書。片山さんが卒業してから出た本だから、彼女はこれさえ持ってないんだろうなあ。。。
で、ですね、さらに猛烈にひどいのは、片山議員が引用している昭和44年の最高裁判例って、「博多駅テレビフィルム提出命令事件」って言って、デモの状況を撮影したテレビ局のフィルムを刑事事件の証拠として裁判所が提出させることが、報道機関の報道の自由を侵害するかという問題に関する判例なんです。
公共の福祉に関する判例でもないし、もちろん徴兵制だの奴隷的拘束の禁止だのと全然関係ないんですよ。
この人、実は芦部先生の憲法の授業なんてほとんど出たことがなくて、たまたま手元に残っていた全く関係ない判例の話を持ち出してるんとちがうんですか、ほんまに。
それでいて、この判例に対する芦部先生の解説が、彼女の記憶では
「公共の福祉」については、何がこれに該当するかが抽象的すぎるので、何が人権侵害となり、何がならないのかもう少し、判断しやすい文言であれば、ということはたしかにおっしゃっていました。
というんです。それだから、自民党の憲法案で人権を制限するのが正当化されると言いたいようなんですが、なんなんだ、この根拠薄弱ぶりは。
そもそも芦部先生が何が人権侵害かを明確にした方がいいとおっしゃったとすれば、それは基本的人権の侵害を許さず、より確実に保障したほうがいいという意味に決まっているじゃないですか。もう、片山議員は我田引水もはなはだしいというか、妄想も極まれりというか、話になりません。
だいたい、よりによって芦部先生をだしに使って基本的人権の侵害や徴兵制を正当化するとは言語道断!
品が悪くて申し訳ないのですが、もう一回いわせてください。
お前だけは芦部先生を語るな!
憲法学 1 憲法総論 [ハードカバー]芦部 信喜 (著)
そして、このあと、片山議員の記事は急に徴兵制の話に飛びます。勉強ができるということと、賢いということはこうも違うという見本のような人で、もう論理の飛躍が本当に理解しがたいのですが、片山議員のこのエントリーはこう続きます。
また、自民党の憲法改正案の18条ですが、
現行18条「何人もいかなる奴隷的な拘束も受けない。犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない」
よりも、弱まったということは、決してなく、むしろ、どういう拘束が今の時代ありうるのかと考えたうえ、次のように明確化しております。
改正案「18条(身体の拘束及び苦役からの自由)
1、何人も、その意に反すると否とにかかわらず、社会的または経済的関係において、身体を拘束されない
2、何人も、犯罪による処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させなれない。
この方が、借金のかたに無理やり身柄を取られて拘束される場合に、それが「奴隷的かどうか」などという抽象的基準で悩む必要がない、使える条文であると思いますが。しかも、意に反しても反してなくても、身体の拘束はすべてだめ、といっているわけで、むしろ強まったとも言えます。
あのですね、借金のかたに無理矢理身柄を取られて拘束されないように、自民党の憲法案を作ったんですか?そんなこと誰が悩んだんですか??
そんなヤミ金か暴力団みたいな行為の禁止など、憲法に規定しなくても、刑法の逮捕罪・監禁罪・誘拐罪などでまるで問題なく処理できていますがな。もう言っていることが牽強付会過ぎてめちゃくちゃです。
そもそも自民党案の問題は、現行憲法では「何人もいかなる奴隷的な拘束も受けない」と無制限、無条件に奴隷的身柄拘束を禁止しているのに、自民党案では「社会的または経済的関係において」は身体を拘束されない、と限定を加えてしまっていることなんです。
それを鋭い人権感覚を持つ方々が、次々と批判しているわけですよ。
なんで、禁止される身柄拘束にそんな制限的文言を入れる必要があるのか。まさに、徴兵制は社会的または経済的な関係における身体の拘束ではなく、国民の義務としての「法的な拘束」なのだと正当化するためなのです。
それが証拠に、自民党改憲案は「憲法前文において『国を自ら守る』と規定するとともに、憲法第9条の2第3項として、国が『国民と協力して』領土等を守ることを規定しています。もう、徴兵制は自民党改憲案にしっかり組み込まれているのです。
それを、「社会的または経済的な関係」といれておけば借金のかたに拘束されませんから、良いでしょう?だなんて、そんな子供だましの説明をだれが信用するんですか。
そして、片山さつき議員は最後にこう言います。
だいたい、9条2項が現状なれば、「兵」自体が存在しないことになっていますから、徴兵はありません。
兵が存在しない今は徴兵はない。まさに、今の日本国憲法9条の素晴らしさを、片山議員は図らずも自白してしまっています。
しかし、安倍自民党の改憲案は自衛隊をなくして国防軍を創設します。つまり、この国に「兵」ができるのです。
ですから、安倍・片山自民党は、するのです。徴兵を。
皆さん。あなたか、あなたのお子さんか、大事な人が徴兵される世の中。あなたはそんな世の中にするような自民党を、本当に、本当に選ぶのですか?
総選挙の争点4 安倍自民党の公約「集団的自衛権」で日本の国防軍はアメリカの戦争に参戦する
世論調査の支持率が本当に本当に信じられない。
片山議員に比べて、秋原葉月さんの憲法論の見事さよ!爪の垢でも飲むといいのです。
2012年版自民党憲法改正案批判~(1)国民主権
2012年版自民党憲法改正案批判~(2)平和主義
2012年版自民党憲法改正案批判~(3)基本的人権の尊重
よろしかったら上下ともクリックしてくださると大変うれしいです。
2012年11月29日 11:00 財経新聞
自民党の石破茂幹事長は28日、国防軍について「国の独立を守る組織を憲法に書くのは当たり前」とし「名前がけしからんと言いがかりに近いことを言って、争点にしようというのは健全な考え方ではない」と民主党などの批判をけん制した。
自民党は党のHPで「自民党があたかも戦争を引き起こすかのような報道や批判がでているが、それは間違い」としたうえで「私たちはシビリアン・コントロールの鉄則を変えるつもりはありません」と説明。
あわせて「憲法の平和主義や戦争の放棄もまったく変わらない」とした。
自民党は「自衛隊は国内では軍隊と呼ばれていませんが、海外では軍隊として扱われている」とし「こうした矛盾を解消するため、憲法を改正することで自衛隊を国防軍として位置付けることを公約に揚げているのです」と説明している。
ただ「国防軍」論議の中で「徴兵制が出てくるのではないか」と懸念する声に対する説明はなされていない。
国防軍で話題になり始めた徴兵制
参議院の礒崎陽輔議員のツイッターでも、礒崎議員に対し「国防軍ができて、徴兵であなたのお子さんに赤紙がきたら、お子さんを国防軍に入隊させ ますか」との質問が寄せられ、礒崎議員は「軍隊の存在イコール徴兵制は間違った認識。自民党は徴兵制は採りません」と回答している。
ただ「自民党は採らない」としているのみで、「採れない」とはしていない。
自民党は憲法改正草案Q&Aでも「党内議論の中で『国民の国を守る義務』について規定すべきでないかとの意見が多く出されたが、規定をおいたと き、具体的な内容として『徴兵制について問われることになるので』憲法上規定に置くことは困難であると考えました」と解説している。
憲法上規定することは困難としたが「憲法前文において『国を自ら守る』と抽象的に規定するとともに、憲法第9条3項として、国が『国民と協力して』領土等を守ることを規定した」と説明。
これは、憲法前文の趣旨、9条3項の下に国会で法律として『徴兵制』を敷くことができる余地を残したとみられ、「自民党は徴兵制を採りません」 との説明ながら、憲法改正により自民の憲法草案内容で改正され、国会で必要な法律が通れば、徴兵制は採れる解釈になる。(編集担当:森高龍二)
片山さんは優秀な方なので、もし卒論で憲法論を書けといわれたら私などより遙かに立派な憲法論を書ける力量はおありでしょう。
なのに確信犯で法に疎い一般に一般市民を欺くようなことを仰るのは非常に残念です。何かしら蜜の味がするのでしょうね。
しかし、片山さんのは、信じ難い酷さです。石原慎太郎の下を行く珍しいほどの悪文です。
もしプロパガンダで書いてるなら、もう少しましなものを書くのではないでしょうか。
秋原さんは全くお世辞ではなく、あの140文字制限のツイートでも舌を巻く鋭さです。私も最近時々ツイートするのですが、足元にも及びません。それに引き替え、片山さんのツイートときたら。。。。ひょっとして、安倍殺しの刺客なんじゃないかと思うくらいですw
ペーパーテストでは人の能力のほんの少ししか測れないのですね。
そして、研鑽を怠れば人間はだめになる一方なのだと片山さんは教えてくれている気がします。
これからも秋原さんのご健筆を期待しています。
まずは、来週の日曜日まで。私も及ばずながら頑張ります。
ask not what your country can do for you; ask what you can do for your country.
を想い出しましたがもしそうならその後の大事な部分
but what, together, we can do for the freedom of man.
が抜けている
徴兵制の前に、志願兵の年齢制限撤廃を提案します。
もちろん、国会議員は志願できないなんてことは絶対になしです。ベニア板のモーターボートに慎洋とか晋洋とか名前つけて、運転するくらいできるでしょう。
護憲連中に任せると中国韓国に乗っ取られる!って言ってる連中と同レベル。
まあ貴方みたいな陰謀論脳が世間に全く受け入れられないのは、来週に結果が出ればはっきりするでしょうね。
負けた後にも陰謀だ!日本人は愚かだ!とか見苦しいことを言い出さないでくださいね。
“国防軍だ核武装だと勇ましい人達は、全員、自分が銃を持つ事はない年齢の人ばかり”。
無責任ですよね。
自分は安全な場所に身を置いて旗を振るだけなんです。
今回は自民党ですが、大抵は彼らの考えを守るように働きます。
そして今回の発表が政府の意思だとするなら、行動やもって行きたい理論や思考がとても似通っています。
本来自分に不利になったり、自分を拘束するようなものを擁護し、それに反対意見を述べるものを攻撃するのは、自分の意思で書き込んでるのだとしたらおかしすぎます。
もしバイトだとしたら、24時間ありとあらゆる色々な場所に現れるのにどれだけお金を支払っているのでしょうか。
昔からテレビとネットで書き込みに温度差があったけれど、テレビ等で出ている意見に反対するような意見にはネットウヨと通称呼ばれてる集団が攻撃している構図が多かった。
余計な意見を出さないようにするかのように。
それがネット上での情報コントロールの役目をしてるのは分かる。それをやってる元はマスコミの操作をしてる元と同じではないかと思う。
情報コントロールも詐欺師のようにもっともらしい言葉で誘い込むような事はしないで直接的な罵倒や暴力的な脅しをするところから性格が読み取れる。
「そうだ!やつらが俺達の税金の無駄遣いをしてるんだ!」と騒いだ皆さん、
落ち着いてよく考えてみてください。
高額所得者の脱税額を知っていますか?
リストラをし、過酷な環境&低賃金で
従業員を働かせている企業の
内部留保の額を知っていますか?
なぜそういった人達の「バッシング」はしないのでしょう。
弱い者いじめの方が楽しいですか?
自民や維新に投票して、
自分が「弱者=いじめられる側」になって、
その時に「こんなはずじゃ・・」と言っても、遅いんです。
さて徴兵制に関しては、充分可能性はあるものの
本当に「しないかもしれない」という気もします。
弱者踏みにじりの政策で、
「食べていけない若者」を増やせばいいのですから。
そんな若者達は安部氏の「国防軍」に志願するしか
選択肢がない、ということになります。
「まさかそこまで、ひどくないだろ・・」と思いますか?
そんな考えこそが、「平和ボケ」です。