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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

自分の人生の中では誰もが皆主人公。政治においては政治家ではなく国民が。それが国民主権原理。

2013年01月03日 | 日本国憲法の先進性

 

 2012年の暮れに、個人的に大きな気づきがありました。きっかけは下の記事でも書いたように、ソウルメイトまこっちゃんと話したり、シナジースペース社の経営者セミナーに行くようになって、「企業は経営者ではなくスタッフである」と痛感したことなどからです。

総選挙の争点9 原発・沖縄・教育・生活保護 人の命を食べて生きない決意 人には人を殺さない権利がある

 実はわたくし、中学・高校の頃、さだまさしのファンでして、さだまさしに恋愛も人生もみな教わったといっても過言でないくらいに熱中してました(恥)。

 そのさだまさしの歌に『主人公』という人気作があって、その中の「自分の人生の中ではだれもが皆主人公」というワンフレーズがいつまでも心に留まっていました。なんだか、健気で謙虚な感じがして、そうそう誰もが社会でスターになれるわけじゃないけど、自分の人生の中でくらい主人公だと思えたらいいよね、と考えてきたのです。

(高校の時に『関白宣言』という誰が見ても女性差別のシングルが出て、完全に縁を切ってしまいました)


 が、昨年末、少なくとも私自身は自分の人生の中でも主人公でなくていいな、と思うようになりました。家では娘や妻や親族が主人公。事務所で言えば、さとちゃん秘書室長、しまちゃん弁護士、ちかボン秘書が主人公で自分は脇役と言うか、裏方と言うか。

 なにより、相談者や依頼者の方々が主人公で、その方たちの人生の角度を一度上げるお手伝いをする主人公は同僚弁護士や秘書さんたちであり、私はそのまたお手伝いをするのだ、という心境です。

 そう思っていたら、「あれ?!そういえば司法試験に合格した後の司法研修所では、俺はハチと呼ばれてたぞ。ハチってなんや?!」と思い返し始めました。まさか忠犬ハチ公じゃないし、銭形平次の子分の八五郎じゃないし・・・・・

 あ、そうだ!水戸黄門のうっかり八兵衛だった!!と。

 (顔が真ん丸だったから)

 なるほど、私には黄門さまはもちろん無理だし、助さんとか格さんとか風車の弥七を目指すのもしんどいし(由美かおる、無理だし)。しっかし、黄門さま一行で欠くことのできない存在、主役でないけれども一行のムードメーカー。そうそう、自分は悩んだり落ち込んでいる人のそばにいる「にぎやかし」がちょうどいい具合だと思うようになったのです。

 昨日、永ちゃんみたいにカッコ良く、と年始の抱負を書いたばかりなのに矛盾してますが。

今年2013年の抱負

(やっぱ、ちょっとイヤかも 笑)

 

 

 しかし、政治では間違いなく、主権者たる国民が主人公です。日本国憲法前文はその冒頭でこう宣言しています。

日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由 のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を 確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれ を享受する。

 これが基本的人権の尊重、平和主義と並ぶ日本国憲法の三大原理とされる有名な「国民主権」です。ここでは確かに、「国会における代表者を通じて行動し」とか「その権力は国民の代表者がこれを享受し」とありますが、その目的は

「われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにする」

ためであり、

「国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する」

のです。「人民の、人民による、人民のための政治」(リンカーン米大統領のゲティスバーグ演説より)ですね。

 国会議員は国民の代表者として権力を行使しますが、その権力行使が許されるのは国民が厳粛に信じて託したからであり、国政がなぜ正当化されるかという権威の源も国民に由来し、その福利は国民がこれを享受(喜んで受け取る)のです。

 そして、日本国憲法はこう続けます。

「これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。」

 

 

 今のこの地球上で、ごく一握りの全体主義国家や独裁国家を別にして、この国民主権原理を認めない国民や国はないでしょう。 

 しかし、現在の日本では橋下徹大阪市長を筆頭に、選挙で多数から選ばれれば白紙委任だとこの国民主権原理をないがしろにし、民意を反映して国民のための政治を行ってこそ正当化される国民代表の概念をはき違えている独裁志向の政治家の台頭が目立ちます。

 末尾の“橋下氏つぶやき”年間5749回! 「前例がない」は脳を腐らせる!?という 記事をご覧ください。橋下市長が去年一年間にツイッターでつぶやいたツイートが6000弱。そのかなりの部分が公務の最中に垂れ流されました。そして、2012年の最後には

 橋下市長が職員にとって安らぎの一時である“ランチタイム改革”を表明したのは12月30日。

 ツイッター上で「(市役所は)サービス業であることの意識を来年から徹底していきます」と宣言。その上で、「今、大阪市役所は、お昼になると変な音楽が庁舎内に流れます。それを止めて、来年から組織のスローガンを流していきます」と書き込んだ。

 スローガンの候補案としては「役所事業はサービス業であることを意識せよ」「『前例がないからできない』は言わない」「『担当が違います』は言わ ない」「朝礼はやってますか?」などが有力だが、市長は「民間だったら当たり前のこと。皆さんからもご意見を!」と呼び掛けている。

というのです。変な音楽ってまさか彼の嫌いなクラシック?!それにしても、大阪市役所の主人公は大阪市職員だとか、彼らも主権者たる国民だとか、昼休みはゆっくり休むのが国民の当然の権利だとか、そうすることで主権者で市政の主人公たる市民にもより良いサービスができるという発想が全くありません。

 それに、上のようなおかしなスローガンが昼休みの間中、放送で流れているような民間企業ってあるんですか、ほんとに。それ、無理に社員を鼓舞して悪徳商品を売りつけるブラック企業でしょ。

 なんのためにこんなことを思いつくのか。もう俺様が王様で主人公で、お前らは下僕だと言わんばかりです。

なぜ日本国憲法96条は憲法改正をしにくくしているのか 「笑顔のファシズム」に気をつけましょう


 そもそも、橋下氏や石原氏のような政治家は、選挙で選ばれれば自分が天皇より偉いとでも思っているのでしょうか。

 日本国憲法は第一条で再度、国民主権原理を説き、

天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。 

と規定しています。日本国の象徴である天皇でさえ、主権の存する日本国民の総意に基づくのです。まして、国会議員や首長においてをや。

 この、国民が国の政治の主人公であるという国民主権原理は、全世界の人類が長年の努力で手に入れた人類普遍の原理です。だからこそ、

「われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。」

 そう、国民主権原理に反するのであれば、たとえ憲法でも我々は排除します。もちろん、国民主権原理を踏みにじる政治家も。

 自ら虫けらになるものはあとで踏みつけられても文句は言えない、のですから(ドイツの哲学者カントの言葉)。

総選挙の争点7 安倍自民党の「憲法改正」案なら基本的人権の保障は大日本帝国憲法に逆戻りする


 

冒頭のお話の続き。これはいいことを思いついたと、

「僕は人生で『うっかり八兵衛』でいいと思うんですよ」と先輩にお話したら

「でも、うっかり八兵衛もけっこう活躍してるでえ」と言われて仰天し、

「ええええ!?人生の町人Aだけは嫌です!」と叫んだ・・・・

という話を事務所に帰ってきてからチャーリーズエンジェルたちにしたら、さとちゃん秘書室長が

「わたし、うっかり八兵衛に飴ちゃんもらったことがあります」

と言いだしたので、なにを電波系みたいなことを言うのかなと思ったら、なんとうちの秘書室長は町娘役で本当に「水戸黄門」に出演したことがあったのです!それで、ロケの出待ちの間に八兵衛役の高橋源太郎さんに話しかけられ、飴ちゃんをもらったんだと!

うわああ、俺にとっては空想の世界の水戸黄門一行だったのに、リアルに出演した人が自分の事務所にいたよ!わし、マジで人生の脇役やん!!

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“橋下氏つぶやき”年間5749回! 「前例がない」は脳を腐らせる!? 

産経新聞2013年1月2日(水)08:46

 大阪市の橋下徹市 長が平成24年の1年間で、ツイッターでつぶやいた回数が計5749回に上ったことが1日、分かった。年末のつぶやきでは、今年から昼休み時間中に市役所 の庁内放送で流していた音楽を中止し、「『前例がないからできない』は言わない」といった職員の意識改革を促すスローガンに切り替える意向を表明。市職員 にとっては、おとそ気分にも浸れないようなつぶやきが相次いだ。

 橋下市長が職員にとって安らぎの一時である“ランチタイム改革”を表明したのは12月30日。

 ツイッター上で「(市役所は)サービス業であることの意識を来年から徹底していきます」と宣言。その上で、「今、大阪市役所は、お昼になると変な音楽が庁舎内に流れます。それを止めて、来年から組織のスローガンを流していきます」と書き込んだ。

 スローガンの候補案としては「役所事業はサービス業であることを意識せよ」「『前例がないからできない』は言わない」「『担当が違います』は言わ ない」「朝礼はやってますか?」などが有力だが、市長は「民間だったら当たり前のこと。皆さんからもご意見を!」と呼び掛けている。

 また、朝礼については「公務員の世界では超過勤務手当が発生するからできないというバカな議論がある」と痛烈に批判。大阪市では職場での朝礼実施は問題ないとの認識を示した。

 このほか、29日のツイッターでは「『前例がない』はNOの理由をきちんと言えないときに多発。このフレーズは脳を腐らせる」とし、職員が「前例がない」を口にすることを禁止するとした。

 24年最後のつぶやきは、グローバルイノベーション事業の部門長公募の告知。「成長戦略を語る人は山ほどいるのですが、実践して下(くだ)さる方は少ないんです。よろしくお願いします!」と呼び掛けた。


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12 コメント

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久しぶりに、、、 (交通人)
2013-01-03 09:31:24
まともな記事を見れた気がしました。

橋下氏や石原氏に対しては、結論ありきなところは変わらないようですが…(汗


> われらとわれらの子孫のために、

我らの定義が、日本国民を指すのか、人類を指すのか。
混沌とする昨今においては、後者である意識が重要になりますね。


> 自ら虫けらになるものはあとで踏みつけられても文句は言えない、のですから(ドイツの哲学者カントの言葉)。

そもそも、【虫けら】なら踏みつけても構わないと思ってる所が違います。
虫けらにも生きる権利はありますから!
故に、上記のようにあとで踏みつけられたとしても文句は言えますね。
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憲法とは何かを再確認させて戴きました。 (安打製造屋)
2013-01-03 09:47:29
私達は再度、憲法の意義を学ぶ必要があります。このブログは将にその事を教えて戴ける貴重なブログですよ。(別にブログ主様が弁護士だから持ち上げている訳ではありませんので、) 昨今、一部の独裁的思考を持つ政治屋の妄言暴言戯言と行動が我々の生活を破壊しようとしている。それに打ち克つには、再度憲法の意義を学ぶ事である。その為には、この様な良心的なブログを拡散する事が必要でしょう。
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初レス (ray)
2013-01-03 10:02:23
通行人あらため交通人さま。ハンドルネーム設定ありがとうございます。なお、通行人とか名無しとかはやめてくださいというのは名指しではなく歴代何十人もいらしたので、皆様にお願いしたわけです。
さて、
>そもそも、【虫けら】なら踏みつけても構わないと思ってる所が違います。
虫けらにも生きる権利はありますから!
いえいえ、交通人様が踏みつける側で考えているのに対して、私は踏みつけられる側で考えているところが違うということが、はからずも明らかになったと思います。
踏みつけられる側は、黙っていてはいけないということです。
踏みつける側はあらゆる人を踏みつけてはならないのは当然です。

安打製造機様、旧年中はお世話になりました。今年もよろしくお願いいたします。
憲法は国家権力を抑制して濫用を防ぎ、国民の基本的人権を保障するものですから、踏みつける側には非常に邪魔ですが、踏みつけられる側には頼もしい味方となる人類の叡智です。
これからも共に学ばせてくださいませ。
返信する
誤解・・・ (交通人)
2013-01-03 10:46:52
哲学者カントに対しての意見だったのですが…

この哲学者は、虫けらは踏みつけられても文句が言えないと考えているからこそ、
同じく虫けらになろうとする人間もまた文句が言えないと結論づけてますよね。

そもそも、その(虫けらに対する)考え方がおかしいのでは?という意味です。
決して、踏みつける側の立場で述べた意見ではありません。


> なお、通行人とか名無しとかはやめてくださいというのは名指しではなく歴代何十人もいらしたので、皆様にお願いしたわけです。

なるほど。了解しました。
てっきり、名指しで「お前のコメは承認しないぞ!」というコトかと勘ぐってました(笑
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変な音楽 (mikicha)
2013-01-03 12:40:17
瑣末なことですが。
現職の大阪市長が変な音楽と断罪しているのは
大阪市歌だそうです。
マスコミも「変な音楽」が何かまでは記事にしないのですねぇ。変ですねぇ。

国歌は強制するけど・・・。
市長だけど大阪市に住まず
大阪市を壊し、市(市民)の財産を売り飛ばすことに精を出しておられる、一言でいえば大阪市に何ら愛情を持っていない御方。
市歌を強制的に聴かされるのはまっぴらごめんなのでしょうね。
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虫けらにはなりたくないです (kei)
2013-01-03 12:46:32
交通人さん、

私は、虫けらにも生きる権利も文句を言う権利も有るとは思いますが、その権利を阻害する人物が権力を握ってしまえば、踏みつけられてあっという間に死んでしまうから、文句は言えないと言うことだと解釈しました。

なので、私は自らが虫けらにされてしまうような人物を権力者として選択はしませんし、皆にもなって欲しく有りません。
返信する
Unknown (Unknown)
2013-01-03 13:34:32
そもそも「政治家」と言う存在が国民ではないと思います
国民の中から選ばれた国民の代表者が政治をする
と言うのが基本だったはずです
ですが、「政治家」と呼ばれる人は、国民の中の一人とはかけ離れた存在ですよね

学校かなんかの学級委員知ってますよね
または生徒会
あれは児童であって委員でもあります


国会議員も、例えば普段会社員の人が議会に参加する
そんな国民自らが政治に係るのを民主主義というのではないでしょう


裁判員制度ってありますが
国会議員こそそうやって選ぶべきだと思います
返信する
皆様、新年早々コメントありがとうございます! (ray)
2013-01-03 14:48:49
本年もよろしくお願いいたします。
mikichaさま、keiさま、今年もよろしくお願いいたします。

さて、今年から、みなさまお一人おひとつずつ、固定ハンドルネームをつけていただくことを昨年以上に強くお願いしております。

当ブログ左上部の注意書きをお読みになって、是非、素敵なハンドルネームをつけてくださいませ。
返信する
お? (時々拝見)
2013-01-05 17:22:22
前例がないからはなし、で、民間並ってことは
1.大阪市は外国人を採用する
2.公務員のスト権を認める
3.市長も暇な時は窓口など平公務員の仕事をする
あたりから始めるといいですね。
あ、3は前例がありますか。
昼休みにスローガンって、前例ありありですね。
返信する
お久しぶりです (おーちゃん)
2013-01-07 21:32:45
先生、ご無沙汰しています。試験は落ちて、見事失権してしまいまして・・・(呆)。

今年は社労士に全力をかけているところです(予備試験もあきらめませんが)

さだまさしですか(笑)

 いや~実はさだ先生の影響で、落語研究会に入部したくらいで、さだ歴は長いです。

たしかに、関白宣言やライブでの右派的な発言も多いので、いろいろツッコミたくなります

が、それでも毎年一回はライブに行っています(観客の中では若手~笑)

音楽もお経みたいで、嫌いな曲も多いのです

が、「前夜」「風に立つライオン」とか、たまに傑作が出てくるので、僕の場合はさだ歴は続いています。

小田さんにしろ、さだまっさんにしろ、みなさん元気でいて欲しいですネ





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