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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

桜宮高校の体罰事件を解きほぐす

2013年01月25日 | 子どもの権利

 

 体罰を受けた生徒さんが自死されたわけですから、もともととてもデリケートで難しい問題だったのですが、いろいろとボタンの掛け違えがあってますます難しいことになっているようです。

 2013年1月20日に市長が桜宮高校に行く、市長の要請で市教委が体育科の入試「中止」、その日に生徒の有志が記者会見したり、それを評論家が心無く責めたり、桜宮高校の生徒と思われる子が流したツイートの内容が物凄くひどくて波紋を呼んだり、大阪府と大阪市の教育委員会委員長と大阪市長が三つ巴でいがみあったり、この一週間だけでも悲劇が拡大し続けている感があります。

 また、桜宮高校の生徒に対するネット上での攻撃も凄まじく、現実社会でも、生徒が街で体罰問題の責任を問われるような罵声を浴びたり、自転車置き場で同校ステッカーを貼った自転車のサドルが抜かれるなどの嫌がらせを受けています。誰が加害者で誰が被害者か、完全に社会が見誤ってしまい、体罰事件が社会からのいじめ事件に変容してしまっています。

 関係者の方々はもとより、一般市民の方々にも本当に冷静になってもらわないと、亡くなった生徒さんだけでなく、被害者がかえって増えるばかりです。

 というわけで、今から私たちができることを考えてみました。

桜宮高校の体育科入試中止のような、募集続行のような、何も解決しない「すばらしい大人の決定」

(何をやっても責められる桜宮高校の生徒たち)



1 まず、事件解決の目的をはっきりさせる

 体罰事件でもいじめ事件でも、その調査や処分を行う目的は再発を防ぐことと、今生きている生徒たちの学び育つ権利を守ることです。学校を良くするのもそのためです。大人の保身や政治的思惑で生徒たちを犠牲にすることがあってはなりません。


2 公正な調査と厳正な処分を速やかにする

 まず、大事なことはこの体罰事件の客観的かつ徹底的な調査をしたうえで、事実と証拠がそろったら、加害者の顧問教諭を早く懲戒解雇にすることです。また、少なくとも管理する立場にあった校長も学年末を待たずに更迭し、適正な処分をしないといけません。事実が判明次第、その他の体罰教師も処分しないといけません。

 受験中止というか変更というか、そういう間接的でしかも弊害の大きい対策より、悪いことをやった人、責任のある人が速やかに厳しい処分を受けることが必要です。体罰を行ったもの、責任のあるものが必ず厳しく処分されるということを直接示すこと。それがなによりこれからの体罰を防ぎ、体罰容認文化を変えていく最大のきっかけとなるからです。

 なお、亡くなった生徒の遺族の方々が暴行で告訴されたようですが、それをもって顧問教師などに対する調査を怠る口実にしてはいけません。というか、だからこそ本当は刑事告訴よりも前に行政処分をしておくべきだったのです。

 とにかく、刑事手続きは刑事手続きであって、行政の処分とは別です。もし、刑事裁判でその教諭が極端な話、無罪と言うことになったら、行政処分も取り消せばいいのです。郵便不正事件でいったん起訴されて職を失った村木さんが、えん罪とわかって無罪判決を経て復職されたのと同じですね。

 刑事手続きとは別に調査を行って行政の処分の方が早く出されるのは当たり前です。それが、さらに厳密な手続きである刑事裁判でくつがえれば、それは申し訳なかったと真摯に謝って元に戻せばいいのです。刑事手続きが始まっているから、行政処分のための調査もできないなどという言い訳は認められません。

 余談ですが、本件のご遺族から私が相談を受けていたら、暴行(法定刑は2年以下の懲役または30万円以下の罰金)どころか傷害致死(3年以上の有期懲役=上限は20年!)での告訴も相当検討したと思います。ポイントは体罰=暴行・傷害と被害者の死の因果関係ですが、最後の体罰の翌日に亡くなっているのですから認められる可能性も高いと思います。ですから、今回、暴行で告訴されても、検察庁の判断で傷害致死で起訴されることもあり得ます。

 それくらいの重大事案だということを関係者は厳に受け止めてほしいと思います。

体罰はこうやればなくせる 子ども未来法律事務所通信27~体罰に対する誤解を解く~

(こんなことを言った瞬間に校長は更迭すべきだった)



3 調査と報告は公正であるだけでなく、公正らしさも必要である

 今回の事件の中身が明らかになり、さらにこの高校での体罰の全貌が明らかになれば、桜宮高校にかかわる教師、生徒、保護者らも改めてその実態に愕然として、これまで当たり前と思ってきたことが許されないものを含んでいたとわかるのではないでしょうか。そのことがさらに他校での体罰抑止にもつながります。

 その際、調査が行政と教委・学校から独立した第三者により「公正に行われる」ことは当然のことですが、それに加えて、誰から見ても「公正らしく見える」ことも同じくらいに大切です。

 今回の体育系学科の入試を中止するという市教委の決定に対して、教育委員長が反対した理由の一つが、「体育科も普通科も体罰の行なわれている割合が同じだった」と主張していますが、それが事実なら非常に説得力があるものの、いったいそれぞれどれくらいの体罰が明らかになったのか具体的にまるでわかりません。また、橋下市長はさらに抽象的に、自分に上がってきた情報からはこのまま入試を認めるわけにはいかなかったと述べていますが、こういう情報を独占して小出しにする態度が一番よくないのです。

 つまり、調査が意味を持つためには、行政や教委が情報を独占して、自分に都合のいい情報だけ公開しているのではないかという疑惑を持たれたらだめなのです。福島原発事故の調査委員会は政府、国会、東電と3つ作られましたが、調査だけではなく何をいつ公開するのかの決定権限も調査委員会に与えられていました。それは、政府や国会や東電に都合の悪いことも全部公開されていると信頼で来て、はじめて調査にも報告にも意味が出るからです。

 だから、事故調査の報告の記者会見も調査委員長がしたでしょう?もし、菅首相がやったり野田首相がやったり、東電の社長がやったりしたら国民はまるで信用できないでしょう。

 もしかしたら、教師や生徒のアンケートの中に、行政や教委の都合の悪いことが出てきているかもしれません。2011年に公益通報制度でせっかく同じ教師の体罰事件の報告があったのにそれがほったらかしにされたのは、教委からの「指導」があったという回答があるかもしれません。あるいは、橋下市長の日頃の体罰容認発言から体罰に対する規範意識が持てなくなっていたという回答もあるかもしれません。そういう、調査する側の都合の悪いことも全部公開されるはずだという「公正らしさ」が、調査と報告が説得力を持つのにはどうしても必要なのです。

 すでに事件から時間が経過し、ややこしいことがいろいろ起きて調査自体が困難になっていますが、今からでも橋下市長も教育委員会も調査チームを手放し真の意味で独立させ、調査チームも彼らだけに情報を小出しにすることは改めるべきです。 

15の春を泣かせ続ける橋下市長の強権姿勢が体罰の実態調査と対策をできなくしてしまった

桜宮高校の入試中止、校長・教師の全取り換えをいう橋下市長の市長職「中止」=首のすげ替えが一番の方法だ


4 体罰撲滅キャンペーンを始める

 この事件を、義家政務官のようにもはや体罰ではなくて暴力であるとか、橋下市長のように30発殴って被害者が自殺したから限度を超えて犯罪だとかいう人が良くいますが、こういうことを言う人は潜在的に許される体罰があると思っています。そうではなくて、体罰すべてが、1発殴っただけでも、許されない違法行為なのです。

 教師が生徒を殴ったりけったりしたら文句なく暴行罪で、犯罪です。体罰とはこの暴行に加えて、直接身体的危害を加えなくても硬い床に長時間正座させるというような身体的懲罰を含むもので、これは暴行にはならないけれども違法です。つまり、体罰=暴行+違法行為なのです。

 そういう基本的なことを教師に徹底させる研修、生徒にわかってもらう授業をまず桜宮高校で始めるといいです。全校に「体罰ダメ」ポスターを張るといい。そこには、これから新設する教育オンブズマンの連絡先も明記しておき、体罰だけでなくいじめなどの問題も相談できるようにするのです。

 このように、桜宮高校を全国の体育科のある高校の中でも、体罰撲滅モデル校にしたらいいです。ここで行われた研修や授業が大阪市、大阪府、全国でも行われるようになれば、桜宮高校の生徒やOB、保護者も新たな誇りを手に入れることができるでしょう。

 まず、橋下市長も感心したという桑田真澄氏に講演に来てもらったらどうですか。なんなら、同学年で桜宮高校のOBでタイガースの人気捕手だった矢野輝弘さんと大阪体罰ストップバッテリーを組んでもらって、ざっくばらんな話をしてもらったらどうでしょう。矢野さんが数十年前に体験したことももう時効と言うことで、今の感想とともに話してもらったらとてもいいと思います。

 今回、バスケ部とバレーボール部が問題になっていますから、一流選手、たとえば日本人初のNBAプレーヤーである田臥勇太(たぶせ ゆうた)選手に来てもらって、NBAではコーチの暴力など許されるのか話してもらったらいいのです。良い選手とはどういう選手か、良い指導者とはどういう指導をするのか、強くなる、上手くなるとはどういうことかみんなで聞いたらいいのではないでしょうか。女子バレーなんてスターがたくさんいます。生徒たちも興味津々だと思いますよ。 

 超一流選手たちから、体罰がうまくなるのに役立たないから不要なのではなく、暴力だから許されないのだと生徒たちに伝えてやってほしいです。そのビデオを全国の中学高校で見たらいいと思います。

 

5 生徒たちへの本当の気遣いとはなにか

 生徒たちの心のケアが必要だと言われています。スクールカウンセラーの大量投入も必要でしょう。

 しかし、心のケアとして最も大事なことは、友を失った悲しみや、言われない攻撃で傷ついた心を癒してやることです。悪いのは体罰をした人間であって生徒ではないことをわからせてやってほしい。そのためには、北風より太陽です。我々大人が彼らを愛していることを実感させてやることです。

 桜宮高校の生徒たちは疑心暗鬼になり、誇りも傷つけられています。彼らに対する批判がどの程度当たっているのか、それは調査半ばではだれにもわからないことなのに、権威ある大人たちが毎日テレビで「彼らはこうに違いない」と断言しています。

 彼らを癒せるのも、反省すべきことを反省させ成長を促すのも、大人の愛ある態度しかないのです。

 愛とは関心を持つこと。だとすれば、上に書いたように桑田さんを呼ぶとか、桜宮高校の生徒たちを物心両面で良い意味での「特別扱い」をすることが大人の愛を感じさせてやることにつながると思います。彼らは特別につらい目に遭っているのですから、少しくらい特別に丁寧に扱ってやってください。

 たとえ本当に悪い面があったとしても、やたらと責めていたら反省する気持ちも起きません。良い面を伸ばしてやれば、悪い面には本人たちがおのずと気づき、自分たちで成長していくでしょう。

 今、頑なになりがちな若者たちの気持ちを、理性ある大人がほぐしてやってくださいませ。

体罰を容認してきた橋下市長のあるべき反省と謝罪のしかた 追伸あり


 

理性と愛の両方が必要です。

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本文です

橋下市長の体罰発言「教育への政治介入に近い」

 大阪市立桜宮さくらのみや高の体罰問題に対する橋下徹市長の一連の発言に対し、熊本市の幸山政史市長は23日の定例記者会見で、「教育に対する政治介入に限りなく近い」と批判的な見解を示した。

 橋下市長は、体罰問題に絡み、同高の教員すべての入れ替えや、入試の中止要請を教育委員会が拒否した場合は予算を執行しない考えなどを示してきた。

 幸山市長は、記者会見で一連の発言への見解を問われ、まず、大阪市が取るべき対応として、〈1〉自殺の原因究明〈2〉当事者や監督責任者の責任問題の対処〈3〉再発防止策の策定――などを挙げた。

 そのうえで、「これから調査に入ろうとする途中であり、(橋下市長の発言は)一部の情報で感情的な発言につながっているのではないか」「過激な発言で自分の思い通りにさせるという手法にはとても違和感を覚える」と指摘。さらに、政治的介入に近いとの考えを述べ、「改めて、教育委員会の政治的中立性の必要性が明らかになった」とした。

(2013年1月24日11時09分  読売新聞)

 

 大阪市教育委員会が橋下徹市長の要求通り、市立桜宮高校の体育系2科の入試中止を決定した21日夜、同校3年の男子生徒2人と女子生徒6人が記者会見に 臨んだ。「私たちは納得いかない」「学校を守りたい」。8人は「まだ結論を覆せるかも」と、橋下市長と市教委に対し、決意の反論を展開した。
 市役所5階の記者クラブで午後7時半から1時間余にわたった会見。8人はいずれも運動部の元キャプテン。制服のブレザー姿で横一列に並んだ。
 「体育科に魅力を感じて受験したいと思う生徒がほとんど。普通科に回されるのは、私たちは納得がいかない」。女子生徒が口火を切った。橋下市長が同日 朝、全校生徒を前に説明したが、「具体的な理由がなく、私たちの声も十分に聞いてくれなかった。思いは1時間で話せるわけがない。『生徒、受験生のことを 考えて』と何度も繰り返したが、在校生と受験生のことを考えたらもっと違う結果があったんじゃないか」と訴えた。
 橋下市長が体罰の背景に「生徒たちも容認していた」「勝利至上主義」などと発言していたのに対し、女子生徒は「容認していないし、勝つことだけが目標で はなく、礼儀など人として一番大切なことを教えてもらっている」と反論。自殺問題について「心の傷は深く、重く受け止めている。傷を癒せるのは先生」とし て教諭の総入れ替えにも反対し、「多くの生徒が学校を守りたいと思っている」と強調した。
 男子生徒は「今回の結果が覆せるんじゃないかと、強い思いを持ってきた」と会見の動機を語った。別の女子生徒も「今まで続いている伝統は今でも正しいと思っている」と力説した。 

 

桜宮高校の在校生が決定を批判

1月21日 20時56分 NHK

大阪市立桜宮高校で、体罰を受けていた体育科の男子生徒が自殺した問題で、大阪市教育委員会は、体 育科などの募集を停止して普通科に変更したうえで、来月、入学試験を実施することを決めました。入学試験の中止を求めていた大阪市の橋下市長と実施を求め ていた受験生などの双方に配慮した形の決定となりました。
教育委員会の会合のあと桜宮高校の在校生らが記者会見し、普通科に変更して入学試験を実施するとした教育委員会の決定を批判しました。

記者会見したのは、桜宮高校で運動部のキャプテンを務めた3年生の男女8人です。
このう ち、女子生徒は「桜宮高校の体育科などに魅力を感じて受験を希望していた人がほとんどだと思うので、普通科に変えるのはとても残念です。入試のやり方を変 えればいいというわけでなく、在校生の私たちも納得できません」と述べました。そのうえで、「このまま自分たちの大切な後輩を残して卒業できないので、体 育科として入学試験を行うよう求めるとともに、桜宮高校のすべての先生を人事異動で入れ替えないでほしい」と訴えました。
また、21日朝に高校で行われた橋下市長による説明について、生徒たちは「私たちの話を十分に聞いてくれなかった。大勢の生徒の前ではなく、少人数で対話してほしい」と要望しました。

 

画像:桜宮高校生徒たちが記者会見したことについて憤慨する“尾木ママ”こと尾木直樹氏
 
桜宮高校生徒たちが記者会見したことについて憤慨する“尾木ママ”こと尾木直樹氏
画像:生徒による記者会見について思いつづった尾木直樹氏のブログ
 
生徒による記者会見について思いつづった尾木直樹氏のブログ
 大阪市教育委員会が、体罰を受けた男子生徒が自殺した大阪市立桜宮高校の体育科の入試を中止すると決定したことを受け、決定に反対する同校の生徒が記者会見して入試の実施を訴えた。この生徒たちの行動について、“尾木ママ”こと教育評論家の尾木直樹氏が憤慨している。

  市教委の決定では、今春の同校体育系学科の募集を中止し、普通科として募集するとした。この市教委の決定をめぐり、同校で運動部キャプテンを務める在校生 数名が21日に記者会見を開き、決定を批判したことを複数メディアが報じた。尾木氏は22日に更新した自身の公式ブログでこの件について言及。「なぜ記者 会見なの?」「ご遺族の心情考えているの」「命の重みわかっているの」と憤慨するとともに、「誰が仕組んだのかしら?」と、生徒以外の何者かの入れ知恵で ある可能性についても触れ、「やらせるなら生徒会でしょう。なぜ部活の部長? 出てくるべきは学校、顧問、教師でしょう!!」と怒りをあらわにした。

  さらに尾木氏は、会見を行った生徒らが見せた“教師に依存した姿”について、「橋下市長の言う通り、体育科そのもの」と指摘。生徒と教師とが「従属関係」 にあり、マインドコントロールを受けているような状態を「教育に危険、不要なんです」として、「抜本的に見直した方が良さそうですね」との考えを示した。

  前日のブログでは、市教委の決定について、「体罰の悲劇を受け止めけじめをつけた」点と、「受験生の救済」との2点において「この段階としては評価できる と思います」と支持していた尾木氏。「後は人事の刷新、在校生のケアと新生。桜宮作るために、先生も教育委員会も子どもたちと共に立ち上がることです!! 尾木ママ応援します」とつづっていただけに、今回の記者会見の1件はどうしても看過することができなかったのだろう。22日付けのエントリーでは、今回の 事件によって大きな衝撃や動揺を受けたであろう同校生徒たちを慮るとともに、「これはひとりバスケ部の問題ではありません!!今こそ正式に生徒会が立ち上 がる時!学校づくりの課題として、クラス討論を基礎に、全校生徒の新生桜宮高校ビジョンまとめるべきです」と改めて生徒たちに呼びかけている。 
 
 

 2年の男子生徒が体罰を受け自殺した問題を受け、体育科とスポーツ健康科学科の入試中止が決まった大阪市立桜宮高校で、新たな問題が起きている。

 同校の生徒と見られる人物が、ツイッターで橋下徹大阪市長に対し「ええ加減にせぇ」「民がいきんな」などと投稿していたことが明らかになったのだ。さらにこの人物を含む複数の生徒がツイッターで飲酒や喫煙を告白していたことも分かった。

■「いまならあいつのこと何にでも出来る」

 2013年1月20日、桜宮高校の男子生徒と見られる人物が、ツイッターに居酒屋で飲酒している写真を掲載しているのをネットユーザーが発見、2ちゃんねるで騒ぎになった。

 さらにツイート内容から男子生徒と交際していると見られる桜宮高校の女子生徒のツイッターアカウントが割り出されたが、その生徒は1月18日と21日、こんなツイートを投稿していた。

  「おい、おまえええ加減にせぇよ おまえじゃはしもと、なんで●●(実名)らまで馬鹿にされな あかんな、民がいきんな 本間、殺意芽生えるわ。」(18日)
  「とりあえず、今思うことわ これだけ。あいつ、今日 何しに学校きたん?教えて、本間。いまなら あいつのこと何にでも出来る 誰しもが思うやろな、殺すぞて、あほちゃん、本間、大の大人が、」(21日)

 橋下市長は1月21日に桜宮高校を訪れており、名指しはされていないが下のツイートも橋下市長にあてたものとみられる。

 このユーザーはほかにも「いまから呑み」「今のうちにタバコ全部吸いきらな」など、飲酒と喫煙を匂わせるツイートもしており、2ちゃんねるで「酷すぎ る…これが大阪か…」「触ったらいけないものにさわちゃったね」「今まで橋下やりすぎかと思ってたけどこのツイート見て橋下が正しいと思うようになった」 などと書き込まれている。

「飲酒や差別が伝統なのか」生徒の会見にも批判

 本人あてにも、「差別するとか、桜宮高校うんぬんの前に人間として最低だと思うんだよね」「人間として終わってんだろこの女。橋本さんに殺人予告ま でだしてるよ(原文ママ)」「やっぱり桜宮高は大阪の恥ですね。というか日本の恥では」など、野次馬から多数のリプライが寄せられ、炎上状態となった。

 思わぬ騒ぎに驚いたのか、このユーザーは1月23日11時30分過ぎにツイートを非公開に。13時前後にはアカウントを削除している。

 しかし桜宮高校の生徒や関係者と思われる人物による、ツイッターでの問題発言はこれ以外にもある。

 「橋下、お前みたいなやつがおるから世の中腐っていくねん。周りの人間のことちょっとは考えろ。偉いからって調子乗んなよ」「まじはしもとなんなん?桜 宮高校に汚い足 踏み入れんなよな」など橋下市長に対する暴言や、「大五郎飲んじゃってるわ」「パチンコなう」など、高校生にあるまじき行為の告白が投稿されている。

 桜宮高校の生徒は1月21日に開いた記者会見で、「礼儀やマナーなど人として大切なことを学んできた。桜宮高の伝統は正しいと思っている」などと話して いた。しかし一連のツイートで「伝統だから大丈夫 体罰も飲酒も喫煙も殺害予告も差別も全部伝統だから」「飲酒やら暴言が礼儀、マナーとして教えられてるのか」といった、皮肉まじりの批判も浴びせられ ている。

 

府教委vs市教委 泥沼バトルに橋下市長激高

協議を終え取材に応じる(左から)陰山大阪府教委委員長、松井大阪府知事、橋下大阪市長、長谷川大阪市教委10+ 件委員長

 大阪市立桜宮高の男子生徒自殺問題で、同校体育系学科の今春の募集中止を受けた大阪府市の対応を協議する会議が24日、大阪市役所で行われた。ここで、両教育委員会のトップが批判の応酬を繰り広げ、市教委10+ 件の長谷川恵一委員長(65)が府教委10+ 件に協力要請しないとヘソを曲げる“場外バトル”が勃発。いったんはなだめ役に回った橋下徹市長(43)も、結局は長谷川委員長にダメ出しするなど、府市の教育行政の亀裂を公開してしまった。

 会議では、市側が体育科入学を希望する受験生の受け皿として、府立高体育科の定員増を府側に要請。松井知事は「オール大阪でやりましょう」と応じたが、府教委の陰山英男委員長(54)は要請を受けるとした上で「改革案は真摯(しんし)な反省が感じられない」「(卒業証書に)あの校長の名前を書いて渡すのか」と、市教委の改革姿勢を厳しく追及した。

 「百ます計算」など反復学習を重視した「陰山メソッド」で知られ、立命館小学校副校長などを務め、2008年、当時の橋下知事に教育委員に起用さ れた陰山氏。兵庫・尼崎市の連続不審死事件を例に挙げ、「暴力によるマインドコントロール(という点で同じ)。桜宮の生徒から友達が死んだことに対し、伝 わってくるものが感じられない」とまくし立てた。

 これにカチンときたのが、入試中止案に唯一反対した市教委の長谷川委員長。学校法人「エール学園」の理事長は「自分たちで責任を持って解決したい。自分のところ(府立2校)の体育科がどうなってるか調べた上で言ってほしい。同じくらいの内容があるかもしれない」と、府立2校にも体罰があるのでは、と猛反発した。

 この反撃発言に、橋下市長は「府立では自殺は出てない。おかしいですよ」となだめていたが、次第に激高。「責任を果たすんだったら自殺させないでください。市教委10+ 件はもういいです!」「組織のメンツはどうでもいいじゃないですか」と語気を強めた。

 会議は結局、30分を超えて1時間以上もめ、最後に会見で府教委10+ 件に要請するか問われた長谷川委員長は「しません」と断言。橋下氏が冷ややかに「僕からします」と述べると、松井一郎知事(48)、陰山委員長も「やります」と声をそろえ、長谷川委員長は面目丸つぶれだった。

 府教委10+ 件は その後、臨時会議で体育科を擁する府立2校のうち、桜宮高に通学エリアが近い府立大塚高(松原市)の体育科の募集人員を40人増加の120人に、学級数を 1つ増やして3にして対応することを決定。2013年度の暫定手段だが、次年度以降については、「今後の桜宮の改革がどうなるか次第」と陰山委員長はけん 制。一方の長谷川委員長は、桜宮高の佐藤芳弘校長を2012年度中に交代させる方針を明らかにした。

 

桜宮高校生徒に嫌がらせ/罵声や自転車被害…/保護者ら危惧の声

 大阪市立桜宮高校の生徒が教諭から体罰を受け自殺した問題で、被害者である生徒側が罵声などの嫌がらせを受けています。同校のある都島区のPTA協議会からは「とにかく子どもたちがこれ以上被害を受けないようにしてほしい」との声が上がっています。

 同協議会には、桜宮高校の保護者らから、生徒の被害が報告されています。

 生徒が街で体罰問題の責任を問われるような罵声を浴びたり、自転車置き場で同校ステッカーを貼った自転車のサドルが抜かれるなどの嫌がらせが相次いでいるといいます。生徒がバスに乗っていて男性から「降りろ」と言われたケースも。

 同区にある全く別の市立校である桜宮中学校にも非難の電話がかかっており、生徒が因縁を付けられる事例も出ているといいます。

 加えて桜宮高校生徒へのインターネット上の誹謗(ひぼう)中傷はとどまるところを知りません。

 橋下徹市長が、一人ひとり違う生徒のおかれた状況や「意識」について丸ごと決め付けるような発言を繰り返し、「『自分は違った』は許されない」「当事者意識を」などと生徒側の責任を強調していることによる影響は否定できません。

 生徒からは「私たちは事件を決して軽くはみていない」「大切な命、守りたかったものが失われた」「市長の発言に苦しんでいる人もいる」との声があがっています。

 橋下市長の乱暴な介入で市教育委員会が同校の体育系2科の入試中止を決定した21日、同PTA協議会は、入試の実施や在校生の心のケアなどを求める要望書を市教委に提出しました。

 前日20日の同協議会の臨時実行委員会では「子どもたちには責任はない」「市長・市教委は子どもたちのことを考えて対応してほしい」「桜宮高校の先生全員が体罰を行っていたわけではない」「体罰は桜宮高校だけの事案ではない」「教職員・保護者の体罰に対する意識改革をしなければ」といった意見があがったといいます。(藤原直)


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22 コメント

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尾木氏の発言について (水無瀬樹)
2013-01-25 19:59:11
筆者さんは尾木氏の発言についてどの様に考えていますか。
返信する
凄く人気があるらしいのですが (ray)
2013-01-25 20:12:36
瞬間的にコメントしなければいけないテレビでの発言は言い訳できても、ご自身のブログでも引用した記事のようなことを書いているのですから、思慮が浅いと思います。
返信する
ホッとしました・・・ (ご近所さん)
2013-01-25 21:24:54
私は、桜宮高校の近所に住んでいる大人(49歳)です。

普段の桜宮高校の生徒達は、朝から地域のゴミ拾いを行ったり、自転車通学でも整然と交通ルールを守り、近所の小中学生の模範となっていました。

良いところしか見れてなかったのかもしれませんが、その普通の生徒達が今、偏った大人の考えに左右されたり、いろいろな誹謗中傷や嫌がらせを受けていることが、とても悲しく思っていました。

宮武さんのブログを拝見して、『このようなまともな考えをお持ちの方もいらっしゃるんだ(大変失礼な言い方ですみません)』と、ホッとしました。

今、知っている生徒に会った時には、励ます言葉を掛けるくらいしか出来ていませんが、これからは『応援してくれる良い大人も居る』ことも伝えながら温かい目で見ていってあげたいと思います。

ありがとうございました。

返信する
思慮が浅い… (交通人)
2013-01-25 21:28:08
と言い切ってしまうコトに違和感。
自分の意見が【正しい】と疑わない人は、自分と違う意見は【間違ってる】と思う傾向があるようだ。

悪口(暴言)を言っていい人がいるとしたら、、、
・「頭が悪い!!」と言っていいのは、その人より頭の良い人
・「性格が悪い!」と言っていいのは、その人より性格の良い人
・「思慮が浅い!」と言っていいのは、その人より思慮深い人
だと思います。(もちろん、悪口を言っていい人はいませんが…)

宮武さんは、ご自身を「思慮深い人間」だと言えるのだろうか…
そして、尾木氏に宮武氏のコトを聞いたときに何と答えるだろうか…
返信する
ご近所さんへ (ray)
2013-01-25 21:42:16
桜宮高校の生徒さんたちも、ご近所さんのように暖かい目で見守ってくれている人たちがたくさんいるのですから、きっと健やかに育ってくれると思います。

若者は試練をも成長の糧にすることでしょう。
よろしくお伝えくださいませ。
返信する
同意見です (通りすがり)
2013-01-25 22:07:20
今回の件については疑問に思うことがたくさんあります。
そんな中で、どこもかしこも桜宮高校の生徒さん(全員)が加害者で、しかも酷い言葉で非難されていることに違和感を覚えています。
なぜ生徒さんたちが責められているのかわかりません。
人が死んでいるのに!と呆れている方々が多いようですが、そもそもその死は体罰が原因なのかがはっきりしていません。
遺書に体罰に悩んでいたと書いたあったと言われていますが、皆さんが言われているのは兄の勧めで書いた監督に対する思いを書いたもののことではないのでしょうか?
どうもその辺を誤解なさっている方々が多い気がします。
「監督に対して悩んでいることや、訊きたいことを書いてみたら?」と言われて書いたのなら、それは当然監督に対する思いしか書かれていないでしょう。
しかしそれは遺書ではないはず。というよりも、それ以外に遺書があったと聞いていますが…どういうことでしょうか?
それに30~40発叩かれて頬が腫れていたと言われていますが、その状態で家まで帰ったわけですよね。
学校外でそれに気付いた人はいなかったのでしょうか。そして、それを見聞きした親御さんはどう対応したのでしょうか。
その辺の情報が曖昧というか、不足している気がします。
監督の体罰ならぬ、暴力を問題視するのは当然です。
しかし、著名な方々が体罰という言葉だけに過剰反応しているだけで、一連の流れがよくわからないまま発言されているように感じられます。
人が死んでいるんだぞ!の一言で詳細を知ることが悪だと決め付けられ、不明瞭な点が多いままの現状が気になります。
だからこそ一連の流れをよく知らされないまま、一部活の監督の問題行為を、桜宮高校の全生徒が容認していた・支持していたかのように同罪だと批判されていることが不思議でなりません。
(蛇足ですが、監督個人(人柄と言うべきでしょうか)を擁護=体罰支持ではないと私は思います)
批判の矛先を向けるべきは生徒さんではなく、当事者である監督や教育関係者であるべきではないでしょうか。
ネット内での生徒さんに対する誹謗中傷は酷すぎて心が傷みます。
死んだら聖人という揶揄を見かけたことがありますが、まさしくその通りだなと不謹慎にも思ってしまいました。
体罰(今回の件は暴力だと思いますが)を議論する前に、まずは一連の流れの詳細を調査・公表すべきだと私は強く思っています。

長文失礼いたしました。
返信する
Unknown (koma)
2013-01-25 23:24:02
上にある、桜宮高校の生徒たちに関するコメントのあとだと気が引けるのですが、
会議中の市教育委員長の態度には、今朝tvを見ていて非常に腹が立ちました。
校長の更迭など、責任を取るのは現場の人間だけで、どうも市教委には当事者としての意識が欠落しているように感じます。
(府教委を擁護しているわけでは決してないので、念のため)
返信する
とにかく生徒は被害者ですよ (koko)
2013-01-26 13:07:21
ブログ主さんにハゲ同です。

とにかく全生徒へのバッシングをやめさせなければいけません。それを影響力のある人物が煽ってどうするんだと。せめてその生徒達へのフォローを呼びかけてほしいと思います。

命の重みについて訊ねるべきは、まずは責任のある大人側へお願いしたいのですが、市長の遺族の方へ対する当初のあの会見については、教育評論家の方はブログで完全スルーだったようです・・・。
とにかく生徒は被害者ですよ。
まず大人達が責任を取るべし。
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あの姿があの高校の教育の成果なら (反橋下ですが)
2013-01-26 13:28:18
尾木ママは、在校生の記者会見は大人が仕組んだんじゃないかとした点で、生徒側に立っていて優しいと思いますよ。

あのような「学校の在り方は間違っていない」とする会見は、子どもであろうと大人であろうと、学校に所属する教員の暴力によって自殺者が出た今、絶対に行ってはならない事だったと思います。
顧問以外の教師・生徒は、「いじめを傍観していた」教師・生徒と同然です。(管理職は傍観以上、いじめの許可を与えていますね。)
傍観も立派ないじめではないですか。

この事件は、元を辿れば橋下氏のような政治・教育手法が原因でしょう。
彼等が政権を取ってから、殴っていないというだけで、その実は充分ないじめ社会になりました。
橋下氏を支持なんかしていませんし、ああこれでまた彼の(というより時の権力者)の思う世にするきっかけになってしまうのかと、腹立たしいです。

でも、自殺者を救えなかった事態に胸を張り、自分たちはこれからも楽しくやって行きたいから…というような会見を行える生徒を育ててしまう、そんな学校は要らないと思います。

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子どもたちにを攻撃するのはやめてほしい (sake)
2013-01-26 21:26:11
ほんとうに書かれているとおりだと思います。

体罰容認の風土があったとしても,それを変えようとしなかった大人の責任。未熟な発言があってもこれから学んでいけばいいこと,それを応援するのが大人の責任だと思います。
生徒たちや保護者,OBのいろいろな発言などが取り上げられていますが,それは全員の意見ではない。それを全員がそう思っていると決めつけて批判するのは,そう思っていない人たちにとっては耐えがたいことだと思います。
生徒たちが体罰をとめなかった,傍観していたという攻撃もありました。しかし数百人も生徒がいるのに,体罰の事実を全生徒が知っていたのでしょうか。

大阪市のHPの橋下市長のメッセージ読みましたが,体罰を黙認していたことが悪いと批判するなら,体罰容認の発言を繰り返して体罰を教唆していた橋下市長の方がよっぽど罪が重い。それを認識が変わったという一言でごまかし,真摯に反省しないのは,人間の命の大切さをわかっていないと言わざるを得ません。

あと,学校が悪いというと,その中に生徒たちも含まれることになるので,できればそういう言い方もやめてほしいと思います。

長文失礼いたしました。
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