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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

東京都知事選で鳥越さんが衝撃の大敗。今大事なことは、鳥越さん支持者と宇都宮さん支持者が相争わないこと。

2016年08月02日 | 日本の政治

  

 序盤の世論調査では接戦とされていた東京都知事選挙。

 投開票を終えてみたら、保守分裂にもかかわらず、鳥越俊太郎候補が小池百合子候補にまさかのダブルスコア以上の大敗。

 小池氏が勝った一番の要因は自民の公認が得られず反自民(に見え)、しかも初の女性知事という改革派のイメージで有権者が雪崩を打って支持する「風」が吹いたこと。石原都連会長らが意地になって敵視すればするほど逆効果で、小池氏に突風が吹きました。

 もともと極右の慎太郎氏に4期もやらせていた東京都民ですから、小池氏がタカ派だという批判などものともしません。

 大阪にはおおさか維新がいて盤石ともいえる強さを誇っていますし、名古屋では河村たかし市長という歴史修正主義者にして新自由主義の市長が人気を誇っています。

 どうも、日本の大都市の首長選挙は、よそとは違う、右寄りが勝ちやすいと思った方がいいのではないでしょうか。

 これに対して鳥越氏が負けた理由は、もちろん週刊文春と新潮が報じた女性スキャンダル。これが出てから一気に支持者数に差をつけられたのですから、これが第一の理由でしょう。後の裁判でこれが名誉毀損だということになったら歴史に残る選挙妨害だったということになりますが、そのころには誰も忘れてしまっているであろうこの不条理。

 あと、このスキャンダルに加えて序盤から高齢、病歴、準備不足などをことさらに報道するマスコミの報道姿勢も鳥越氏に不利に働きました。

 しかし、これら、鳥越氏に不利な事情がすべてなくても、今回の風が吹いた小池氏には勝てなかったと思います。

 そして、心配なのは、これから出てくるであろう小池氏の政治とカネの問題も、この風が吹き飛ばしてしまうこと。都民も何度も何度も政治とカネの問題で選挙をするのには飽き飽きしていますから、小池氏に関しては少々の問題が出てきても辞めろという話にならない気がするんです。

 それだったら小池氏と舛添氏の順番が逆だったらよかったのですが、都民はより悪い都知事をつかまされることになっちゃいました。

 まあ、自分で辞めるまで13年以上も石原氏に都知事をやらせていた東京都民ですから、自業自得といいたくもなりますが。

 

 

 さて、表題の宇都宮健児氏の件ですが、前回の都知事選で立候補し、今回も告示直前まで立候補する予定だった宇都宮健児氏が野党共闘から推される鳥越氏が出馬するということで、出馬を断念したことは、鳥越氏と本来支持基盤が重なるだけに最後まで尾を引きました。

 鳥越氏は宇都宮氏に最後まで立会演説を求め、宇都宮氏はこれを受けなかったため、また新たな遺恨が発生しそうです。

 前回の都知事選挙でもリベラル派は宇都宮氏と細川護熙氏に割れたのがいまだに怨恨になっている風があります。

 どちらの件も私には言いたいことがありますが、今日はそれは言いません。言いたいことは、保守派が分裂しても数で勝てないリベラル派・左派が分裂していてどうすんの!ということです。

 リベラル派は勝負に勝つことよりも自分が正しいということを証明することに熱心過ぎるんです。

 日本会議の参加宗教を見ても、宗派では絶対に一緒に組めないはずの宗教同士が改憲で手を組んでいます。さらに日本会議に支持された自民党が創価学会に支持された公明党と手を組んでいます。

 彼らは普段はいがみあっていても、ここぞという大きなところでは大同団結しているんですよ。自民党と公明党だって主義主張がかなり違うのに、何十年も手を組んでいるのに、野党共闘ができたのはついこの数か月のことで、のんびりしすぎです。

 野党共闘を市民連合が後ろから支えるという態勢にようやくなった緒戦が参院選で、都知事選はまだ第2戦。まだまだ力不足で負けることもあるでしょう。

 大事なことは、まだ力が足りないのに仲間同士でいがみ合わないことです。過度に自分の正しさを証明しようとしないことです。

 もう、いい加減負け飽きたでしょう。

 泣くのが嫌なら、さあ歩け。

宇都宮さんが日弁連会長選挙に立候補したときに、神戸に遊説に来られた時のツー(スリー?)ショット。

不肖わたくし、推薦人で電話かけとかもしました。

 

 

同じ勝つなら、論争に勝つんじゃなくて、安倍政権との選挙に勝つことを目指さないとね。

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119 コメント

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Unknown (ラッキー)
2016-08-02 22:56:00
今、できることは、小池百合子の危険性を粘り強く訴えていくこと。

小池百合子と安倍が、対談したとたんに、「幸福の科学(小池支持)」に公職選挙法違反でガサ入れ。

小池が幸福の科学を切ったのか?
安倍が小池と幸福の科学を切り離したのか?

そして、とんでも右翼が防衛大臣に。

稲田朋美
「国民の一人一人、皆さん方一人一人が、自分の国を護るためには、血を流す覚悟をしなければならないのです」
https://www.youtube.com/watch?v=W-OGhntEnrM
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Unknown (いわき)
2016-08-03 02:49:48
申し訳ありませんが、弁護士の癖に推定無罪を無視したあげく、市民運動を誹謗中傷する宇都宮氏だけは許せません。

自分は選挙前は鳥越氏は消極的支持で、むしろ宇都宮氏が統一候補の方が良かったと積極的に支持していました。
ところが日弁連の元会長ともあろう人が、14年前の訴訟すらされていない真偽不明の事件について「悪魔の証明」を求めたのです。
ありえないですよ。
こんなことを許すならどんなでっちあげ冤罪も可能になります。
政策以前の問題です。

先ほども言ったように私は鳥越氏の積極的支持者ではないので、彼が批判されたから恨んでいる訳ではありません。
法の大原則も理解しない守らない弁護士が、政治の場で力を持つことに恐怖と危機感しか覚えないというだけです。

宮武氏も立場上、宇都宮氏に強く言えないのかもしれませんが、こればかりは徹底的に批判しないとダメだと思います。
もちろん鳥越氏の選挙活動にも問題はありましたが、もはや犯罪に等しい宇都宮氏の問題行動とは次元が違う。
どっちもどっちでナァナァにして良い案件では絶対にありません!
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お久しぶりです。 (からしだね)
2016-08-03 08:14:36
ご無沙汰しておりましたがお元気そうで何よりです。
この問題、都民でない私としてはどうしてこんなにもめてしまったのか疑問だらけなのですが、今回の宮武さんの記事を読ませていただいて、「本当にそうですね」。

選挙そのものの冷静な総括は必要ですが、「同じ勝つなら、論争に勝つんじゃなくて、安倍政権との選挙に勝つことを目指さないと」ですよね。
ひとつだけ、宮武さんの今回の敗因分析に付け加えさせていただくと、鳥越さん自身に勝つための気迫が感じられなかったことも大きかったように思います。現地で街頭演説など聞いているわけではないのでテレビに生出演された時の印象ですが、高齢なら高齢なりに静かな闘志、みたいなものが普通は伝わってくる筈なのに、そういうものが全く彼からは感じられませんでした。
しかし、ああいう難しい状況で出馬を受けるという決断も大変だったことと思われ、鳥越さんにはお疲れさまでしたと申し上げたいです。

今後注目しているのは民進党の代表選です。岡田さんを批判する方は多いですが、今の「野党共闘」に間違いなく貢献しているのは岡田-枝野執行部の力だと私は思っていますので、これからもこの路線が守られるか注視して行きたいと思います。

宮武さんのぶれない信念と優しさあふれる「みんなのブログ」。これからも陰ながら応援しております。
返信する
Unknown (京葉淳一)
2016-08-03 08:32:32
聞くところによると、小池は短期労働移民賛成派と聞きます。移民が都内に押し掛けると間違いなく、異民族による治安の悪化が起きますから、都民なそんな小池の危険性を十分警戒しないといけませんね。
返信する
Unknown (大阪在住)
2016-08-03 10:41:41
自分が正しいことを証明したり訴えるだけなら普通は争いになりませんよ。
どちらかと言うとリベラルを名乗る人の中に如何に相手が悪いかを証明したがる人が多いのが問題なんだと思いますよ。

だって鳥越さんを支持する人が宇都宮さんに対して「鳥越さんはこんなに素晴らしい人なんです。だから応援してください」と訴えるだけなら争いにはならないでしょ。

そこにやれ見損なっただ、愚かだ、私怨だとかいらん一言が入るから諍いが生まれるだけで。

このブログでも鳥越さん以外が如何に素晴らしいかを訴えることより、他が如何に悪い(危険)かを訴える方が多かったように、日本のリベラルって正義を語るより、誰かの悪を語ることに比重が偏りすぎて肝心の自身が訴えるべき正義が国民に届いてない気がするけどなぁ。
返信する
腑に落ちました (リベラ・メ(本物の))
2016-08-03 12:06:25
今回の記事を読んで、以前、一国民様が仰有った事が腑に落ちました。一から出直しですね。
返信する
Unknown (愛国者)
2016-08-03 12:28:56
>正義が国民に届いてない
いくら正義を語っても見向きもしないのが愚民ですよ
演説すら見ないのですから届けようがありません

女性ってだけで入れるような無知な人が多いですから
どっちみち知名度の高い女性候補にしない限り負けていたでしょう
返信する
シラける都知事選ーー結果も予想どおり (バードストライク)
2016-08-03 12:43:23
はーい、はい、嶺センセのおっしゃるとおり、みんな仲良くしましょうね!
過去のことは水に流して・・・
って、無理っす。
選対でも何でもない私ですら、何だろう、この梅核気のような気分の悪さ。
(梅核気とは、更年期障害の典型的症状のひとつで、喉に何か詰まったような気分がすること。私はなったことがない)


この候補者選定が最初から失敗だったことは、明らかだ。
長島、片山、松沢、古賀、石田・・・と名が上がり、または立候補の意思を示し、最後は知名度?頼みの元ジャーナリスト、現タレントの鳥越。
3度目の挑戦で、都議会を監視し続け(本人談)、政策も練っていた宇都宮に出馬取り下げを迫る。
もう供託金も支払い、事務所、ビラ、トラック等準備した宇都宮陣営、市民連合などからの誹謗中傷に耐え切れず立候補を断念。

こんなんで、いいの?
これが民主的なの?

そのあとの態度も無礼極まる。
市民連合から応援演説を強要され、躊躇していると再び誹謗中傷の嵐だったという。

かたや、鳥越の駄目さは明らかだ。
演説回数は少ない、テレビ討論会は欠席、スキャンダル対応は弁護士任せ・・・
宇都宮は、何も身の潔白を証明しろと迫っているのではないですよ。
あれはたしかにネガキャンだったけど、そういうことも起こりうる想定で動かなきゃ。事実、「何か」はあったらしいじゃないですか。
弁護士に丸投げで自分は逃げ回っていたのでは、一般都民は納得しないです。
低レベルなんですよ。庶民の論理で対応していかないと、票が逃げます。

選挙分析の「はる氏」のツイッター

> 少なくとも、共闘をやるのならフェアにやるべきだ。排除と欺瞞とともにある共闘は共闘の名には値しない。そんな「共闘」を本気で野党共闘と呼ぶなら、野党共闘そのものが支持を失うことを覚悟しておいた方がいい。


斎藤美奈子氏の「本音のコラム」(東京新聞) 8月3日付

> 選挙のためなら何でもOK(に見える)戦術は得策ではなく、大切なものを失う。
この結果を厳しく受け止める以外に再出発の道はない。私もあなたも。


うやむやでノーサイドにしないで徹底的に検証して、次こそ納得のいく候補者選び、政策、戦術を練ってほしいですね。
ほんと、グダグダでしたから。
間に合うんだろうか。
返信する
Unknown (ナーマ)
2016-08-03 13:08:43
次回はしっかりと準備をして、候補者選定をじっくりやっていけばいいだけの話だと思います。野党共闘をやめる必要はもちろんないでしょう。

橋下氏は自身のテレビ番組に宇都宮氏を出して、彼の野党共闘批判を利用するつもりのようですが、そういったことには注意していかないといけないと思います。

(そもそもバリバリに政治活動している橋下氏にテレビ番組を持たせていることが問題だと思うんですけどね・・・)
返信する
民進党現職議員の娘が・・・ (バードストライク)
2016-08-03 13:23:31
政局ウォッチNOW❤️都知事選NOW❤️ – ‏@Chijisen

民進党支持者の約4割が、小池百合子氏に入れたという。深刻だと思ったのは、民進党現職議員のご家族が鳥越俊太郎さんに入れなかったという話も聞いた。「パパ、ゴメンね」と、言われたらしい。娘さんにNOと言われた事実は重い。
4:25 - 2016年7月31日

キャハ w ?
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