高市早苗総務大臣は、2016年2月8日の衆院予算委員会で、放送局が「政治的に公平であること」と定めた放送法4条の違反を繰り返した場合、電波法に基づき電波停止を命じる可能性に言及しました。
高市大臣は
「行政が何度要請しても、全く改善しない放送局に何の対応もしないとは約束できない。将来にわたり可能性が全くないとは言えない」
と言ってしまったのです。
もう少し詳しく見ると、民主党の奥野総一郎議員が
「もしこれを恣意的に運用されれば、政権に批判的な番組だという理由でその番組を止めたり、その番組のキャスターを外したりということが起こりうる。放送法4条の違反には、放送法174条(業務停止)や電波法76条(電波停止)を適用しないことを明言してほしい」
と求めたのに対して、高市総務相は
「仮に、改善をしてほしいという要請(=行政指導)したが全く改善されないという場合に、それに対して何の対応をしないということを約束するわけにはいかない」
と答えたのです。
この発言はいくつもの点でおかしいのですが、まず、NHK「クローズアップ現代」におけるやらせ疑惑問題で、高市総務相がNHKを文書で厳重注意(行政指導)したことに対し、放送界の自主組織であるBPO(放送倫理・番組向上機構)が2015年11月、
「政府が個別番組の内容に介入することは許されない」
と厳しく批判したことがありました。
高市総務相はこれに対して、記者会見で、
「行政指導というのは、もう皆様御承知のとおり、行政手続法第2条第6号を根拠とするものでございますけれども、「処分」のように相手方に義務を課したり権利を制限したりするような、そういう拘束力はございません。
相手方の自主的な協力を前提としているものであることを申し上げたいと思います。」
と言い訳しました。
BPOが自民党に「放送の自由と自律に対する政権党による圧力そのものであるから、厳しく非難されるべき」
この行政指導と行政処分の区別は、「義務を課したり権利を制限する」法的拘束力を実質的に持っているかどうかで区別されるというのが行政法の通説、常識です。そして、法的拘束力のある行政処分であれば、取消訴訟など行政訴訟の対象となります。
この点について、高市総務相は、BPOから批判された時には、自分のやったことは純然たる行政指導で法的拘束力はなく、
「相手の自主的な協力を前提にしている」
と言ったのです。
ところが、今回は、放送局が行政指導にあくまでも従わなければ、電波停止という法的罰則を与えると明言したのですから、放送局側の自主的な協力を前提にするものではないことがわかります。
つまり、これは厳重注意などの「行政指導」が法律的な意味での行政指導ではなく、従う法的義務があり、実質的には法的拘束力を持つ行政処分であることを自白したことになります。
となれば、業務停止や電波停止処分はもちろんのこと、これから高市総務相やその後の総務大臣が行なう「行政指導」に対しても、処分の取り消しを求める行政訴訟ができることになります。
こんなことまでは、高市総務相は考えも及ばなかったのでしょう。総務相の官僚は頭を抱えているかもしれません。
ところで、問題になっている放送法の第4条は
放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
と規定しています。これは放送法1条2号の「放送の目的」は
「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。」
にあるとか、放送法3条の
「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」
を前提にしたもので、放送局に「公平でなければならない」などの法的義務を課すものではなく、倫理規範(倫理道徳上の義務を課すルール)に過ぎないというのが通説です。
そうでないと、放送局の報道の自由が表現内容によって法的に制限されることになり、放送法4条の規定が憲法21条の表現の自由に違反していることになり、違憲無効となるからです。
元フジテレビアナウンサー長谷川豊くんに、放送法3条・4条と憲法との関係について教える
放送法に関する最高裁判決と通説の通りだ→BPO委員長、首相らの批判に反論 政治介入に「NO」。
ですから、放送法4条に「違反」したからといって、放送局の「法律違反」になるというものではなく、放送法174条の業務停止や電波法76条の電波停止処分はできないことになります。
もし、そんなことをすれば、憲法違反なだけでなく、各法律違反で処分は無効です。
また、先ほども述べたように、「行政処分」だと称して、それに従わなければ業務停止や電波停止処分にすることを前提に厳重注意などをすれば、それ自体が行政処分ということになり、違憲・違法だということで処分取消訴訟の対象になります。
つまり、これから放送局は、総務大臣が放送内容に関して文句を言って「行政処分」をしてきたら、いつでも行政訴訟が起こせるのです。
高市総務相は放送を「公平」に=政府に都合のいいものにしないと電波停止の可能性もあるぞとちらつかせて、放送局を萎縮させたつもりでしょうが、実際には「行政指導」もしにくくなるほど、自分の首を絞めてしまっているのです。
放送業界にいる方々は、こういう法律的武器もあるのだということを念頭に置いて、ぜひ気概を持って、圧力をはねのけてほしいものです。
だいたい、ネオナチとツーショットで写真を撮るような人が、何が公平か判断できるわけがない。
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【衆院予算委】奥野議員が安倍政権下でのマスコミの萎縮に懸念示す
衆院予算委員会で8日に行われた一般質疑では、奥野総一郎議員が情報通信政策をめぐって高市総務大臣などの認識をただした。
放送法4条では、放送事業者に対し放送番組の編集に当たり「政治的に公平であること」を求めている。これについて従来の総務省の解釈は「特定の政治的見解に偏ることなく、番組全体としてバランスのとれたものでなければならない」「基本的には、1つの番組というよりは、放送事業者の番組全体を見て判断する」というものだった。ところが昨年12月、高市総務大臣はある民間団体への回答として、この従来の見解に以下の説明を付け加えた。
「他方、1つの番組のみでも、例えば、
- 選挙期間中又はそれに近接する期間において、殊更に特定の候補者や候補予定者のみを相当の時間にわたり取り上げる特別番組を放送した場合のように、選挙の公平性に明らかに支障を及ぼすと認められる場合、
- 国論を二分するような政治課題について、放送事業者が、一方の政治的見解を取り上げず、殊更に、他の政治的見解のみを取り上げて、それを支持する内容を相当の時間にわたり繰り返す番組を放送した場合のように、当該放送事業者の番組編集が不偏不党の立場から明らかに逸脱していると認められる場合
といった極端な場合においては、一般論として「政治的に公平であること」を確保しているとは認められないと考えております。(以下略)」
奥野議員はこの点を「従来の政府解釈の変更」と受け止め、総務大臣の権限には放送業務の停止(放送法174条)や無線局の停止(電波法76条)が含まれることから、「もしこれを恣意的に運用されれば、政権に批判的な番組だという理由でその番組を止めたり、その番組のキャスターを外したりということが起こりうる。放送法4条の違反には、放送法174条や電波法76条を適用しないことを明言してほしい」と求めたが、高市大臣は「仮に、改善をしてほしいという要請(=行政指導)したが全く改善されないという場合に、それに対して何の対応をしないということを約束するわけにはいかない」と拒んだ。
奥野議員は、「この政権になってから行政指導も復活し、(放送法4条について)個別の番組についても政治的公平性が問われるというような解釈の変更をした。こうしたことがキャスターの交替につながっていないかと危惧(きぐ)する」と強調し、引き続きただしていく考えを示した。
民主党広報委員会
相次ぐ番組介入に自律を守れるか
テレビ放送に対する政治の関与の在り方が問われ続けている。自民党の情報通信戦略調査会が昨年4月、番組内容を巡ってNHKとテレビ朝日の幹部を事情聴取し、11月にNHKと民放が設置する第三者機関、放送倫理・番組向上機構(BPO)が「圧力だ」と批判した。放送法が規定する「政治的公平」を巡る議論もあった。放送の自律を守ることはできるのだろうか。【青島顕、樋岡徹也、日下部聡】
元総務相と「意見交換」
昨年12月9日、東京都心のホテル宴会場で開かれた昼食会に、在京民放5局を含むテレビ局幹部ら約30人が集まった。自民党の佐藤勉国対委員長が講演した後、出席者と放送や通信に関して意見交換したという。
佐藤氏の事務所によると、数カ月前から事務所が準備し、支援する政治団体の主催で出席者から1人2万円を徴収した。今回が初めての開催で、政治資金規正法上の「政治資金パーティー」として収支報告するとしている。佐藤氏は元総務相で、自民党情報通信戦略調査会に付属する「放送法の改正に関する小委員会」の委員長を務め、放送行政に詳しい政治家として知られる。
テレビ局幹部はなぜ顔をそろえたのか。日本テレビ、テレビ朝日、TBSテレビ、テレビ東京、フジテレビの広報担当者は取材にいずれも幹部らの出席を認め「意見交換をした」などと答えたが、参加者名や支払額は明かさなかった。日本テレビは「参加は個人の判断だ」と説明した。NHKは「役職員の個別の業務に関する質問には答えていない」と出席の有無も含め回答しなかった。
佐藤氏の事務所は「意見交換の意味合いでやらせていただいた。政治的な圧力といったようなことは全くなかったが、今後は当事務所として携わることはない」としている。
テレビ局は電波法の規定で、電波行政を所管する総務相から5年ごとに免許を受けなければならない。さらに放送法4条は、番組編集に当たって「政治的に公平であること」「報道は事実をまげないですること」などと規定している。政権や与党が局の姿勢に口を出す際、こうした規定を持ち出すことがある。
メディア倫理に詳しい大石泰彦・青山学院大教授は「一般的な意見交換だったとしても、放送政策に関わる特定の政治家がテレビ局幹部を集め、局側も応じたのは、政治の倫理、メディアの倫理に反する。言論機関なら権力から距離を置き、公平公正な存在であるべきだ」と話している。
「公平中立な報道を」
一昨年以来、テレビの報道番組を巡って政府・与党が口を出し、波紋を呼ぶケースが目立っている。
14年11月、衆院選を前に安倍政権の経済政策の是非を街頭で聞いたTBS「NEWS23」の報道が「偏っていた」として、自民党は在京6局に選挙報道の「公平中立」を要請する文書を渡した。同党は、テレビ朝日「報道ステーション」の経済政策に関する報道を巡っても「公平中立」を求める文書を送った。
昨年4月には、NHK「クローズアップ現代」の「出家詐欺」報道のやらせ疑惑と、報道ステーションに出演した元官僚、古賀茂明さんが「官邸にバッシングを受けてきた」と発言したことについて、自民党情報通信戦略調査会がNHKとテレビ朝日の幹部から事情を聴いた。高市早苗総務相はNHKを厳重注意した。さらに6月、自民党国会議員の会合で出席議員が「マスコミを懲らしめるには広告料収入をなくせばいい」と発言したことも明らかになった。
一方で11月、クローズアップ現代のやらせ疑惑について審査したBPOが、この問題に介入する政府・与党の動きを批判した。放送局側にも毅然(きぜん)とした姿勢を求めた。
この春、3局の報道番組の顔が変わる。クローズアップ現代の国谷裕子キャスター、報道ステーションの古舘伊知郎メインキャスター、NEWS23の岸井成格アンカー、膳場貴子メインキャスターが一斉に降板することになった。岸井氏はTBS専属のスペシャルコメンテーターに、膳場氏は同局の「報道特集」キャスターに就任する。
質疑応答
NHKの番組に対するBPO意見
- 問:
- 幹事社から1問お願いします。先週、NHKの「クローズアップ現代」の問題で、BPOから意見書が出されました。その中で、総務省の対応が「介入」だと批判されたわけですが、それに対して大臣も談話をされていますが、改めて、NHKの問題に限らず、放送事業者と政府の関係はどうあるべきか、番組の内容に政府がどこまで意見を言うべきなのかについて、御所見をお聞かせください。
- 答:
- 放送法におきましては、その目的において、放送の自律の下で、憲法の定める表現の自由を確保し、公共の福祉に適合するように規律するということが求められています。
このような放送法の規定に基づいて、まずは放送事業者が自主的かつ自律的に、放送番組を編集・制作していただくということが大事です。
これに対して放送法を所管する総務省は、放送事業者に対して、放送法の規定の遵守を求めるという立場にございます。ですから、放送法に抵触する事案があった場合には、放送法を所管する立場から、行政指導等の必要な対応を行うものでございます。
11月6日に公表されましたBPOの意見書に、総務省の行政指導についての記述がございましたけれども、放送法第4条の放送番組の編集に係る番組準則に係る規定について、BPOの意見では、これは法的な規範ではなくて、単なる「倫理規定」としておられます。しかし、過去に国会でも答弁されているとおり、正しくは「法規範性を有する」ものでございます。
放送法の第4条に、「報道は事実をまげないですること」などが定められていますけれども、その点で、NHKの番組については、放送法に抵触する点があったと認められたことから、放送法を所管する立場から、総務大臣としての責務を果たすために、必要な対応を行いました。
また、4月28日にNHKの最終調査報告書が公表され、私自身、隅から隅まで読ましたが、具体的な再発防止体制を、いつ具体的にどうするのかという記述が抜け落ちておりましたから、一刻も早く具体的な再発防止体制を作っていただきたいという強い思いから、早急に行政指導文書を作成しました。これは拙速との指摘は当たらないと考えています。
行政指導というのは、もう皆様御承知のとおり、行政手続法第2条第6号を根拠とするものでございますけれども、「処分」のように相手方に義務を課したり権利を制限したりするような、そういう拘束力はございません。相手方の自主的な協力を前提としているものであることを申し上げたいと思います。
実際、NHKでは、私からの行政指導を受けて、5月29日には再発防止策を公表しておられます。かなり具体化されて、どのような体制で再発防止を行っていくのかということを明確にしておられましたので、総務省としても、再発防止に向けた取組状況については、適切にフォローアップしてまいります。
いずれにしても、NHKの場合は受信料で成り立つ公共放送でもあり、総務省が所管する特殊法人でもございます。その社会的責任を深く認識していただき、正確な報道を行うことによって、国民・視聴者の皆様の信頼の回復に努めていただきたいと思います。
前段で、放送と政府の関係、放送法というものについて申し上げました。
これは全ての放送事業者に対して、第4条にある「公安及び善良な風俗を害しないこと」、「政治的に公平であること」、「報道は事実をまげないですること」、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」を、しっかりと自律的に守っていただきたい、こう考えております。
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なんで今の政権は、考えずに思った事をそのまま口に出してしまうんでしょうね。覆水盆に返らずなのに。
それに、今のマスコミと称する商売人が、ブログに書かれてるような対応をするとは思えず、行政の1人勝ち状態になるのでしょうね。
何せ、万能感 の塊のようにもなってる方々ですから。
このような人たちは「誰かのために都合よく意見が発信できる女性」であって、決して女性の代表でもなんでもない。
男性とか女性とかではなくて、普通に「まっとうな人間の代表」である人っていないのでしょうか。
「政府が個別番組の内容に介入することは許されない」
という意見を出したとのことですが、この組織は放送関係者によって構成される任意団体で、その意見に政府が拘束される謂れはありません(無視してもよいというわけではない)。
ある番組がおかしい(立派だ)からと言って局全体がおかしい(立派だ)ということにはなりません。
しかし出発点は「個々の番組」であって「おかしい」が重なれば、局全体に及ぶこともあります。
「○○という番組の△△という部分がおかしい」式の指摘は当然でしょう。(高市さんはそういうことは言っていないようです)。
彼女は『行政が何度要請しても、全く改善しない放送局に何の対応もしないとは約束できない。将来にわたり可能性が全くないとは言えない』と言っているのは当然です。
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受け売りで申し訳ないのですが、TBSの「NEWS23」で岸井成格さんが安保法制について「メディアとして廃案に向けて声をあげ続けるべきだ」と発言したそうです。
放送法第4条には「二 政治的に公平であること、四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」とあります。いうまでもなく安保法制は日本を二分した問題です。
TBSは逆の立場の人の意見を同様に(例えば別の日に同じ番組で)流さなかったようで明瞭な違反行為です。
ブログ主さんから私のHN「Lauterkeit」を褒めてもらいましたが、これは文字列の記号であって廉潔(あるいは純粋、誠実)とは別のものです。
ところで今回の(「も」というべきか?)ブログ主さんの記述からは「マスコミは権力を批判するものだ。そしてその内容は常に正しい」という姿勢しか見えません。もっと正確に言うと政治権力はマスコミ批判をしてはならない、と聞こえます。ちょっと批判されるとやれ「圧力だ、何だ」と被害を受けた弱者に見せかけます。Lauterkeit が必要なのはどなたでしょうか?
批判されたら反省する、そういう気持ちを持たないと読者や視聴者からそっぽを向かれますよ。
なお、高市の卒業大学が神大との指摘を受けましたが、当方が見たことのある当人の経歴ではハクをつけるためだったのか奈良女となっていた記憶があるので、一応訂正致します。
1 放送法に関する2004年の最高裁判決では、同法4条1項について、私法上の請求権の根拠にはならないが、放送事業者に対し自律的に訂正放送等を行うことを国民全体に対する公法上の義務として定めたものである旨書かれています。
一般に事業者による「公法上の義務」違反には行政上の不利益処分等が課される可能性があると承知しているところ、「放送事業者の場合でも、例えば訂正放送等に関する当該義務違反の程度如何によっては総務大臣が何らかの行政処分をすることも否定されない」と考えるのは法律論として間違っているでしょうか。
2 あと、総務大臣の発言がお書きになったとおりだとすれば、それは「厳重注意などの行政指導が実は行政処分であることを自白した」のではなく、「自主的な協力がなされない場合、行政指導ではなく「別途」行政処分を行う可能性を排除しない」という意味だと(少なくとも文言上は)解釈するのが素直だと思うのですが、如何でしょうか。
だいぶん前になりますが、NHKが日曜討論に呼ぶ政党を、不公平に選んでいましたね。政党でもない団体から議員が出席し、政党なのに呼ばれなかったところがありました。呼ばれたのは、政党になる前の橋下組(後の大阪維新)の片山参議院議員。呼ばれなかったのは、生活の党と山本太郎と仲間たち。勿論抗議をしていますが、NHKはいい加減な言い訳をして非を認めませんでした。
このとき、政権はNHKに注意していません。不公平な政治運営をしている安倍政権のぼんくら大臣がえらそうに「公平」を言うなと言いたいですね。