衆院予算委員会で8日に行われた一般質疑では、奥野総一郎議員が情報通信政策をめぐって高市総務大臣などの認識をただした。

 放送法4条では、放送事業者に対し放送番組の編集に当たり「政治的に公平であること」を求めている。これについて従来の総務省の解釈は「特定の政治的見解に偏ることなく、番組全体としてバランスのとれたものでなければならない」「基本的には、1つの番組というよりは、放送事業者の番組全体を見て判断する」というものだった。ところが昨年12月、高市総務大臣はある民間団体への回答として、この従来の見解に以下の説明を付け加えた。

「他方、1つの番組のみでも、例えば、

  1. 選挙期間中又はそれに近接する期間において、殊更に特定の候補者や候補予定者のみを相当の時間にわたり取り上げる特別番組を放送した場合のように、選挙の公平性に明らかに支障を及ぼすと認められる場合、
  2. 国論を二分するような政治課題について、放送事業者が、一方の政治的見解を取り上げず、殊更に、他の政治的見解のみを取り上げて、それを支持する内容を相当の時間にわたり繰り返す番組を放送した場合のように、当該放送事業者の番組編集が不偏不党の立場から明らかに逸脱していると認められる場合

といった極端な場合においては、一般論として「政治的に公平であること」を確保しているとは認められないと考えております。(以下略)」

 

 奥野議員はこの点を「従来の政府解釈の変更」と受け止め、総務大臣の権限には放送業務の停止(放送法174条)や無線局の停止(電波法76条)が含まれることから、「もしこれを恣意的に運用されれば、政権に批判的な番組だという理由でその番組を止めたり、その番組のキャスターを外したりということが起こりうる。放送法4条の違反には、放送法174条や電波法76条を適用しないことを明言してほしい」と求めたが、高市大臣は「仮に、改善をしてほしいという要請(=行政指導)したが全く改善されないという場合に、それに対して何の対応をしないということを約束するわけにはいかない」と拒んだ。

 奥野議員は、「この政権になってから行政指導も復活し、(放送法4条について)個別の番組についても政治的公平性が問われるというような解釈の変更をした。こうしたことがキャスターの交替につながっていないかと危惧(きぐ)する」と強調し、引き続きただしていく考えを示した。

高市総務大臣らの見解をただす奥野議員

高市総務大臣らの見解をただす奥野議員