2015.11.6 07:49 産経新聞

【大阪ダブル選】

因縁の超高層咲洲庁舎バトル「撤退」か「維持」か…栗原氏「職員の移動無駄」松井氏「エリア司令塔で活用」 知事選告示 

有権者に支持を訴える松井一郎氏(右)。橋下徹氏(左)が全面移転を目指した咲洲庁舎の活用を主張している=5日午後、大阪市北区 府咲洲庁舎前で本庁舎への機能集約を訴える栗原貴子氏(右)=5日午後、大阪市住之江区


 5日告示された大阪府知事選(22日投開票)は、大阪市住之江区の超高層ビルに入る府の第2庁舎「咲洲(さきしま)庁舎」が争点の一つとなっている。このビルは橋下徹大阪市長が知事時代に庁舎移転を目指して購入し、大阪維新誕生のきっかけとなった背景がある。全面撤退を主張する新人の栗原貴子氏(53)=無所属、自民党推薦=は初日から庁舎前で街頭演説し、「二重庁舎の無駄」と指摘。これに対し現職の松井一郎氏(51)=大阪維新の会公認=は「しっかり使っていく」と譲らない。撤退するのか、維持するのか。両陣営とも一歩も引かない構えだ。

■もとは大阪市3セク破綻1200億円ビル…橋下時代85億円で購入

 「なぜ無駄遣いをしながら、皆さんがこんな辺鄙(へんぴ)なところで仕事をしなければいけないのか。私と一緒に大手前に帰りましょう」

 5日午後、湾岸部にある咲洲庁舎前でマイクを握った栗原氏は庁舎内の職員らに呼びかけ、咲洲庁舎からの撤退と本庁舎(同市中央区大手前)への機能集約を約束した。

 咲洲庁舎が入るビルは旧「大阪ワールドトレードセンタービルディング(WTC)」(55階建て、高さ256メートル)。平成7(1995)年、大阪市の第三セクターが約1200億円かけて人工島の咲洲に建設したが、テナント収入が伸び悩んで破綻。これに目を付けた知事就任直後の橋下氏が府庁全面移転を表明し、府が22年6月に約85億円で購入した。

 府議会の反対もあり、最終的に移転は一部部局にとどまったが、この過程で移転賛成派の府議だった松井氏が自民府議団を割って出て、新会派「自民党・維新の会」を結成。大阪維新の誕生につながった。

 現在は本庁舎の約3千人に対し、咲洲庁舎では約2千人が働くが、シャトルバスや地下鉄で約11キロ離れた本庁舎との間を移動する職員は年間延べ3万5千人に上る。東日本大震災ではビルの壁などが損傷。府は南海トラフ巨大地震で津波警報が発令された際には、咲洲庁舎に職員を非常参集させない計画を策定した。

 栗原氏は職員の移動時間などは「無駄の最たるもの」として、「二重行政を解消するのなら、二重庁舎問題をまず解決すべきだ」と松井氏を批判。ビルの活用は民間に委託し、専門学校を集積するなどして、咲洲地区を活性化させるべきだと主張する。

 一方、松井氏は、「多額の税金を投資したものはしっかり使っていく」と庁舎を維持する考えだ。

 咲洲庁舎に入る部局が主導し、経済産業省所管の独立行政法人「製品評価技術基盤機構」のバッテリー研究施設を誘致したとの実績を強調。今後も企業や隣接する夢洲(ゆめしま)への統合型リゾート(IR)の誘致に取り組んだり、災害後の復興の拠点にしたりするなど、「ベイエリアの司令塔として活用していく」と訴えている。

 知事選にはほかに、元府立高校教諭の新人、美馬幸則氏(65)=無所属=も立候補している。

 

 

咲洲庁舎で主張激突 大阪ダブル選

 大阪日日新聞 2015年11月11日

 11月22日投開票の大阪府知事選で、無所属新人で元府議の栗原貴子氏(53)=自民推薦=と、政治団体・大阪維新の会の現職の松井一郎氏(51)が、府の第2庁舎「咲洲庁舎」の活用方法をめぐり、激しく舌戦を繰り広げている。この庁舎は大阪維新が誕生するきっかけになった因縁のビルで、栗原氏は撤退を、松井氏は維持を訴え、両者の主張は正面からぶつかり合っている。

大阪府知事選の争点になっている咲洲庁舎

 「私がもし知事になれば、すぐに大手前に集約する方針を決める」

 大阪府知事選の告示を目前に控えた10月下旬、大阪市内で行われた公開討論会で、栗原氏は、真横に座る松井氏に“宣戦布告”するようにこう断言した。

 白熱する議論の中身は、大阪湾を望む同市住之江区の人工島・咲洲に建つ咲洲庁舎の取り扱いについてだ。

■片道約40分

 本庁舎の職員約3千人に対して、咲洲庁舎では約2千人が働く。約10キロ離れた中央区大手前の本庁舎との間の行き来は地下鉄やシャトルバスで片道約40分。「府に二重行政はある。それは“二重庁舎”の問題だ。コストがかかり、職員は行ったり来たりで疲弊している。これこそ膨大な無駄」。栗原氏の訴えが満席の会場に響いた。

 咲洲庁舎は地上55階建て、高さ256メートルの超高層ビル。もともとは大阪市の第3セクターが貿易や情報処理の関連企業を集積しようと1995年に建設したが、テナントが埋まらずに経営破綻。「臨海部の新都心のシンボル」は、大阪市の「負の遺産」におちぶれた。事業費は約1200億円に上った。

■維新誕生

 このビルに注目したのが当時の橋下徹知事だ。老朽化した本庁舎機能の全面移転を2008年に掲げたが、府議会は紛糾。85億円のビル購入の予算案は成立したが、移転条例案は2度否決され、最終的に地震時の安全性の観点から一部の部局の移転にとどまった。

 この移転条例案の賛否をめぐる動きの中で、自民党府議団は分裂し、若手議員6人が新会派を結成。「橋下知事に共鳴し、立ち上がることを決めた」。当時の結成会見で府議の一人はそう語っていた。この流れが橋下知事を代表とする10年の「大阪維新の会」の誕生につながり、そのメンバーの中心にいたのが松井氏だった。

■「亀裂」の象徴

 「ベイエリアの活性化には府の拠点が必要だ」。10月、松井氏は記者団に咲洲庁舎の在り方を問われると、はっきり“咲洲維持”を口にした。維新誕生のきっかけになった象徴を、湾岸部の司令塔にする考えだ。さらに南海トラフ巨大地震で想定される津波被害の復興拠点としての活用も強調する。

 撤退か維持か-。橋下知事時代に端を発した自民と維新の「亀裂」の象徴である咲洲庁舎の在り方は、主要な争点になっている。

 知事選にはほかに、無所属新人で元府立高教諭の美馬幸則氏(65)も立候補している。

 

 

大阪府職員の8割「咲洲庁舎撤退を」…組合調査

2015年10月15日 読売新聞

 大阪府が第2庁舎として使用している咲洲さきしま庁舎(旧WTC、大阪市住之江区)について、府の職員組合が職員に実施した調査で、「撤退すべきだ」との回答が8割近くを占めたことがわかった。11月22日投開票の府知事選では庁舎問題が争点の一つとなる見通しで、議論が活発化しそうだ。

 調査は、府関係職員労働組合が8~9月、咲洲庁舎や本庁舎(同市中央区)に勤務する職員約7800人を対象に実施し、1062人が回答。咲洲庁舎から撤退すべきかどうかを尋ねたところ、77%が「撤退すべきだ」と答え、「存続すべきだ」は2%だった。

 一部の部局の咲洲移転による業務への影響に関しては、「非効率になった」の48%が最も多く、府民にとっての利便性は8割以上が「悪くなったと感じる」と回答。自由記述欄にも「本庁舎との往復が大変」など、否定的な意見が多かった。

 咲洲への庁舎移転は、橋下徹・大阪市長が知事だった2008年に提唱。知事選で再選を目指す現職の松井一郎氏(51)(大阪維新の会幹事長)も、引き続き活用する考えを示している。

 一方、自民党などは「地震時に長周期地震動の影響を受けやすい」などと主張。知事選に出馬する同党府議の栗原貴子氏(53)は、咲洲からの全面撤退を公約に盛り込む考えだ。

咲洲庁舎 大阪湾の人工島・咲洲にあり、55階建てで高さ256メートル。大阪府が2010年、経営破綻した大阪市の第3セクターから約85億円で購入した。当初は本庁舎にする方針だったが、府議会で庁舎移転に必要な賛成を得られず、府民文化部や商工労働部、環境農林水産部など一部の部局が入居。勤務する職員は約2000人で、約4割が空きスペースになっている。

2015年10月15日 Copyright © The Yomiuri Shimbun

 

 

よろしかったら大変お手数とは存じますが、上下ともクリックしてくださると大変うれしいです!

人気ブログランキングへ人気ブログランキング

ブログランキング・にほんブログ村へほんブログ村

Amazon 社会・政治・法律

Amazon Kindle ベストセラー

Amazon タイムセール商品