Everyone says I love you !

弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

労働者派遣法「改正」は派遣労働者も正規社員も他の非正規社員も全員を不幸にする!

2015年06月10日 | 労働者の権利

「しんぶん赤旗」日刊紙2015/03/14付。

 

 

 本日2015年6月10日、衆議院の厚生労働委員会で、労働者派遣法「改正」案の審議を進める与党側に対し、年金情報流出問題の議論を優先するべきだとする民主党、共産党が反発して退席しました。

 この日の委員会を巡って、民主党と共産党は、

「年金情報の流出問題の真相究明を優先すべきだ」

として、労働者派遣法改正案の審議には応じない姿勢で開会に抵抗しました。

 しかし、自民党の渡辺委員長が法案審議を進めたため、民主党と共産党は退席しました。与党側は12日にも労働者派遣法改正案を委員会採決する構えで、民主党は

「採決を強行すれば、国会全体が不正常になる」

と牽制しています。

 もちろん、これは漏れた年金問題を最優先すべきということと同時に、労働者派遣法「改正」案が稀代の悪法なので、何とか粘って抵抗しているということです。

 今まで、戦争法案とマイナンバー制度、労働者の問題だと残業代ゼロ法案のことは何度も取り上げてきたのですが、今国会で安倍政権が出してきた法案はまさに悪法ラッシュです。 

 今回は、維新の党が裏切り(追記)、民主党と共産党が抵抗している労働者派遣法について。近いうちに通信傍受法=盗聴法の適用拡大を含む新捜査法について批判したいと思います。

「しんぶん赤旗」2014/11/12付



 今回の労働者派遣法改悪案の最大のポイントは派遣業種の指定撤廃と、派遣期間制限の見直しです。

 現行の派遣法では通訳や秘書などの専門26業務は無期限で、その他の業務は最長3年としていますが、今回の改悪案ではこの専門26業務の指定を廃止し、一律に期限を3年とすることになっています。

 そして、すべての派遣労働者に関して、期限を迎えた時の措置を大きく変えます。

 現在の法律では原則1年、最長3年を超えて同じ仕事に派遣労働者を使えないのですが(今働いている労働者のみならず、次の人も派遣はダメで直接雇用の人でないとダメ)、改悪案では労働組合などの意見を聞いた上で、人を代えれば派遣労働者を使い続けられるようになります。

 また、同じ派遣労働者でも派遣先の事業所内で働く課を替えれば、更に期間を3年延ばせることになっています。

 となると、同じ職場に次々と別の派遣労働者を持ってこれるし、一人の派遣労働者も職場を少し変更するだけでずっと雇えるので、事実上、派遣を使える人的・期間的制限はなくなるわけです。

 

 ただ、労働者の雇用安定措置も盛り込まれてはいます。

 つまり、派遣元業者に対し、派遣労働者のキャリアアップ(正規雇用)のための教育訓練の実施を義務づけ、また、3年に達した労働者を派遣先に直接雇用するよう依頼したり、新たな雇用先を紹介したりするなどの措置も求めています。

 しかし、派遣先が依頼を受け入れることは義務でないので、実効性は余りないのが現実でしょう。

 

 

 

 さて、ご自身が派遣労働をしたことがない勤労者の方や、派遣の労働者を使ったことがない事業者の方にはピンと来ないかもしれませんが、この労働者派遣法「改正」案は天下の悪法と言えるもので、これまで二度廃案になってきたのにまたぞろ出してきたといういわくつきの「改正」案です。

 実は、1986年に労働者派遣法が出来るまで、人材派遣業は法律で禁止されていました。

 つまり、それまでは従業員は働く会社と直接雇用契約を結び、その会社から直接給与を受け取っていました。いまでも、正社員やパート・バイトの非正規社員はそうですよね。

 しかし、労働者の派遣が認められると、労働者は派遣業者に登録し、派遣業者が雇用先を見つけてきて、雇用されることになるのですが、その派遣契約は派遣先の会社と派遣業者の間で結ばれ、派遣先と派遣労働者の間には契約関係がありません。

 ですから、派遣労働者がなにか契約上の請求ができる相手は働いている会社ではなく派遣元業者と言うことになりますし、直接雇用の従業員に比べて地位は不安定ですし、派遣先から支払われるはずの給与のうち、派遣業者への手数料が差っ引かれるわけで、派遣労働者は踏んだり蹴ったりになる可能性があったからです。

 したがって、1986年以前は、労働者派遣業は違法であり、それどころか刑罰が科せられる犯罪!とされていました。

 今も先進国では派遣労働は厳格に例外とされています。

 

 

 ところが、1986年に労働者の派遣業が例外的という名目で解禁され、どんどん例外が拡大していったわけです。国旗国歌法と労働者派遣法の拡大なんかを見ると、今の戦争法案のなになにしませんと言う話が全く信用できないことがわかるというものです。

 その大義名分は「労働市場の自由化」が派遣先企業にも労働者にもメリットがあるということでした。

 すなわち、派遣先会社は直接労働者を雇うよりも、解雇規制などの制限を受けず派遣業者との契約を打ち切れば人員整理が簡単にできますし、社会保険などは派遣業者が負担しますので、手数料を払ってもメリットがあるということです。

 逆に、労働者側も、雇用先が直接雇用するのでは以上のようなデメリットがあるので新規採用に尻込みしかねないわけですが、派遣労働が認められることで人を雇いやすくなるから、雇われる側としては就職先が広がるし、自分で雇用先を探さないでいいし、自分のライフスタイルに合わせて就職先を柔軟に選べるというわけです。

 確かに、派遣の方が働きやすいという方も結構いらっしゃいますが、根本的には、多数の労働者にとっては給与はピンハネされるし、いきなり雇用を打ち切られる可能性があって、派遣労働では非常に不安定な地位に置かれます。

 ですから、労働者派遣法ができて、また拡大はしてきても、派遣は専門性の高い分野に限定し(通訳など専門26業種)、それ以外の業務は臨時で一時的(3年まで)という建前をとってきました。

 それでも、記憶しておられる方も多いともいますが、2008年9月のリーマンショックによる大不況で、凄まじい勢いで雇用先から派遣業者に対する派遣契約の解約=派遣切りが行なわれ、その年末に日比谷公園に年越し派遣村ができて、国と交渉を行うような事件も起こりました。

 さらに、今回の改悪でこれまでの規制を撤廃し、かたや派遣労働ができるのを原則専門職に限定することを止め、かたや人を変えれば、または同じ派遣労働者が事業所内を転々とすればいくらでも派遣労働者を使うことが出来るようになります。

 つまり一つの事業所単位で見ると、すべての業種で、常用労働者の代わりに永久に派遣労働者を使える状態になるわけです。

2008年12月の年越し派遣村。ここに集まった労働者の数倍、数十倍が全国で派遣切りにあった。翌年には「公設派遣村」も設置された。

「年越し派遣村」。寒空の下、炊き出しに長蛇の列ができた光景は、誰しも鮮明に残っているのではないか。あの中で499人の失業者が「村民登録」した。

村民約500人のうち、「“派遣切り”で住居も仕事もなくなった」が20.6%、「派遣切りではないが不況によって失業」が19.8%を占め、派遣村を訪れる前日に「野宿していた」が57.9%だった。280人が生活保護の申請を行い、住まいを確保した。

 

 

 こんな労働者派遣法の改悪に当たって、どういう大義名分で説明されているかというと、専門26業種の方が3年の期限の時に正規労働者になれたり、専門職種以外の派遣の方々が、職場を変えれば3年を超えて働けるかもしれないというのです。

 しかし、3年を超えて延長してもらえるかはあくまで派遣先の会社次第のことで、将来のこともわからない不安定なままな状態が固定化されるのです。

 先ほど見たように、今回の「改正」案では、

1 派遣業者に対し、キャリアアップのための教育訓練の実施を義務づけ、

2 3年に達した労働者を派遣先に直接雇用するよう依頼したり、新たな雇用先を紹介したりするなどの措置を取るよう求めている

だけですから、これまでの派遣労働者が正規で雇用されるとか、長く勤められる保証は全くありません。

 また、専門業種に入っていた派遣労働者はと言うと、専門26業種の撤廃により、これまで専門性が高いということでずっと派遣で安定的に雇用されてきた労働者が3年で首切りにあう、というリスクがむしろ大いに高まります。

 さらに、逆に派遣労働者以外の正社員にとっては、正規社員を減らして会社にとって「便利」な派遣労働者が補充される可能性が高いわけです。

派遣村 国を動かした6日間
年越し派遣村実行委員会 編
毎日新聞社

職と住居を失った派遣労働者を支援するために開設された派遣村の実像を内部から伝え、新しい社会的連帯の可能性を明らかにするドキュメント。湯浅誠、宇都宮健児、東海林智ら派遣村実行委員、村民とボランティア、そして雨宮処凛ら熱い連帯者が、派遣村で何が行われたかを内部から報告。人間の尊厳を奪う貧困の現実と、派遣村に萌芽した新しい社会的連帯の可能性を浮き彫りにする。


派遣村、その後
小川 朋 (著), 「年越し派遣村」実行委員会
新日本出版社

共に生きるために。渾身のルポ、第一線で活躍する人々の論考。湯浅誠、生熊茂実、小田川義和の各氏が寄稿。

 

 

 

 となるとですよ。

 この労働者派遣法改悪案では

1 正規労働者は派遣労働者に職場を取られる(雇用先に派遣の方が都合がよければ、パート・バイトの労働者も職場を取られるかもしれない)

2 派遣労働者は正規社員になれるかもと言う期待をエサに、永久に派遣労働者のままになる

3 特に専門業種ということで比較的安定していた26業種の派遣労働者も身分が不安定になる

ということで、働く勤労者にとっては全員全くいいところなしの改悪になるわけです。

 こうして見ると、当ブログが明後日衆院で可決しそうという、こんな土壇場まで、なんで労働者派遣法改悪のことを書かなかったと歯噛みする思いです。

 

 

参考記事

うちからもリンクさせていただいている

井上伸さん

「生涯」にわたり労働者をモノ扱いする派遣法改悪が日本の働き方をダメにする

竹中平蔵氏肝いり派遣法改悪が強行されると「世界で一番派遣会社パソナが活躍しやすい国」が完成してしまう

年越し派遣村、秋葉原事件から7年目 -派遣法改悪ねらう政治家の仕事は労働者に絶望を与えることなのか?

「同一労働同一賃金」とバーターで派遣法改悪を容認する維新の党は派遣労働者を3年でクビにするつもり?

【派遣法改悪】正社員を望む派遣労働者は6割と非正規の中で突出して多いのにデタラメ流布する長谷川幸洋氏

 

ナベテル弁護士こと渡辺輝人弁護士の

違法な派遣企業を救済するための派遣法改正法案だった

派遣法改悪の歴史が示す残業代ゼロ制度の未来


伊藤和子弁護士の

これでいいの? 「女性活躍」にも逆行。派遣法改正案が通過すれば、男女とも非正規拡大・貧困化が進む。

 

追記

 維新の党が今どういう状態かと言いますと、早期採決に応じる代わりに、自公両党は、雇用形態で賃金に差をつけない「同一労働同一賃金」を進める議員立法の成立に協力する。3党の協議で、維新などが今国会に提出した議員立法に「施行後3年以内に法制上、財政上、税制上の措置」などを講じるとの文言を加え、3党で再提出することで折り合った、というところです。

 しかし、本日の報道ではまだ揺れています。

野党共闘か官邸接近か…維新、立ち位置定まらず

2015年06月10日 08時03分 読売新聞

 維新の党が、野党共闘を取るか、首相官邸との連携を取るかで揺らいでいる。

 9日の維新の党執行役員会は、労働者派遣法改正案を巡り、自民、公明両党と法案採決に応じた経緯が議論された。柿沢幹事長は「(与党との)修正協議が現場主導で始まったが、情報共有が十分ではなかった。現場と執行部が一緒にやれる態勢を作りたい」と釈明した。修正協議は、橋下徹最高顧問(大阪市長)に近い「大阪系」議員が主導したが、党内の統制がとれていないことを露呈した。

 安保関連法案をめぐる国会審議でも、衆院平和安全法制特別委員会の理事を務める維新の下地幹郎衆院議員が自民、民主両党の間に立ち、将来の修正協議に含みを持たせる発言をしている。下地氏は9日夜、菅官房長官や自民党の佐藤勉国会対策委員長らと懇談した。

 一方、維新の松野代表は野党共闘にかじを切っており、「年内に100人規模の野党再編」の目標を掲げる。松野氏は8日夜も民主党の前原誠司元代表や元みんなの党代表の浅尾慶一郎衆院議員らと会合を開いた。出席者によると、野党の連携強化で一致したという。



 で、緊急のお願いがございます。

 うちの読者の方はほとんどこういう要請行動をしたことがある方はいないと思うのですが、中間的立場にいる政党への有権者からの要請は非常に効果があります。戦争法案だったら公明党とかですね。

 ということで、うちのブログの読者の方は私と同じく戦争法案やマイナンバーに意識が集中していたかもしれませんが、労働者派遣法の行方にも注目していただいて、維新の党の議員に下の方に書きました連絡先から、ツイッター、メール、ファックスで派遣法改悪に手を貸すなと圧力を加える運動に参加していただけないでしょうか。

 もう、言葉は端的に「労働者派遣法を改悪しないでください」の一言で結構です。

 よろしくお願いいたします。


 下のリンクにクリックして行っていただけると、ネット上の署名も1分で出来ます。議員への直接の要請がためらわれるようでした、そちらをお願いします。

 引用した各新聞記事でもわかるように、非常にまともな団体ですのでご安心ください。 

 なお、足立議員は無駄に決まってますので他の議員にしますかw(橋下維新の足立やすし衆議院議員 「残業代を支払え?ふざけるな!」 最高裁まで闘うとのこと(笑)

 

 

【緊急】維新の党に「採決に応じないで!」のメール・FAXを送って下さい!!

非正規労働者の権利実現全国会議

2015年6月8日 — 労働者派遣法の大改悪法案が、きわめて危機的な状況にあります。

報道によれば、維新の党が、自民党との修正協議に応じる姿勢を見せています。

維新の党が妥協してしまうと、与党(自民+公明)と維新は、12日(金)にも衆議院で採決する見込みです。

維新の党が妥協せずに、野党が一致して反対の立場を貫けば、与党サイドは、強行採決に踏み切らざるを得なくなります。

もし、強行採決となれば、これからの国会は大荒れになり、安全保障法制の審議にも影響が波及しかねません。そのため、与党サイドは、なんとか強行採決を回避するべく、維新の党に妥協を迫っています。

維新の党に対する要請を集中して下さい。維新の党に所属する国会議員に直接メールやFAX、Twitterメンションを送って下さい。

▶維新の党所属の国会議員(厚生労働委員)

■井坂信彦 議員
Twitter @isakanobuhiko
メール g08372@shuiin.go.jp
電話 03-3508-7136
FAX 03-3508-3436

■浦野靖人 議員
Twitter @uranoyasuto
FAX 03-3508-3222

■足立康史 議員
Twitter @adachiyasushi
電話 03-3508-7100
FAX 03-3508-6410

■牧義夫 議員
Twitter @yoshiomaki758
FAX 03-3508-3258

皆様のご協力をよろしくお願いいたします!


 

 

すみません、労働問題が手薄でした。

しかし、今回書いてみたらあまりに酷い!なんとかご協力を!

よろしかったら大変お手数とは存じますが、上下ともクリックしてくださると大変うれしいです!

人気ブログランキングへ人気ブログランキング

ブログランキング・にほんブログ村へほんブログ村

Amazon 社会・政治・法律

 
 
 

毎日新聞 2015年06月10日 11時16分

 人を代えれば派遣労働者を使い続けることが可能になる労働者派遣法改正案の審議が大詰めを迎える中、非正規雇用問題に取り組む弁護士や学者などで作る「非正規労働者の権利実現全国会議」(代表幹事・脇田滋龍谷大教授)が9日、東京・霞が関で記者会見し、派遣業務で働く人たちと反対をアピールした。

 改正案では、派遣は一律3年が上限となり、これまで派遣期間に制限のなかった通訳や秘書などの専門26業務では3年で雇い止めになる。同会議が派遣労働者の声を聞くためにインターネットで緊急アンケートを実施したところ、寄せられた回答297件は雇い止めになることへの不安と改正案に反対する意見で占められたという。

 記者会見に出席した放送局で専門業務を17年間続ける40代の女性は「長くやってきた仕事が、法で定められれば確実に3年後には仕事を失う。仕事は生活であり、命。それを3年単位で区切ってほしくない」と訴えた。

 コールセンターの専門業務で働く40代の女性は「正社員の仕事は本当に少なく、せめて期間制限のない専門派遣でと働いてきた。改正されればその安定もなくなり、私たちに未来はない」と嘆いた。

 派遣法改正案は今国会が3度目の提案。与党は19日にも衆院厚生労働委員会で採決に持ち込む予定で、民主党、共産党などが抵抗している。【東海林智】

 


派遣法改正案について意見を話す派遣労働者の女性ら=9日、東京・霞が関の厚労省で

写真

 国会で審議中の労働者派遣法改正案で、業務内容にかかわらず労働者が一つの職場で働ける期間が三年に制限されることに対し、現在、期間制限がない専門業務についている派遣労働者ら十一人が九日、厚生労働省で記者会見し「法案が通れば三年で自動的に仕事を失う」と廃案を求めた。 (小林由比)

 現在は専門業務の派遣労働者には労働期限がないが、改正案では、一般業務との区別をなくす。すべての業務で三年を区切りとし派遣先に正式雇用を打診することなどを盛り込んでいるが、実際には、派遣労働者を入れ替えれば、企業はずっと派遣のままで使えるようになる。

 働き手からみると、同じ職場で働けるのは三年までとなる。派遣という非正規雇用ではあるが、専門性を生かし、派遣先企業で長年働き続けてきた四十、五十代の労働者からは「三年したら失業してしまう」と不安の声が上がっている。

 専門業務の放送機器操作で十七年働く京都府内の四十代女性は「すぐにはできない仕事をしているからこそ長く働いてきた。仕事は生活であり命。それを奪う法改正はやめて」と訴えた。

 研究関連業務に就く横浜市の女性(39)は、ひとり親で小学生の子を育てる。「派遣期間に定めがない職場なら収入が途切れないと思って働いてきた。三年後は四十歳を過ぎ、仕事が見つかるかわからない」と不安を訴えた。

 会見した派遣労働者たちは、研究者や弁護士などでつくる市民団体「非正規労働者の権利実現全国会議」に意見を寄せた人たちだ。同会議は「当事者の声を聞かないままの採決は許せない」として、今月五日からネット上で緊急アンケートを実施。九日までに二百九十七人から、法案への不安や反対の意見が寄せられた。

 

 

2015年06月09日 19時43分 弁護士ドットコムニュース
派遣労働者300人の声「アンケート回答者のほぼすべてが派遣法改正に反対」
 
労働者派遣法改正について実施したアンケート結果を発表する弁護士ら

国会で労働者派遣法改正案の審議が進むなか、弁護士らでつくる「非正規労働者の権利実現全国会議」は6月9日、東京・霞が関の厚労省で記者会見を開き、法改正について派遣労働者たちに聞いたアンケート調査の結果を発表した。中西基弁護士は「約300の回答中、ほぼすべてが派遣法改正に反対するという意見だった。諸手を上げて賛成する人は1人もいなかった」と強調した。

これまで派遣労働は「臨時的・一時的」な仕事に限られるべきだとされ、派遣先企業は原則として、3年を超えて派遣労働者を受け入れることはできなかった。ところが、もし今回の改正案が通れば、派遣先企業が3年ごとに「派遣される人」を入れ替えれば、ずっと派遣を受け入れ続けることが可能になる。

一方、これまで特別扱いされ、受け入れ期間の制限がなかった「専門26業務」の区分は撤廃され、他の業務と同じ扱いになる。そのため、これまで専門26業務として派遣されていた人も、3年を超えて同じ派遣先に居続けるためには、その企業と直接、雇用契約を結ばなくてはいけないようになる。

同会議は「今回の改正が実現してしまうと、すべての派遣労働者について『個人単位で3年』という期間制限が導入されます。同じ職場で働けるのは3年まで。3年経てば『クビ』になってしまいます」として、アンケートを実施して、派遣労働者たちの法改正に対する意見を募集していた。

●「派遣」で働く人たちの声

記者会見には、アンケートに回答した派遣労働者たちも出席した。出版社で、専門26業務にあたるウェブ制作の仕事をしているという40代の女性は、次のように訴えた。

「今の職場には5年、10年と長くつとめている派遣社員が多く、比較的安定したところで働けている。ただ、今回の法改正について派遣会社に確認すると、『法改正が実現すれば、3年で雇い止めになる可能性が高い』と言われた。

現在40代の私が、3年後に転職するとなると、今より転職は難しい。法改正によって、派遣労働者の大半を占める女性の雇用がさらに一時的で軽いものになってしまう。政府は女性活用の推進をうたっているのに、なぜそのようなことを行うのか、矛盾していると思う。

また、広告デザイナーの30代女性は、「働きながら35万円の学費と5万円の教材費を払って専門学校に通い、デザインのソフトを使いこなせるように勉強して、やっと専門26業務に就いた。派遣は正社員よりレベルが低いという人もいるが、それは違う。働きながら勉強して、いろんな知識を吸収している、努力している人が、不利になるような法改正はやめてほしい」と語っていた。

(弁護士ドットコムニュース)

 
 

派遣法改正案、衆院通過へ 自民・維新が歩み寄り

藤原慎一

2015年6月10日15時13分 朝日新聞

 労働者派遣法改正案が来週にも衆院を通過する見通しとなった。維新など野党3党が提出していた、正社員と派遣社員らの賃金格差を解消する「同一労働同一賃金」推進法案の修正で自民と維新が合意したためだ。民主党など他の野党は反発を強めそうだ。

 推進法案では、維新が提出した当初案の「職務に応じた待遇の均等の実現を図る」との表現を、「職務等に応じた待遇の均等および均衡の実現を図る」に修正。措置を講ずる時期も「施行後1年以内」を「3年以内」へと緩和する。

 また、「その後の実施状況を勘案し、必要があると認めるときは、所要の措置を講ずる」との文言も盛り込まれた。企業にとって負担増につながるため、自民が「骨抜き」を図った。

 「同一労働同一賃金」推進法案はもともと、維新と民主、生活の3党が、労働者派遣法改正案の「対案」として共同で提案した。

 これに対し、自民は、労働者派遣法改正案の採決への協力を引き出すため、維新へ修正協議を打診、維新が応じた。民主党などは現在、審議への欠席を続けているが、維新は派遣法改正案の採決に出席した上で反対する方針だ。与党からすれば、全野党が欠席のなか、採決を強行するという事態が避けられる。

 野党3党が提出した「同一労働同一賃金」推進法案も同時に採決、与党の反対多数でいったんは否決される見通しだ。その後、自民・維新が修正合意した案を再提出するとみられる。

 民主党の安住淳・国会対策委員長代理は「もれた年金問題を隠して派遣法の採決をする態度は容認できない。採決を強行するなら、国会全体が不正常になる」と反発している。(藤原慎一)

 

 

よろしかったら大変お手数とは存じますが、上下ともクリックしてくださると大変うれしいです!

人気ブログランキングへ人気ブログランキング

ブログランキング・にほんブログ村へほんブログ村

Amazon 社会・政治・法律


コメント (3)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「安全法制」=戦争法案で、... | トップ | 刑事司法関連法案の通信傍受... »
最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
貧困層の拡大 (ねぼすけ)
2015-09-13 00:44:05
労働問題のみが孤立してあるのではなくて、戦争法案からマイナンバーまで、すべてが自民党が描く社会の柱になっているんだと思います。

国民の貧困層を拡大させるために、大増税と雇用の破壊をし、経済的徴兵を促す、そこから逃れられないように、憲法改悪とマイナンバーによって、統制する。

国民の財産を国が一括して管理しようとする、自民党の集産主義、マイナンバーは、国家へ財産のみならず、命まで預けてしまう、恐ろしいものだと思います。
返信する
Unknown (へんせいふう)
2015-09-13 18:39:40
非正規雇用の中でも一番問題が大きい派遣という働き方。賃金や不安定雇用という側面だけでなく、職場でも「よその会社の人」無関心という差別の温床にもなっています。
はてなブログはトラバがありませんのでリンクさせてください。

返信する
ピンハネ事業でしょ (Unknown)
2015-09-13 22:49:23
派遣会社ってピンハネ事業でしょ、契約社員からピンハネしているのだから。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

労働者の権利」カテゴリの最新記事