安倍内閣は、国連南スーダン派遣団(UNMISS)に参加してPKO=国連の平和維持活動を行っている韓国軍からの要請を受けて、陸上自衛隊の小銃弾1万発を提供する方針を持ち回りの閣議で決めました。
PKO協力法に基づき、国連を通じて他国の軍に武器を提供するのは今回が初めてで、武器輸出三原則の例外として扱い、23日中にも、国連のヘリコプターで南スーダンの首都ジュバから韓国軍の宿営地まで輸送する方向です。
PKO協力法の「物資協力」に基づく国連への物資の提供は、これまでにも行われていますが、武器弾薬の提供は今回が初めてです。憲法の平和主義に基づき、原則として海外への武器輸出を禁じた武器輸出三原則との関係から、武器や弾薬を提供したことはないのです。
武器輸出禁止3原則の「緩和」で原則と例外が入れ替わり、禁止ではなく輸出が原則になってしまう
そもそもPKO協力法は当初、武器を使用して防護できる対象を自己と同僚隊員に限定し、2001年に「自己の管理の下に 入った者」を加える改正を行ないましたが、武器・弾薬の他国への提供は、今回適用された同法25条の「物資協力」に関する過去の政府答弁では「想定外」とし てきたものです。つまり、政府が、今回、提供の根拠としているPKO協力法の「物資協力」について、政府はこれまでの国会で、「武器や弾薬は含まれず、国連から要請があっても断る」と答弁してきたのです。
ちなみに、自衛隊イラク派遣の根拠となった「イラク支援法」や、インド洋での給油活動の根拠となった「テロ対策特別法」では、提供する物資の中から武器弾薬は除外されています。
すなわち今回の韓国軍への銃弾提供は、武器輸出三原則に反するだけでなく、PKO法にも反する違法行為です。この違法はいくら官房長官談話を出してもぬぐうことはできません。
武器輸出三原則の例外にすべき緊急性があるというのですが、南スーダンの情勢が緊迫していると言っても、韓国軍の銃弾が自衛隊からもらわないといけないほど足りないということはないでしょう。完全に、「積極的平和外交」のアピールのためのものです。
日本の国際貢献は平和的な災害救助などで十分果たせます。こんな違法行為で武器輸出三原則を踏みにじることは許されません。
F35戦闘機を武器輸出三原則の例外にする安倍政権が秘密保全法制定を狙うのは必然だ
韓国との緊張緩和の方法としても最悪。
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銃弾提供を決定 政府「例外措置」と説明
南スーダンのPKO活動に関連し、政府は、陸上自衛隊の銃弾1万発を、PKO協力法に基づき、国連を通じて韓国軍に提供する方針を決めました。
PKO協力法に基づき国連に武器が提供されるのは初めてで、政府は、緊急性が高いことから、いわゆる武器輸出三原則の例外措置として実施したとする官房長官談話を発表することにしています。
南スーダンでは、今月15日以降、首都ジュバで、キール大統領を支持する軍の部隊と、マシャール前 副大統領を支持する部隊との戦闘が続き、東部のジョングレイ州では国連の施設が襲撃され、PKO部隊のインド軍兵士など少なくとも10数人が死亡するな ど、緊張が高まっています。
こうしたなか、ジョングレイ州でPKO活動に参加している韓国軍から、日本政府と国連に対し、部隊と避難民の防護に備え、弾薬が不足していることから、PKOに参加している陸上自衛隊が所有する小銃用の5.56ミリ弾を提供してほしいという要請がありました。
これを受けて23日、安倍総理大臣や小野寺防衛大臣ら、国家安全保障会議の関係閣僚が総理大臣公邸で対応を協議しました。
そ の結果、PKO部隊の中で同じ型の銃弾を保有しているのは陸上自衛隊だけであること、提供しなければ避難民の防護などに支障が出ることなどから、PKO協 力法に基づき、自衛隊が所有する銃弾1万発を国連を通じて韓国軍に提供する方針を決め、23日午後、持ち回りの閣議で正式に決定しました。
PKO協力法に基づいて、国連に武器が提供されるのは初めてです。
政府は23日中に提供したいとしています。
政府は過去に国会で、PKO活動での物資協力に関連して、国連への武器や弾薬の提供は「含めない」という見解を示し、「国連側からそういった要請があると想定しておらず、仮にあったとしても断る」などと答弁しています。
政 府は、今回の措置について「一刻を争う緊急事態であり、緊急性と人道性が極めて高いことから、提供することを判断した」と説明しており、併せて武器の輸出 を原則として禁じてきた、いわゆる武器輸出三原則の例外措置として実施したなどとする、菅官房長官の談話を発表することにしています。
小野寺防衛大臣はNHKの取材に対し、「『弾薬』の提供ということで、これまでの想定を超える内容なのは事実だ。現地の状況と人道的な問題、そして緊急性を考え合わせ、国家安全保障会議で方向性を出し、法的な問題を整理して対応した」と述べました。
そのうえで小野寺大臣は、「弾薬の提供によって、自衛隊の弾薬が不足するような状況ではない。現在自衛隊が活動している首都のジュバは、北部の地方都市のような状況には至っていないが、現地との情報交換をしながら、安全について細心の注意を払いたい」と述べました。
提供求めた韓国の立場は
南スーダンで国連のPKO=平和維持活動を行っている韓国軍が日本側におよそ1万発の銃弾の提供を求めたことについて、韓国政府は、大統領を支持する部隊と、前大統領を支持する部隊の戦闘が、駐屯する地域に迫り、非常事態に備える必要があるためだとしています。
韓国軍は、ことし3月から特殊部隊70人を含むおよそ280人が、東部ジョングレイ州の州都ボルでPKO活動に参加していて、主に道路の補修や医療活動など市民生活の支援を行っています。
韓国国防省によりますと、南スーダンの大統領を支持する部隊と、前副大統領を支持する部隊の戦闘がボルに迫ってきているため、韓国軍の部隊は駐屯地の外での活動を控え、警備を強化しているということです。
さらに非常事態に備えるため、銃弾を補充することを決め、国連に相談したところ、陸上自衛隊が所有しているという知らせがあり、1万発の銃弾の提供を求めることにしたとしています。
南スーダンの状況について、キム・グァンジン国防相は国会で、「現時点で駐屯地周辺の状況に異常はない」としながらも、「最悪の場合には当然、部隊の撤収はありうる」と述べて、引き続き警戒を続ける考えを示しました。
南スーダンのPKOの状況は
南スーダンが北部のスーダンから分離独立した2011年から、現地には国連のPKO=平和維持活動の一環として、UNMISS=国連南スーダン派遣団が展開しています。
UNMISSには現在、日本を含むおよそ60か国が参加しており、兵士や警察官7600人に加え、文民の要員やボランティア2500人が国内各地で活動しています。
南スーダンでは独立後も、北部の油田地帯の領有権などを巡って、スーダン側との間で武力衝突が起きてきたほか、東部でも異なる民族どうしの対立が続いており、UNMISSは治安の維持とともに、経済発展に向けた環境整備に当たってきました。
UNMISSでは、これまで19人の要員が戦闘に巻き込まれるなどして死亡しています。
陸上自衛隊の施設部隊が派遣されている首都ジュバの近郊では、これまで比較的治安は安定していたものの、経済発展に欠かせない道路などのインフラの整備が大幅に立ち遅れ、自衛隊も活動範囲を拡大して支援に当たるよう要請を受けていました。
PKOの要員を再配置へ
南スーダン情勢の緊張を受けて、国連は22日、現地でPKO=平和維持活動に当たっている要員を再配置する方針を明らかにしました。
国連は安全上の理由から、首都ジュバにいたPKOの要員の一部を隣国ウガンダに退避させ始めたほか、戦闘が激しくなっている東部ジョングレイ州の施設から文民の要員を首都ジュバに避難させたとしています。
一方で、各地のPKOの施設には今も合わせて2万人の住民が避難しているということで、国連ではジョングレイ州を中心に兵力を増強して市民の保護に当たる方針です。
国連のジョンソン代表は「われわれは南スーダンを決して見捨てない」と述べ、PKOの要員を再配置しながら、市民の保護に全力を挙げる姿勢を強調しました。
「物資協力」政府答弁と整合性取れず
PKO協力法の「物資協力」に基づく国連への物資の提供は、これまでにも行われていますが、武器弾薬の提供は今回が初めてです。
政府はこれまでのPKOで、国連に対し毛布やテント、それに自衛隊が使用したコンテナなどを提供してきました。
しかし、憲法の平和主義に基づき、原則として海外への武器輸出を禁じた武器輸出三原則との関係から、武器や弾薬を提供したことはありません。
また、自衛隊イラク派遣の根拠となった「イラク支援法」や、インド洋での給油活動の根拠となった「テロ対策特別法」では、提供する物資の中から武器弾薬は除外されています。
政府が、今回、提供の根拠としているPKO協力法の「物資協力」について、政府はこれまでの国会で、「武器や弾薬は含まれず、国連から要請があっても断る」と答弁しています。
これについて、内閣府の担当者は、「当時の答弁は基本的な考え方を述べたものであり、緊急時の例外的な武器弾薬の提供を排除したものではない」と説明しています。
憲法が専門で、学習院大学大学院教授の青井未帆さんは、「南スーダンの状況は客観的に悪化していると言えるので、緊急性があるという判断には一定の理由がある」と話しています。
そのうえで、「今回の提供が、過去の政府答弁と整合性が取れていないことも否定できない。緊急性があるとしても、政府が何をしてもいいということにはならず、武器輸出三原則がなし崩しになるおそれもある」と指摘しています。
政府見解を大きく転換 南スーダンPKO、弾薬譲渡
2013年12月24日05時22分 朝日新聞
【園田耕司】安倍内閣が南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)で、自衛隊の弾薬を国連を通じて韓国軍に提供することを決めた。PKOでの武器弾薬の譲渡については、歴代内閣が国会答弁で重ねて否定してきた。今回の決定は、武器輸出三原則の全面的な見直しを見据え、長年積み重ねてきた政府の方針を大きく踏み越えたものだ。
政府は今回の弾薬の提供を、PKO法25条の「物資協力」に基づくと説明している。だが法律の制定当時から歴代内閣は、国連への自衛隊の武器・弾薬の譲渡を明確に否定してきた。
1991年のPKO法の国会審議では、「『物資協力』に武器や弾薬、装備は含まれるか」との問いに、政府側は「含まれていない」(国際平和協力の法体制整備準備室長)と答弁。「(国連)事務総長から要請があった場合は」との質問にも「そもそも事務総長からそういう要請があることは想定していないし、あってもお断りする」(同)などと強調していた。
98年の同法改正審議では「『武器弾薬などの物資協力はあり得ない』と条文に書かなくても大丈夫か」との問いに、政府側は「人道的な国際機関は、その活動のために人を殺傷したり、物を壊したりする武器・弾薬を必要とすることは万が一にもない」とし、「これらの機関から日本に対し、武器・弾薬の提供の要請があるとは考えていない」(国際平和協力本部事務局長)と説明した。
ところが、安倍内閣は 今回、過去の政府見解と対応を一変させた。「緊急の必要性・人道性が極めて高い」として、弾薬譲渡の正当化を図った。過去の国会答弁との整合性について は、物資協力の具体的な内容を規定していないPKO法の条文を盾にするように「法的には『武器弾薬を除く』という適用除外は書かれていない」(内閣府)と主張した。
日本政府が殺傷力のある弾薬を国連や他国に譲渡するのは今回が初めてだ。米軍に対してさえ、日米物品役務相互提供協定(ACSA)で、武器・弾薬の提供を明示的に除外している。
安倍内閣は法律に書かれていないことを理由に、今回の決定をした。しかし、過去20年以上にわたって積み重ねてきた国会答弁との整合性はどうなるのか。さらなる説明責任が問われそうだ。
■新原則に影響か
自衛隊のPKO活動での装備品提供をめぐっては、野田内閣当時の2012年に、ハイチ政府に油圧ショベルなどの重機の譲渡を決めたケースがある。平和・国際協力に伴う案件であれば、政府が相手国と取り決めを作ることで武器譲渡を可能にする武器輸出三原則の緩和が前年に行われ、初の適用例だった。
今回は相手が国ではなく国連で、野田内閣当時の武器輸出三原則の緩和は適用できない。そのため官房長官談話で「韓国隊員及び避難民等の生命・身体の保護のためのみに使用される」として新たな例外とした。
一方、安倍内閣は17日、外交・安全保障の基本方針となる国家安全保障戦略(NSS)を策定し、「積極的平和主義」を掲げ、武器輸出三原則に代わる新原則を年明け以降に定める方針を打ち出した。今回の弾薬譲渡は、新原則を政府・与党内で協議する上で、影響を及ぼす可能性がある。
政府は、殺傷力の強い武器の提供には抵抗感が強い公明党の幹部に事前に根回しをして了解も得た。政府高官は「もしものことがあったら日本は韓国を見殺しにしたのか、となってしまう。だから知恵を絞り、緊急的、人道的措置ということだ」と強調する。
とはいえ、韓国軍の対応によっては現地武装勢力の殺傷に使われる恐れがある。日本の「平和国家」としての基本理念に合致するのか、不透明さが残る。
■韓国軍宿営地、避難民1.5万人
【ヨハネスブルク=杉山正】南スーダンには、日本など50カ国以上の約7600人で構成される国連南スーダン派遣団(UNMISS)が駐留し、平和維持活動にあたる。だが、首都ジュバで15日に起きたマシャル前副大統領によるとされるクーデター未遂を契機に、反乱軍が各地で蜂起。キール大統領派と武力衝突し、治安が急速に悪化した。
韓国軍の工兵部隊が学校建設などにあたっていた首都から約200キロの東部ジョングレイ州ボルは、18日に反乱軍に制圧された。官房長官談話によると、韓国軍はボルの宿営地に避難民約1万5千人を受け入れており、隊員や住民の保護のために銃弾の提供を要請してきたという。同州アコボでは国連施設が襲われ、PKO部隊のインド兵2人と多数の市民が死亡した。
事態の緊迫を受け、UNMISSは、ボルから文民スタッフを全員退避させた。その上で、軍部隊を増派し、警戒を強化しているが、政府軍と反乱軍の間で一両日中にも本格的な戦闘が始まるという観測もある。AFP通信によると、UNMISSのトビー・ランザー副代表は「南スーダンは崩壊しつつある。数少ない兵士が2千人(の反乱軍)に囲まれたら、できることは限られている」と危機感をあらわにした。
◇
■法的枠組み超える
〈早稲田大学の水島朝穂教授(憲法)の話〉 PKO協力法は物資協力を認めているが、弾薬は当然には含まれない。周辺事態法の物品提供に武器は含まれないし、テロ特措法によるインド洋での活動も艦船への給油だった。武力行使の直接的な手段である弾薬・銃弾の提供は従来の法的枠組みを超えるものだ。今後、米軍への砲弾提供などに拡大されていく恐れがある。
■国連要請、問題ない
〈元陸上自衛隊北部方面総監の志方俊之・帝京大教授の話〉 弾薬を使って自衛隊が一緒に武力を行使するわけではなく、国連の要請であれば問題はない。韓国軍が自国から弾薬を輸送しようとすれば、数日かかる。日本が要請を断り、結果的に避難する住民を守れなかったらそれこそ問題だ。北朝鮮の情勢も不安定になっており、有事の際は日本の協力が不可欠だとの意味合いも込められているのではないか。
政府は23日の国家安全保障会議(NSC)と持ち回り閣議で、治安情勢が悪化している南スーダンに国連平和維持 活動(PKO)で展開する国連部隊に銃弾1万発を無償で譲与する方針を決定した。23日中にも韓国軍に提供される見通し。PKO協力法に基づき日本が他国 軍に武器を提供するのは初めて。緊急性と人道性が極めて高いことを理由に、武器輸出を基本的に禁じている「三原則」の例外とする。そのため近く官房長官談 話を出す方向。
今回の措置には安倍晋三首相が掲げる「積極的平和主義」を国際社会に示す狙いがあるとみられる。
武器提供、曖昧な法的根拠=積極平和主義に基づき判断-南スーダンPKO
政府が国連南スーダン派遣団(UNMISS)に参加する韓国軍に、陸上自衛隊の銃弾を初めて提供することを決めた。安倍晋三首相が提唱する積極的平和主義に基づく政治判断と言える。ただ、国連平和維持活動(PKO)協力法上の根拠は明確とは言い難い上、武器輸出三原則の例外措置としたことで、内外に波紋を広げそうだ。
政府は17日に積極的平和主義を柱とする国家安全保障戦略を閣議決定したばかり。韓国軍が活動する南スーダン東部のジョングレイ州は反乱軍が掌握したとさ れ、厳しい環境に置かれたことは間違いない。首相としては「これまで以上に積極的に国際貢献する」との理念をどう実現していくかが早速試される機会となっ た。
相手国が、日本とぎくしゃくした関係が続く韓国の部隊であることも、政府の判断を後押ししたようだ。外務省幹部は23日、「韓国との関係改善に役立てばよい」と、局面打開のきっかけとなることに期待を示した。
ただ、今回の措置の法的位置付けは曖昧だ。PKO協力法は当初、武器を使用して防護できる対象を自己と同僚隊員に限定し、2001年に「自己の管理の下に 入った者」を加える改正を行った。だが、武器・弾薬の他国への提供は、今回適用された同法25条の「物資協力」に関する過去の政府答弁では「想定外」とし てきた。このため、官房長官談話で政府の立場を明確に説明する必要があると判断した。
政府は銃弾の提供について「緊急の必要性・人道性が極めて 高い」としているが、外務省関係者は「談話とセットの対応だからこそ可能。談話がなければ難しい」と説明の苦しさを認めた。与党内では「なし崩し的」(中 堅議員)との声も漏れており、国会などで引き続き丁寧な説明が求められそうだ。(時事通信 2013/12/23-18:25)
よろしかったら大変お手数とは存じますが、上下ともクリックしてくださると大変うれしいです!
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/12/20/2013122000861.html
この記事を見ると切迫している状況に思われ、
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/12/23/2013122304451.html
この記事を見ると、米軍にも供与を求めていることがわかります。韓国が日本に銃弾を求めてくるというほど、相当切迫している状況とも読めませんか?
以上より、現実は緊急性があるかもしれないのです。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/12/23/2013122303256.html
報道では、PKO協力法で言う「物資協力」には武器弾薬の提供は含まないという政府答弁との整合性を問題にするものが多いようですが、この点に疑問を抱きまして、ご教授いただければと思いコメントいたしました。
というのは、国会会議録を調べてみますと、この答弁は同法3条の4のロ「人道的な国際救援活動」について述べたもので、イの「国際連合平和維持活動」、つまりPKOには触れていないのではないかと思ったのです。
例えばですが、http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=19174&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=8&DOC_ID=739&DPAGE=1&DTOTAL=16&DPOS=2&SORT_DIR=1&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=27954 などです。
条文の解釈としても、3条の4は「その活動に必要な物品」と定めていて、たしかに武器は明示していませんが、上の答弁と合わせて考えると、たしかにUNICEFや国際赤十字委員会のような人道機関には武器は不要だけれども、紛争地帯に入るPKOには自衛のための武器は必要なので、法律の範囲内だと解することが可能だとも思えます(ただし、その武器が「他国の自衛」に用いられる事を考えると、集団的自衛権との関係は問題かも知れません)。
この問題について、PKOに関しても述べた答弁で私が見落としているものが他にあるのでしょうか?ご意見をお聞かせ願えれば幸いです。
国際平和協力本部事務局長の答弁というのはお調べになりましたか?
それ以上詳しいことは私も知りません。
政府は今回の弾薬の提供を、PKO法25条の「物資協力」に基づくと説明している。だが法律の制定当時から歴代内閣は、国連への自衛隊の武器・弾薬の譲渡を明確に否定してきた。
1991年のPKO法の国会審議では、「『物資協力』に武器や弾薬、装備は含まれるか」との問いに、政府側は「含まれていない」(国際平和協力の法体制整備準備室長)と答弁。「(国連)事務総長から要請があった場合は」との質問にも「そもそも事務総長からそういう要請があることは想定していないし、あってもお断りする」(同)などと強調していた。
98年の同法改正審議では「『武器弾薬などの物資協力はあり得ない』と条文に書かなくても大丈夫か」との問いに、政府側は「人道的な国際機関は、その活動のために人を殺傷したり、物を壊したりする武器・弾薬を必要とすることは万が一にもない」とし、「これらの機関から日本に対し、武器・弾薬の提供の要請があるとは考えていない」(国際平和協力本部事務局長)と説明した。
ところが、安倍内閣は 今回、過去の政府見解と対応を一変させた。「緊急の必要性・人道性が極めて高い」として、弾薬譲渡の正当化を図った。過去の国会答弁との整合性について は、物資協力の具体的な内容を規定していないPKO法の条文を盾にするように「法的には『武器弾薬を除く』という適用除外は書かれていない」(内閣府)と主張した。
http://www.47news.jp/CN/201312/CN2013122401001967.html
http://www.47news.jp/CN/201312/CN2013122401001973.html
どちらかが嘘を言ってることになりますね。
「物資協力」の権限を付与するのは25条ですが、その定義を3条がしていますので、そちらを念頭に置いていた次第です。
国際平和協力本部事務局長とは恐らく、昨日挙げた答弁をされた茂田宏氏と思われます。
関連しそうな答弁は2件あるようでして、1つは昨日の1998年5月28日答弁、もう1つは同7日答弁です(http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=19174&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=8&DOC_ID=1193&DPAGE=1&DTOTAL=16&DPOS=4&SORT_DIR=1&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=27954)。
後者ではたしかにp.27で、「人道的な国際救援活動の内容また目的からいってもあり得ないことだと思うのですが [...] 武器弾薬等 [...] の物資協力というのはあり得ない、条文に書かなくても大丈夫であるという見解なのですか」という質問に対し、
「こういう人道的な国際機関 […] これらの機関から日本に対してそういう武器弾薬の提供の要請があるとは考えておりません。 もし万が一、仮にあったといたしましても、それはお断りいたします」
との答弁があり、朝日2つ目の引用はこのことだろうと思います。が、これは文脈上も人道的国際救援活動に関する停戦合意要件の撤廃とのつながりでの議論で、PKOのことではないように思います。
そして、PKOに関係しそうな1つ目の引用、「(国連)事務総長から要請があった場合」の方ですが、こちらはいくら探しても見つけられず途方に暮れております(「物資協力・事務総長」で検索した結果がこのURLです:http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_list.cgi?SESSION=19174&SAVED_RID=5&MODE=1&DTOTAL=9&DMY=28070)。
年の瀬のお忙しい時期にご返信いただき、本当にありがとうございました。一連のコメントをご覧になった方で、情報をお持ちの方とも意見を交換できればうれしいです。
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20131224-00000035-jnn-pol
もし韓国側の説明が正しければ、帝国日本の勇み足だった「シベリア出兵」の再来になってしまいますね
今まで決してやらなかったことを、緊急性を理由に例外として供給したんですから。
官房長官は国連と韓国から要請があったとしてますが、緊急性には言及してません。 今後の布石の可能性は十分あると思いますよ。
仮に弾薬が十分なら、たかが1万発、他国に融通してもらう意味はないのではないでしょうか。にも拘らず要請してきたということは、実際に不足しているんでしょう。
その意味で韓国は「嘘」をついているかも知れない。しかし問題は、それが「ついてはいけない嘘」なのかどうかだと思います(国際政治においてあらゆる嘘は許されないというなら別ですが)。とすれば嘘をついた「理由」が決定的に重要です。
既に軍事専門家等が指摘されていますが、数の劣位を敵に晒すことは一般に良い戦略ではないようです。装備の不足を明かせば、反乱軍の格好の的になりかねないからです。ただでさえ人数において現地反乱軍に圧倒的に劣る韓国部隊にとっては、装備が不足しているなどとは口が裂けても言えないでしょう。
加えて、彼らは戦争をしに行っているのではありません。独立したばかりの不安定な国で、国連の要請を受け安保理の授権のもとで、生命・尊厳の危機にさらされる一般市民を保護しているのです。スレブレニツァのジェノサイドを彷彿とさせるこの状況で、彼らを守るために法的にはとれる行動(と私は考えますが)を敢えてとらないという選択をする方が多いということ、大変興味深いです。
政府答弁での武器供与禁止の趣旨は、熱くなっている紛争当事者(南スーダンの政府軍と反乱軍)に武器を供与などすれば、ますます紛争を拡大しかねないということであろう。国連軍が緩衝地帯において停戦監視業務を行い、その職務執行につき、国連軍の間で武器弾薬を融通することは、武器輸出三原則の緩和措置(野田内閣での藤村修官房長官による談話)として認められる。