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高橋冨士信 fj鷹@gmail.com

2018 10/02 4つの代表的な大陸縁辺島嶼における台風防壁役割の比較

2018年10月02日 | 太平洋島嶼国
4つの代表的な大陸縁辺島嶼における台風の進路や島嶼の防壁機能の比較を整理しておきます。

当方は2年間の南太平洋での滞在において現地紙などで示されるサイクロンの進路について、日本の台風の進路の知識が通用しなかった記憶が強烈だったわけですが、今回の24号台風の経験から一度整理しておきたいと思ったわけです。

2年以上前にも日本列島は東アジア地域の台風の防波堤?におきましてご紹介しましたが、米国NASAのGSFCにより過去150年間分の台風・ハリケーン・サイクロンの進路を、1枚の図面に重ねてまとめあげた力作の図が以下のURLにおいて公開されています。
https://eoimages.gsfc.nasa.gov/images/imagerecords/7000/7079/tropical_cyclone_map_lrg.gif


この図から4つの代表的な大陸縁辺島嶼を示したものが以下の図です。

この図中のA,B,C,Dはそれぞれ:
Aはアフリカ大陸東縁辺のマダガスカル島周辺
Bはアジア大陸東縁辺の日本列島から台湾・フィリピン諸島周辺
Cはオーストラリア大陸の東縁辺にあたるニュージランド周辺
Dは欧州大陸西縁辺の英国ブリテン島周辺
の赤枠で区切った地域を示しています。

Aのアフリカ大陸東縁辺のマダガスカル島周辺ではサイクロン発生はそれほど多くなく、インド洋でのサイクロンの進路的にみましても、マダガスカル島がアフリカ大陸の国々のサイクロンの防壁としての役割はありますが、日本列島ほど顕著ではないと推測されます。

Bのアジア大陸東縁辺の日本列島から台湾・フィリピン諸島周辺については、世界で最も台風の発生が顕著といわれるフィリピン東方洋上を控えていることもあり、台風進路的にも、日本列島から台湾・フィリピン諸島の列島弧こそは、まさに台風進路の防壁の役割を果たしています。台風数を示す色をみても、この列島弧の東側が濃い赤であるのに対して、防壁を越えた西側では薄い赤になっています。台風襲来に対する万里の海洋城壁の役割を果たしてきているといえるでしょう。

Cのオーストラリア大陸の東縁辺にあたるニュージランド島周辺は、上記の北半球列島弧と同じ太平洋にあるとは思えない様相です。そもそもニュージランド周辺ではサイクロンの進路データが極めて少ないことがわかります。ニュージランド島はサイクロン防壁の役割をそもそも果たす必要がないといえるでしょう。ニュージランドと日本は火山や地震などで似たところが多いといわれていますが、台風・サイクロン進路・防壁機能に関しては、似てはいないといえるでしょう。

Dの欧州大陸西縁辺の英国ブリテン島周辺を見てみましょう。大西洋でのハリケーンの進路は、大西洋の米州大陸側で顕著であり、欧州側では稀な事象であるといえるでしょう。結論的には、英国ブリテン諸島はハリケーンの防壁機能は果たしていないといえるでしょう。日本と英国は同様な大陸縁辺の島国であり似ているといわれますが、地震・火山災害だけでなく、台風・ハリケーンに関しても全く異っている別世界であることが分かります。

以上をまとめますと、日本列島などのアジア大陸東縁の列島弧は、環太平洋火山帯の上にあるための地震・火山の大災害頻発の上に、猛烈な台風災害の防壁の役割まで果たしている世界でも稀な地帯であるといえるでしょう。

この過酷な条件が、この列島弧地域に豊かで美しい自然環境と、忍耐強い国民性をもたらしてきたともいえるかもしれません。

わが国のQZSSみちびき衛星セグメントこそは、こうした列島の国民が歴史的に蓄積してきた叡智を盛り込みうる独創的機能を発案できるポテンシャル条件を有していること、および納税者たる国民もそれを大いに期待していることを、QZSS正式サービスインまで1ヶ月を切った現時点として、改めて確認したいと思います。

大胆に勇気を持って、11月1日のサービスインに臨もうではありませんか。
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