ルドルフ・グレイ/稲葉紀子=訳『エド・ウッド ―史上最低の映画監督』(早川書房、1995年)読了。
日本では『死霊の盆踊り』の脚本で有名なエド・ウッドの伝記。妻のキャシー・ウッドをはじめ、エド・ウッドと関わった人々にインタビューしたものを時期やテーマ毎に細切れにして並べている。
エド・ウッドは、その生涯を(超低予算)映画に捧げたが、本の副題の通り「史上最低の映画監督」に認定されるほどその作品はつまらないらしい。実際に見たことはないが、伝記からもつまらなさが伝わってくる。
それにしても、不思議なのが、それほどつまらない作品を連発しながらも少なからぬ作品を監督・制作し、役者や脚本もこなし膨大な量の小説も書いていること。いくら低予算で作成するのが早いからと言って、ただつまらないだけだったら、これだけの仕事に関わることはなかったんじゃないかと思う。
みんな「つまらない、つまらない」と言いつつ楽しんでいた節が少なからず見られるのだが、「そんなことはない」という声も強固で、一体どんななんだろうと興味が湧く。一度は見てみたいが、お金出すのは嫌だな。何か上手い方法はないものか。
伝記でも取り上げられている初期の3作品(『グレンとグレンダ』、『怪物の花嫁』、『プラン9・フロム・アウタースペース』)を収録したのが以下のDVDボックス。なお、『プラン9…』が史上最低の映画に選ばれたのと、他の作品のトータルなクオリティの低さが史上最低の映画監督という称号に結びついている。
また、この伝記を原作に映画が作成されていてアカデミー賞(助演男優賞)も受賞している。リンク先のレビューにもある通り、エド・ウッドにとって晩年のベラ・ルゴシ(『魔人ドラキュラ』で有名な往年の名優)との交流は欠かすことができない要素なんだけれど、伝記でもエド・ウッドがベラ・ルゴシを気遣い、本当に好きだったんだなということが伝わってくる。また、ベラ・ルゴシもエド・ウッドとの仕事を物心両面の支えにしていた様子が窺える。上のDVDボックス収録の3作品はいずれもベラ・ルゴシのための作品であるという共通点がある。
お金にだらしないし、大酒飲みで、作る作品は悉くつまらないにも関わらずエド・ウッドが大量の作品を曲がりなりにも残すことができたのは、彼が非常に魅力的な人間であったというのが最大の理由のような気がする。そして、映画に対する情熱と才能との致命的な乖離が彼の生涯をある面では素晴らしく、ある面では悲劇的にしていることは間違いない。
ちなみに、エド・ウッドは元海兵隊員で南太平洋の激戦地に赴き、タワラ進攻作戦にも参加し生還している。この作戦は4,000人が参加し400人だけが帰還したという。その作戦中にもピンクのブラをつけていたというエピソードがエド・ウッドの服装に対する倒錯の強さを物語っていて、後の『グレンとグレンダ』を制作することとも多少関係している。
補足しておくと、エド・ウッドは女性が好きで好きでたまらなくて、自分も女性になりたかったらしい。しかし、それは、現在のエド・ウッドを否定するものではなく、今のエド・ウッドのまま女性になるということが重用だったらしい。つまり、現実的には女装することが限界。生まれ変われるなら、女性になりたいという願望は持っていたらしい。なお、念押ししておくと、女性が好きなのでホモではない。自分も女性になりたいほど女性が好きなだけで、女たらしであることに変わりはないからだ。
日本では『死霊の盆踊り』の脚本で有名なエド・ウッドの伝記。妻のキャシー・ウッドをはじめ、エド・ウッドと関わった人々にインタビューしたものを時期やテーマ毎に細切れにして並べている。
エド・ウッドは、その生涯を(超低予算)映画に捧げたが、本の副題の通り「史上最低の映画監督」に認定されるほどその作品はつまらないらしい。実際に見たことはないが、伝記からもつまらなさが伝わってくる。
それにしても、不思議なのが、それほどつまらない作品を連発しながらも少なからぬ作品を監督・制作し、役者や脚本もこなし膨大な量の小説も書いていること。いくら低予算で作成するのが早いからと言って、ただつまらないだけだったら、これだけの仕事に関わることはなかったんじゃないかと思う。
みんな「つまらない、つまらない」と言いつつ楽しんでいた節が少なからず見られるのだが、「そんなことはない」という声も強固で、一体どんななんだろうと興味が湧く。一度は見てみたいが、お金出すのは嫌だな。何か上手い方法はないものか。
伝記でも取り上げられている初期の3作品(『グレンとグレンダ』、『怪物の花嫁』、『プラン9・フロム・アウタースペース』)を収録したのが以下のDVDボックス。なお、『プラン9…』が史上最低の映画に選ばれたのと、他の作品のトータルなクオリティの低さが史上最低の映画監督という称号に結びついている。
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また、この伝記を原作に映画が作成されていてアカデミー賞(助演男優賞)も受賞している。リンク先のレビューにもある通り、エド・ウッドにとって晩年のベラ・ルゴシ(『魔人ドラキュラ』で有名な往年の名優)との交流は欠かすことができない要素なんだけれど、伝記でもエド・ウッドがベラ・ルゴシを気遣い、本当に好きだったんだなということが伝わってくる。また、ベラ・ルゴシもエド・ウッドとの仕事を物心両面の支えにしていた様子が窺える。上のDVDボックス収録の3作品はいずれもベラ・ルゴシのための作品であるという共通点がある。
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お金にだらしないし、大酒飲みで、作る作品は悉くつまらないにも関わらずエド・ウッドが大量の作品を曲がりなりにも残すことができたのは、彼が非常に魅力的な人間であったというのが最大の理由のような気がする。そして、映画に対する情熱と才能との致命的な乖離が彼の生涯をある面では素晴らしく、ある面では悲劇的にしていることは間違いない。
ちなみに、エド・ウッドは元海兵隊員で南太平洋の激戦地に赴き、タワラ進攻作戦にも参加し生還している。この作戦は4,000人が参加し400人だけが帰還したという。その作戦中にもピンクのブラをつけていたというエピソードがエド・ウッドの服装に対する倒錯の強さを物語っていて、後の『グレンとグレンダ』を制作することとも多少関係している。
補足しておくと、エド・ウッドは女性が好きで好きでたまらなくて、自分も女性になりたかったらしい。しかし、それは、現在のエド・ウッドを否定するものではなく、今のエド・ウッドのまま女性になるということが重用だったらしい。つまり、現実的には女装することが限界。生まれ変われるなら、女性になりたいという願望は持っていたらしい。なお、念押ししておくと、女性が好きなのでホモではない。自分も女性になりたいほど女性が好きなだけで、女たらしであることに変わりはないからだ。