まちかど逍遥

私ぷにょがまちなかで遭遇したモノや考えたコトなどを綴ります。

旧木下家住宅 座敷、書院

2020-06-04 22:26:02 | 建物・まちなみ
2019年の旧木下家住宅の続き。

応接室は洋間だったが、その他はすべて和室である。主屋の中央には2つの和室があり、手前が10畳の「座敷」。


普通、いちばん格式の高い「座敷」は玄関から遠い奥の方で行き止まりになったような場所にあることが多いと思うのだが、
こんな手近な場所が座敷とは何だか唐突で意外な感じ。。。


この部屋は前庭と中庭に挟まれたボトルネックの部分にあたり、廊下ごしに両方のお庭を楽しめると考えれば
特等席なのかもしれないが。。。
まぁしかしこの家の間取りは、伝統的な日本家屋よりどちらか言うと現代の家っぽい。昭和の建築なので当然かも。。。


琵琶床のある床の間。この家全体が数寄屋風に造られており座敷と言っても堅苦しいものではないのだな。


床の間の天井を覗き込むと、杉の薄板を三角形に編んだ「亀甲網代」になっている。美しい~




中庭側の廊下に面した建具は夏用の「簾戸」である。何とも涼しげで、外は8月の猛暑であることを忘れさせる。


簾戸は足元だけ板になっているのだが、ここにも源氏香模様が。しかもこれまた涼しげな流水に浮かんでいるのだ!


菊や菖蒲や、いろんな花が流水と組み合わせられた模様を目にするが、源氏香が流水にまみれているのは初めて見るな(笑)


あぁ、季節に応じて建具を取替えるというのは、素晴らしい日本の住文化だ!
ちなみに冬はこんな普通の襖(苦笑)。冬だけ見ていたらあまり印象に残っていなかったかも。。夏の姿も見れてよかった!


前庭に面した側の廊下は座敷を過ぎたところで幅が半間広がり1間幅となる。天井も船底天井に変わっている。
その段差の部分に飾り棚が設けられているのも面白いな!


座敷の隣の「中室」は、廊下が広がった分部屋が狭くなっているのだが、茶室のような趣きのある部屋だ。
入口の欄間は、桐の板に源氏香モチーフの模様を透かし彫りしてある。三日月や星(丸)と共に
ランダムに散らしてあるのがカワイイ~~


この中室には水屋がついているので、実際に茶室として使われていたのかな。


だいたい水屋は面白い場所にあるが、ここのも一風変わっている。
この水屋の奥にドアがあり隣の部屋へ通じている。両側から使えるようにということだろうか。


物入れの上の障子窓。


奥の廊下に面した建具はここでも簾戸である。
簾戸が壁のように続く、中庭側の廊下。






そして廊下のつきあたりには、応接室に対抗するように前庭の方に突き出しているもう一方の部屋、「書院」である。
ここが本来座敷にあたるのだろうが、考えてみれば、宴会をするのでなければ客を迎える座敷は玄関に近いところに
ある方が便利だし、当主の書斎としての書院なら廊下の突き当たりの奥まった場所の方がいい。


大きな床の間の横にL字型の書院がついている。応接室の履き出し窓と対応しているようだ(笑)。


続く

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