まちかど逍遥

私ぷにょがまちなかで遭遇したモノや考えたコトなどを綴ります。

貨物の香りを求めて ~南小野田から小野田港

2009-11-01 19:16:48 | 鉄道風景
宇部新川から小野田線に乗る。
居能駅を過ぎて宇部線から分かれ西へ。


南小野田駅は細いホームが1本だけの駅。小さなゲートがホームと外を区切っているのが立派に駅らしい。
海側には太平洋セメント(元小野田セメント)の広大な工場が広がっている。
但し、小野田工場でのセメント製造はすでに終了している。


ホームの端には花が咲き、なんとものどかな南小野田駅。コンビニでおいなりを買ってここのベンチで食べた。




さて路線図を見るとこの付近からも貨物の支線が伸びていたようである。少し歩くと
小野田セメントの敷地沿いの道が緩やかにカーブしている。あれだな。
敷地の内側は柵沿いにどう見ても鉄道の築堤という空間がずっと奥まで続いている。
本線から分岐してすぐの部分は、工場関係者専用の歩道として整備されていた。


南小野田駅のホームから見えるのは太平洋セメントの事務所棟だろうか、見に行ってみよう。
駅のすぐ南側にある踏切を渡ると工場の正門である。

正面中央に丸い社章(?)を配した三角の壁を立ち上げたフォルムは、付け柱風の装飾と
相まって古典的なイメージを醸しているが、柱風の装飾の上端は放物アーチ型。
表現主義の香りのするモダニズム建築だ。

また怒られそうなのでドキドキしながら手早く写真を撮ったが、これ以外にも古そうな
建物がいくつか見られる。

さぁ、隣の小野田港駅まで歩こう。ここも駅間は600mと短い。
この辺りは言わずと知れた小野田セメントの工場城下町であった。その名を「セメント町」。
セメントなどという無機質な名前を町名にするとは今なら考えられないと思うが、
石灰石列車や石炭列車が一日何十本も走りセメント産業華やかなりし時代には、
町の活気を象徴する響きだったのかもしれない。そういう歴史を語るこの地名はまた
貴重であり、大事にしてほしいものである。


港だ!
ビュービューと吹きつける風が遠くの埠頭に積んである砂を砂嵐のように巻き上げる。
こちら側まで飛んできて目が痛い痛い。
港の手前には、原料用だろうか、鉄の角材がどっさり積み上げられている。
その角材のスペーサーに古いレールが使われていた。港へ伸びていた貨物線のレールだろう。

廃線になって撤去されて尚、小野田港で働くレールたち。

小野田港駅は南小野田駅と違い立派な建屋のある駅で、跨線橋もあり、ホーム幅は
南小野田駅の3倍くらいある。
しかし・・・広いだけに、無人でガラーンとした駅の寂しさも際立ってしまうのだ。。。


今は2時間に1本しか電車が通らない。


ホームの片隅にタイル貼りの手洗いが。黒のふっくらタイルも薄汚れている。


この駅に往時の活気はもう戻らないのだろうか。。。

次の電車まで待ってもいいが、雀田駅を見る時間を作るためにタクシーを使おう。

続く

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