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軽いけれどヤワかった、、Terra Nova Laser Ultra 1

2012-08-25 22:55:46 | テント


今回、涸沢雷鳥沢と続けて使用してきたTerra Nova Laser Ultra 1ですが、確かに軽いことによるアドバンテージは否めません。
軽くなると、もう1つ向こうの峰に行ってみようか、そんな気持ちになれる。
幕は岩仕様にペグループに細引きを追加してモディファイしたところで、何もかも込みで600g、これにザックと火器を合わせてたったの1kg。荷物が軽くなると、下山での足へのキックバックも減るので重登山靴も必要なくなる。そうやって、どんどん相乗的に軽量化がすすんでいく。


ただし、1つ1つのグラムを削るということは、一方で耐久性を犠牲にしているということも否めない。もちろん素材は日進月歩でライトウェイトだけどヘビーデューティというものもある。
しかし、今回このLaser Ultra 1はそうではなかった。


世界一軽量を目指す故に、ファブリックは極限までに薄く軽く、20 g/m2以下のCuben Fiberを使用。
それでいて3000mmの耐水性能を発揮し、確かにこの2回の山行で2日間、雨に打たれたけれど、フライから全く雨水が侵入してくることがなかった。これはすばらしい。安心して中にいることができた。


問題なのは、このフライと同じファブリックが、床に用いられているということ。
”重量ベースで、鉄の15倍、アラミド繊維の40%以上の強度”らしいが石コロによる下からの突き上げと上からの摩擦には全く持って弱かった。
写真にある穴は、立山の比較的整備されたキャンプグランドでたった2泊でできたもの。
とはいえ正直なところ、滞在している最中はまったく気付いていなかった。
そもそもこの手の軽量幕は森林限界以上の岩場でしか使用しないから、水はけについては、あまり気にする必要はなく、穴が多少あいてても問題ないといえば問題ないが、このままバリーと破けてしまわないかとても気になる。


その前の山行である涸沢ではそうはならなかった、、って当然といえば当然、


だって、あのときは真っ平らなコンパネの上にたててましたから。

自分は、用具は使用してゆくに従ってエージングされ、いずれは朽ちてゆくというのを自然の摂理として受け入れる方だと思いますが、このULTRA1にはまいった。
だってたった2回の山行ですから。


自分の経験でこれまで一番宿泊したテントは、シェラデザインズのルックアウトというモデル(写真上)。
REIから輸入し、大学在学中、社会人になってからも長く使っていた幕で、フットプリントなど使用せずかなり雑に使っていたものの、
フロアシートは結局、穴はあくことはなかった。その後、いろいろと転々と幕をかえたけれど、いまだかつて床がやぶれた幕は経験したことがない。


しかし今回のTerra Novaはこれまでの幕とは違った。それも穴は1カ所どころではなく視認できるだけで5カ所はあいている。
ちなみに使用していたマットレスはカスケードデザインのオーソドックスなリッジレストマット。
体重分散の度合いは一般的なレベルだと思います。要するにフロアに対して特別に過酷な状況ではなかったということ。
Cuben Fiberのファブリックは確かに、突き上げに対して粘りがないように思えます。


上の写真は後日、家に帰ってリペアシートを用いて徹底的に穴を塞いだところ。5カ所どころか22カ所も穴があいていた。
この調子だと、いずれグランドシートを貼付けたほうがマシな状態になるのかも。。(^^;


どんな荒れたグラウンドがそんな穴をあけたのだろうか?、現場検証してみました。
すると、どうですか、ほとんどフルフラットな山岳テン場ではありえないほど整備されたグラウンド。
どの石ころが犯人なんや!こいつか!?こいつか!?ってゆうかこのレベルのグラウンドコンディションで穴があくようでは付属の1gチタンペグと同じく実践では使い物にならない。

もしかして海岸の砂浜とか、砂漠とか、石ころのない芝生グラウンドとか、そういった向きなのだろうか?


(涸沢のような岩しかないテン場ではコンパネがないと大穴があく可能性も。。)

いずれにしてもコレを山で実際に使用するとなると、通常ならばまずフロアが破れることは避けられないと事態だと思います。
そして破れるのが嫌なら必ずフットプリントやタイベックなどのグランドシートが必要なのだろうが、こうしたプロダクトを購入する人が、そうした処置を歓迎するとは思えません。
ちなみに、Laser Ultra 1のグランドシートが使えるとしても、こちらは266g。そりゃないでしょう!

少なくともこの幕はオートキャンプ用というよりか、何がしか自分の力で(背負ってとか、漕いでとか)移動しながら持ってゆく系だろうから、余計な重量増は避けたいと考えるのが自然ではないだろうか。


とはいっても、世界一軽量のテントを~というTerra Nova社の継続的な取り組みは評価されるべきことだと思います。
”世界一でなければいけないんですか。2位ではダメなんですか” とは某大臣様が発した言葉ですが、
このテントにしても、世界一を目指したからこそ、携わるエンジニアのモチベーションが高まり、イノベーションが加速し、
また購入者もその妥協のない技術、関わった人々の意気込みに惚れて購入するのではないでしょうか。


(槍ヶ岳山荘のテン場(3080m)にて。軽いと3000mの峰にも楽々担いでいける。)

確かにこの品は実践での繰り返し使用に耐えるようなものではないが、世界一軽いテントであることに違いは無いわけで、また自分にとっても後戻りできない軽さなわけで(^^;
とりあえず、穴にはパッチを貼って修復し、今後、この幕を使用するときは、かなり慎重にグラウンドの状況を確認し、可能ならばコンパネの上に立てようと思います。そうすると、かなり場所が限定的になりますが。


これだけ薄くて軽いので防水性能はどうよ?という点ですが、これは文句無しに素晴らしい。
耐水圧10000mmというのはダテではなかった。これって、カタログ値的にはスノピのProシリーズと同じ。

実際、涸沢で大雨にあったのですが、多少、大きめのコンパネからはじけた水が2次的に足下のほうから侵入してきたけれど、フライを通じての浸水は皆無。
ほとんどスーパーのレジ袋の上に水をぶっかけるような感じというべきか、水の侵入をいっさい受け付けず、染み込んでくる様子もないので、湿っての重量増も気にならないのは、テント場を移動する長期山行ではうれしい性能。
これは逆を言えば、蒸れるということか。でも涼しい高所でしか利用したことがないせいか、蒸れて暑いという経験もない。

当初、面倒だった設営も慣れれば簡単

さて、ここからは当初これもネガティブだった設営の面倒さについて。
これがコツをつかむと意外に簡単にできるようになりました。


(穂高岳山荘のテン場(2996m)にて。)

以下、設営方法です。
1)フレームを通す
2)フライの両端上部のガイコードを引っ張ってペグや岩で固定する。(すると、ほぼ完成系な形で立ち上がる)
3)インナーのガイコード(もしくはペグループ)から固定してゆく
4)最後にフライについている残りのガイコードを固定
5)形を整える(岩もしくはペグの位置を変えたり、ガイコードの張りを調節したり)

時間にして15~20分くらいでしょうか。
それでもセルフスタンディングタイプのよりは時間もかかるし、強風のときはかなり困難が予想されます。

ULTRA 1からULTRA 2へ

これまで同社のLaser Photon Elite とULTRA 1を利用してきましたが、やはり、設営の面倒さと耐風性能を考えると、自立式のドームテントが恋しくなってきます。
そこで、同社のオハコともいえるVoygerシリーズのULTRA 2を購入してみました。使用レポはこちら

* 関連記事

TERRA NOVA LASER ULTRA 1 とレンタルエスパース @ 涸沢野営場 - スローでいこうよ

世界最軽量シェルター TERRA NOVA Laser Photon Elite、そしてULTRA 1へ - スローでいこうよ

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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (buluto)
2012-08-31 08:58:48
こんにちは。
私はこれまで車での移動のみだったので重量より耐久性しか頭にありませんでした。
けれど自転車でのキャンプを考えるようになって、軽さ、収納についても意識するようになってきました。やはり軽さを突き詰めると耐久性を犠牲にする商品は多いのでしょうかね。バランス難しいです。
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Unknown (MONOLITH)
2012-09-01 22:49:59
bulutoさん、こんにちは~
今、ピンツで五光牧場キャンプ場に来てます(^^)
ところで、確かに軽いことを追求するというのは、一方で耐久性を犠牲にしてるのでしょうね。ですのでbulutoさんのおっしゃるとおり、使用するシチュエーションに応じてのバランスなんでしょうね。自分は大抵は小屋近くのテン場利用が主なので、いざとなれば小屋に逃げ込むこともできる。そういう保険のきく場所での利用に特化することになりそうです。
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Unknown (gmbh)
2012-09-12 10:55:10
Laser Ultra 1 に限らず、山で使うテントは生地の薄さから、フットプリントの使用はパンツを履く感覚ですかね。
MSR、BD等でも、フットプリントを忘れたりでそのまま設営すると、砂地でない限り簡単に穴が空きますのでご注意を。
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Unknown (competition)
2012-09-12 16:29:29
自分は Competitionで、同僚は UL1を愛用しています。
マットは gossamer gearや国内だと、山と道、Free lightなどで取り扱っているクローズドセルを使用します。
但し、これをテント内ではなく、グランドの下に敷きます。
この方法で、別途フットプリントを持つなどの重量加算を行わずにグランドシートの保護も実現しています。
厚さ1cm程度のクローズドセルなので激しい岩場では、床の形状を完全には吸収できずちょっとデコボコした床で寝る状況になりますが、それこそ軽量のトレードOFFと考えています。
#これでは、どうにも寝ない人には使えないでしょう。
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Unknown (MONOLITH)
2012-09-12 21:11:44
gmbhさん、コメントありがとうございます。
自分は、MSR はフロアレスしか持ってないのですが、同様に穴があくとは知りませんでした。 私が今持ってるTNF や Marmot, Moss, Sierra Designs, ダンロップ、エスパースの幕では見られない症状です。また、同じ Terra NovaでもLaser Competitionでは同様の状況でも穴があくことはありませんでした。やっぱプロダクトによるのでしょうね。大変参考になりました。ありがとうございます!
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Unknown (MONOLITH)
2012-09-12 21:20:13
competitionさん、コメントありがとうございます。
クローズドセルのものは私もBackpackingLightから取り寄せたものを使用したことがありますが、1度の穂高山行で穴がマット自体に大きく穴があいてしまったのと、あまりにも寝心地が悪く全く疲れがとれなかったことからその後、ずっと使用していませんでした。そのときは確かlaser Competitionの中で使用したのですが、なぜか幕自体は穴が開かず、マットレスに大きな穴があいたという具合です。もしかしたらテント内で何か物がマットとの間に挟まったからかもしれません。
でも、消耗品として幕の外にグランドシートして敷くのは発想の転換ですね。大変参考になるご意見ありがとうございました。ありがとうございます!
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Unknown (competition)
2012-09-13 08:43:49
早々のご返信ありがとうございます。
こちらこそ、このテントの購入検討時には、貴殿の奥穂での記事を参考にさせて頂いた次第です。
今後も正確かつ詳細なレポートに期待しております。

クローズドセルは寝る人を選びます。
#自分は腹ばいに寝る人なので、寝れるのかも(?)
UL1を使っている同僚も、あれでは寝れないと、NeoAirに買いかえました。
その代わりグランドの下には Tyvekを 2つ折りにした物を敷いています。
以外と重要なのは、手を抜かずにTyvekを UL1のグランドの大きさに切り抜く事です。
彼は、グランドより一回り小さく、かつ重量がかからない頭上、足先あたりをカットした形状に加工する事で 2重の Tyvekにも関わらず 100gを切るプリントフットに仕上げています。

残念ながら UltraLight物は気を使いますよね。
今までの山道具の様にザックを放り投げるとか厳禁ですし…テントもしかり。
自分の Competitionも 2箇所ほど小穴を開け、付属の補修シートを SilNETで貼り付けました。
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Unknown (MONOLITH)
2012-09-13 20:59:43
competitionさん、参考になるご意見ありがとうございます。Tyvekで100g切るのは興味深いですね。ぜひとも参考にさせていただきたいと思います。
来週、仕事でLondonとNew Castleに行く機会があるので、もしも途中のDerbyshireにあるTerra Novaのファクトリーに寄れたらレポさせていただきます
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