ぽんぽこタヌキの独り言 Solilokui dari Rakun Pompoko

日本を見て、アジアを見て、世界を見て、徒然なるままに書き記す、取るに足らない心の呟き

インドネシアの港と浜辺、そして岬

2016年05月19日 04時28分09秒 | Weblog

インドネシアは、日本と同様、海に囲まれた島国であり、数多くの島々からなる島嶼国家と呼ばれている。従って、国内輸送だけでなく、海外への輸出のためにも「港」が大きな役割を果たしている。インドネシア語では、「港」のことを「プラブハン」='Pelabuhan' という。語義的には「碇を下すところ」という意味である。現地の新聞を開くと、最大の貿易港、「ジャカルタ」='Jakarta' の 'Tanjung Priok' =「タンジュン・プリオク」や第二の貿易港、「スラバヤ」='Surabaya' の ’Tanjung Perak'=「タンジュン・ペラッ(ク)」の文字が躍っている。インドネシアの港の名称を見てみると、概ね7~8割は、都市名に「港」を付けて呼んでいるが、残りの2~3割の港には、'Tanjung'=「タンジュン」+「〇 〇」という呼び方となっている。この 'Tanjung' =「タンジュン」という単語は「岬」という意味である。この名称は、「港」のほか「浜辺」の名称にもついている場合がある。これについては、すべての「港」や「浜辺」に出向いて確認したわけではないので、断定的なことは言えないけれど、恐らく、その名のとおり「岬」の一角に存在しているのであろう。特に「港」の場合は、「岬」の一角が、そもそも何の設備もない「自然港」から発展した「港」だったのかもしれない。

最初のジャカルタの港 'Tanjung Priok' の意味は、「陶器の岬」である。そして、2つ目のスラバヤの港 'Tanjung Perak' の意味は、「銀の港」である。これが、日本であれば、「大阪港」とか「神戸港」と都市名で呼んでいる。福岡には「博多港」があるが、この名称の由来は、諸説あるようだ。湾の形から「羽潟」であるとか、海外へ出る船が停泊する潟ということで「泊潟」と呼ばれるようになったとか、そして、それが「土地博(ひろ)くして、人や物産が多い」という意味の文字が当てられて「博多」になったのでは、という説が有力である。また、「香港」は「香る港」といういうことだけれど、この謂れは、「香木」が集積されていた「港」ということから名付けられたということである。中国では、「シンガポール」='Singapore' のことを「星港」と表示するが、その謂れについては未確認である。そして、韓国の例では「釜山港」、即ち「釜山」の「港」である。話をインドネシアの港の名称に戻すけれど、その他の'Tanjung'=「タンジュン」を見てみると、中部ジャワの「スマラン」= 'Semarang' の港は、'Tanjung Mas'=「タンジュン・マス」と呼ばれ、その意味は、「金の岬」である。また、同様に、中部ジャワに「チラチャップ」='Cilacap' という港があって、その港は、'Tanjung Intan'=「タンジュン・インタン」と呼ばれていて、その意味は「ダイヤモンドの岬」である。東部ジャワ州の 'Probolinggo'=「プロボリンゴ」の港は、'Tanjung Tembaga' =「タンジュン・トゥンバガ」と呼ばれ、その意味は、「銅の岬」である。また、同様に東部ジャワで、’Banyuwangi' =「バニュワンギ」と言う「港」があるが、その「港」は 'Tanjung Wangi'=「タンジュン・ワンギ」と呼ばれていて、その意味は「香りのいい港」である。由来は分らないが、インドネシアの「香港」と言ってもいいだろうか。南スマトラの「パレンバン」= 'Palembang'の港は、'Tanjung Api-api'=「タンジュン・アピ-アピ」と呼ばれ、その意味は「炎の岬」である。昔、大火事があったか、あるいは、近くに海底油田でもあるのだろうか。北スマトラには、'Tanjung Balai'=「タンジュン・バライ」と言う「港」があり、何でそう名付けられたのかは知らないけれど、「バライ」='Balai' には「会館」とか「ホール」という意味がある。スマトラ北部に位置する「リアウ諸島」='Kepulauan Riau'「クプラウアン・リアウ」 の 'Pekanbaru'=「ペカンバル」の港は、'Tanjung Buton'=「タンジュン・ブトン」と呼ばれ、その意味は「コンクリートの岬」である。また、同じ「リアウ諸島」にある「港」で    ’Belitung’=「ブリトゥン」の港は、'Tanjung Batu'=「タンジュン・バトゥ」と呼ばれ、これは「石の岬」という意味である。「スラウェシ島」='Pulau Sulawesi'、以前は、「セレベス」と呼ばれたこの島に「マカッサル」='Makassar'という「港」があって、何年か前まで「ウジュン・パンダン」='Ujung Pandang' とも呼ばれていた地域だけれど、その「港」の呼び名は 'Tanjung Bunga' =「タンジュン・ブンガ」であり、その意味は「花の岬」である。

観光地となっている「浜辺」=’Pantai' =「パンタイ」にも、時々'Tanjung'=「タンジュン」と名付けられている場所が散見される。西部ジャワで、昔、「バンテン王国」='Karajaan Banten'=「クラジャアン・バンテン」が栄えたこともある 'Pantai Banten'= 「バンテンの浜辺」は、'Tanjung Lesung' =「タンジュン・レスン」と呼ばれている。この ’Lesung’=「レスン」という単語を英語に置き換えると、'Dimple'=「ディンプル」であり、この単語には、「えくぼ」とか「さざ波」とかいう意味があり、恐らく「さざ波の岬」ではないかと推察される。あるいは、近くに何か「窪地」でもあったのだろうか。「リアウ諸島」の「浜辺」='Pantai' は、 ’Tanjung Bacau' =「タンジュン・バチャウ」と名付けられており、この「バチャウ」='Bacau' には、「混乱」という意味があり、恐らく、この辺りの歴史を調べてみたら、相当「混乱」していた事実があるかもしれない。南スマトラには、'Lampung'=「ランプン」という都市があり、そこの「浜辺」='Pantai' も、観光地として有名であり、「パラダイス」='Paradise' とも言われており、'Pantai Tanjung Setia'=「パンタイ・タンジュン・スティア」と名付けられている。これは「誠実岬の浜辺」である。

インドネシアでは、以上のように、そこそこの「港」や「浜辺」には、その土地の形状から名付けられたということもあるだろうけれど「~岬」という「通称」があって、面白いのだけれど、「金の岬」や「銀の岬」や「銅の岬」、そして「花の岬」なんていうのは良いけれど、「混乱の岬」とか「炎の岬」や「誠実の浜辺」など、小説の「表題」になりそうな「通称」があったり、「コンクリートの岬」や「会館の岬」など、わけのわからない「通称」が混在しているのがどこかインドネシアらしい気もする。

しかしながら、インドネシア最大の港、ジャカルタ港が「陶器の港」であることについては、なぜ、「貴金属」でなく「陶器」なのか、近くに登記を焼いていた場所があった野か、或は、割れた陶器を破壊していた場所があったのか、あるいは、陶器を海外から輸入していた場所だったからか、或は、輸出していたのか、何か、しっかりした由来がありそうなので、いつか時間があったら調べてみたいと思っている。

 

 


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