platea/プラテア

『ゲキxシネ五右衛門ロック』『The Musical AIDA』など、ミュージカルの話題作に出演の青山航士さんについて。

グルーシンスカヤは何処へ

2005-11-29 | グランドホテル ザ ミュージカル
前回の更新の直後、閲覧数が40000pvを超えました。このブログのカウンターは時々前日より減っていたりして(!)もうひとつ正確でないようなのですが、 読んでくださる方がこんなにおられる、と思うととても嬉しいです。本当に有難うございます。

 映画ではガルボ演じるエリザベッタ・グルシンスカヤは、ロシア人バレリーナということなんですが、ロマノフ王朝最後の皇帝ニコライ二世の寵愛を受けていたバレリーナ、クシェシンスカヤがモデルなのでしょうか。彼女について詳しく書かれたものを読んだことはない(というか見つけられたこともない)けれど、これだけ名前が似ているのだから、多少なりとも人物像に影響を与えていると思うのですが・・・

 ヨーロッパではいわゆる「踊り子」的な見方をされていた当時のバレリーナ達ですが、ロシアではその芸術的完成度の高さから、彼女達の社会的地位は高かったようです。以前名前をあげたタマラ・カルサーヴィナは貴族の血筋で、家族も文化人という文字通りのセレブリティでした。1917年のロシア革命によって、世界に誇るその芸術も存続の危機にさらされたのですが、心ある革命政府高官がバレエは保存するべきであると主張し、演目を限定することで命をつないだのだそうです。それでも、その後ソヴィエトがあれほど力を入れる文化事業となるとは、この時点では到底考えられず、多くのダンサーが海外へ流出しています。それ以前から海外で華々しい成功を収めていたニジンスキー達のバレエ・リュスも、「帰るべき故郷」などなかったのです。

 グルシンスカヤが遠い目でロシアを、そして陽光溢れるイタリアで男爵と過ごす夢を語るシーンはガルボの美しさが圧倒的ですが、そのイタリアも22年のムッソリーニのローマ進軍により、ファシズムの支配下にありました。劇場を格好のプロパガンダの場と考えるファシストらが、この哀しみを背負った美しいバレリーナを放っておくわけはなかったでしょう。彼女はイタリアにも安らぎを見つけられず、その後、どこへ行ったのでしょうか。クシェシンスカヤの最期は、どんなものだったのでしょう。


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