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『ゲキxシネ五右衛門ロック』『The Musical AIDA』など、ミュージカルの話題作に出演の青山航士さんについて。

シアター・アプルから

2006-07-16 | テネシーワルツ ~江利チエミ物語~
 『ボーイ フロム オズ』再演→"She Loves to Hear the Music"のフォッシー調振付→映画『シカゴ』と自分ながら話題はどこに行くのやら・・・と思っていたのですが、この『シカゴ』、83年に日本版がシアター・アプルで上演されていました。
 シアター・アプルは『テネシー・ワルツ ~江利チエミ物語』初演の会場ですが、思わぬところで話題ってつながるものですね。
 扇田昭彦さんの著書「ビバ! ミュージカル」によると、83年当時、新宿西口の四季キャッツ・シアターでの『キャッツ』が大盛況だった一方で、東口の『シカゴ』は残念ながら空席が眼についた、ということです。草笛光子さん(ロクシー・ハート役)、上月晃さん(ヴェルマ・ケリー)、植木等さん(弁護士ビリー)ら成熟度の高い演技はとても素晴らしかったようで、「年輪と奥行きを感じさせる俳優がもっと活躍するようにならなければ、日本のミュージカルの成長と成熟はむずかしい。ミュージカルは決して若者文化の一環にとどまるものではない」と記されています。
 ・・・でもこれは結局は観客の問題なんですよね~。ずっと以前にも「日本にはいい職人はたくさんいても、いいクライアントが少ない」というイギリス人女性の発言を引いた事がありますが、この言葉はミュージカルにもある程度当てはまってしまうようです。実力のある俳優はいても、その価値を認め、観にいく観客が多くはないために、日本版『シカゴ』のようなことが起きてしまったような気がします。そんな中で明治座に会場を移してスタートする今年の『テネシー・ワルツ』再演は、数少ない大人のためのミュージカルの成功例ということになるでしょうか。
 シアター・アプルは、松竹が製作した映画『上海バンスキング』を、「私が思い描くものとまるで別のもの」と思われた舞台演出家の串田和美さんが、ご自身の脚本・演出による映画『上海バンスキング』を公開された劇場でもあります。新宿の雑踏のまんなかのあの劇場には、効率主義で疾走する時代にブレーキをかける人たちの想いが残されているのかもしれません。今年の再演がいろいろな街にもそうした想いを伝えていくような気がします。 


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