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『ゲキxシネ五右衛門ロック』『The Musical AIDA』など、ミュージカルの話題作に出演の青山航士さんについて。

サリー・シンプソン

2007-01-28 | TOMMY
 強烈なキャラクターぞろいの映画版『TOMMY』のなかで、異彩を放つ少女、サリー・シンプソン。ロック・スターとなったトミーの公演中、興奮の中で大怪我をしてしまうこの役を、ブロードウェイ版では大人の女性が演じます。日本版ではソムン・タクさんなのでしょうか?(29日付記:hildaさんに寄せていただいた情報ではソムン・タクさんはThe Acid Queenのようです。有難うございましたこの記事のコメント欄をご覧下さい)

 彼女のエピソードを語る"Sally Simpson"は、68年8月のザ・フーNY公演の前座だったザ・ドアーズのファンにインスピレーションを受けて書かれたそうです。メンバーのジム・モリソンが、ステージでファンに対してかなり危険なことをしていたらしいのですが、60年代後半から70年代ロック・ファンの熱狂ぶりを思うと、さもありなん、という気がしますよね~。
 ミュージカル化にあたり、ピート・タウンゼントが大きく変えたのがこのキャラクターです。映画版ではグルーピーと呼ばれる類の「おっかけ」ではなく、ひたすら若く、自分の心のよりどころ、居場所を探している人物、として描いたそうです。確かに映画版サリーは無茶はするけれど、すれた感じはなく、どこか純粋で憎めません。ケン・ラッセル監督のお嬢さんなのだそうですが、親ばかではないキャスティングだと思います
 一方、BW版サリーは現代っ娘で、あらゆるものを欲しがり、ステージの裏も表も経験したい。彼女はトミーから答えを聞きたいと思っているし、トミー自身を手に入れたいと思っている・・・そんなキャラクターとして再生したということです。
 ピート・タウンゼントは、ミュージカル化の際、何度も歌詞を書き直したのもこの曲と語っています。キーとしたのはbackstageという言葉で、「真にトミーを愛しているわけではなくとも、彼女の目的は有名人であるトミーと共に時間を過ごすこと、名声と成功に恋をしている女性」というキャラクターに行き着いたようです。
 公演中の事故によってファンが重症を負った、というわけで関係者・マスコミが、彼女に「救い」となる返答をするべきだとトミーに迫ります。「どうしたら貴方のようになれるのか」と聞く彼女やマスコミに、自分を真似することに意味はない、とトミーは返答し・・・というのがBW版の展開です。う~ん、登場人物1人でも変わると随分印象が違いますよね~。いのうえひでのりさんの演出で、この作品がどこまで変わり果てるのか、楽しみになります


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4 コメント

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初めまして (TakAya)
2007-01-28 20:01:37
初めまして、「Tommy」に関しての解説、いつも楽しみに、ありがたく参考にさせていただいております。
サリー・シンプソンに関しては、私は原曲「Tommy」のファンで、映画版のDVDももっていますし、昨年の来日公演版も見ました。で、来日版では、いまいちサリーの性格がつかめず、映画版のイメージで見ていましたので「可哀想な役だな」と思っていましたが、(その後の展開もちょっと弱い)解説を聞き、納得いたしました。
私は演劇に関しては殆ど無知ですが、今回の日本版「Tommy」楽しみにしています。
それでは失礼します。
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コメント有難うございます (へーま)
2007-01-29 15:59:43
こちらこそ初めまして、原曲「Tommy」のファンの方に読んでいただいて、(内心オタオタしながらも)とても嬉しいです。
解説、とはいっても私は来日版を見ておらず、ピート・タウンゼントのインタビューやBW版のオフィシャル本を見てあれこれと想像しているだけですので、不備な点をご指摘いただけると幸いです。どうぞ宜しくお願いします。

映画版のサリーは、『不思議の国のアリス』ではないけれど、ナンセンス小説のようなとっぴな展開を見せますので、舞台化に際しては色々な選択肢があった、ということかもしれませんね。この曲はライブでは殆ど演奏されない、というのも分るような気がします。

今改めて”Tommy”という作品を聞くと、ピート・タウンゼントの時代を看破する力に圧倒されてしまいます。また、あとから知ったのですが、少し前の記事"The Acid Queen"で触れた、彼が批判したアメリカの元副大統領は、過少申告で税金をごまかしていた事が発覚し、73年に免職されています。彼らが「破壊的」にならざるを得なかった、さまざまの激情やエネルギーが渦巻くような舞台になるといいですね。
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サリー・シンプソン役は (hilda)
2007-01-29 21:39:17
わたしも気になっています ^^

レプリークBis最新号の中川晃教さんインタビューによると、ソ・ムンタクさんはアシッド・クイーンらしいので、サリーは斉藤レイさんか山崎ちかさんじゃないかと思っています。
他のキャストもはっきりしないので、どんな組み合わせになるのか、幕が開くまであれこれ予想しながら楽しみに待ってることにします。
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情報有難うございます♪ (へーま)
2007-01-29 23:48:36
そうなんですか、お写真を拝見した感じでは、山崎ちかさん=アシッド・クイーン?と思っていたのでそっちも外れてしまいました早速の情報、有難うございます。
この作品の登場人物はみんな強烈な個性を持っているので、誰がどの役をやるのか楽しみですよね。創り手の苦労を考えずにいうと、それぞれの役をダブルキャストなんかで見てみたい作品です。・・・あ、でもトミーは中川さんしかいないか。
いのうえさんのインタビューを読んでいると、映画版を意識した舞台づくりになりそうですね。グロテスクなくらいの混沌と、カタルシスを与える歌声が絡み合う感じでしょうか。う~ん、このカンの悪さではそれも外れるかな~。
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