言行完全一致の原典派指揮者 = 内藤彰
「作曲家の意図」の忠実な再現を目指すを公言している指揮者 = 内藤彰
が「最も力が入っている作曲家の1人」がベートーヴェンであり、ベートーヴェン交響曲中「原典版演奏」が最も映えるのが「第9」である。私高本は「第9狂」であり、多い年は 20回/年 くらい「第9」を聴いた。今もどんなに少なくとも「第9」演奏会を聴かずに年を越すことは決して無い! 大いに期待して池袋の東京芸術劇場に足を運んだ。
内藤彰 の主張は明快。
- テンポを「ベートーヴェンオリジナル」に戻そう!
- 弦楽器の奏法を「ベートーヴェン当時のノンビブラート奏法」に戻そう!
である。使用楽譜は
ブライトコプフ新版(2005)
である。何と
ベートーヴェン「第9」ブライトコプフ新版世界初演 = 内藤彰 2005.12.29
だったとのこと。「第9狂 = 私高本」が聴き落としたのは痛恨の極みだった。内藤彰 + ニューシティ管 の再演なので、全てのスケジュールに優先して聴きに行った。
まず「第9」の演奏について。
- テンポ設定については「ベートーヴェンオリジナル」が再現出来た
- 弦楽器ノンビブラート奏法は全4楽章を通して徹底され、透明な音色が聴けた
第1~第3楽章も「速いテンポ」ではあるが、特に耳新しいのは第4楽章であり、「曲が生まれ変わったか?!」に聞こえるほどである。古楽器系(オリジナル楽器系とも言う)の指揮者でもここまで徹底する人は少なく、私高本が聴いた限りでは、第4楽章第2主題のテンポが徹頭徹尾ここまで速く「通して」演奏されたことは初めてであった。「ベートーヴェンの意図」がしみじみと伝わって来た瞬間でもあった。
上記2点以外にも、大きな美点があった。
弦楽器と合唱の音程が極めて正確!
なことである。「ノンビブラート奏法」は「音程の粗」が目立ちやすいのが欠点であり、古楽器オケが苦労している点である。もちろん、モダン楽器オケも苦労している。ニューシティ管の弦楽器の音程の安定さは、賞賛に値する!
(続く)