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「自衛権」定義、政府と溝 維新の安保対案、中東派遣認めず (時事通信)

2015年07月04日 | 憲法改正と日本の安全保障
「自衛権」定義、政府と溝 維新の安保対案、中東派遣認めず
時事通信 2015/07/03-18:15)

維新の党がまとめた安全保障関連法案の対案は、個別的自衛権の定義を広げ、事実上の集団的自衛権行使を政府案より限定的に認める内容だ。政府案の「存立危機事態」に基づく集団的自衛権行使を否定していることから、中東のホルムズ海峡機雷掃海は認めない。自民党からは「隔たりは大きい」(幹部)との声が上がっている。
 
「戦火」か「戦禍」か
 維新案は、存立危機事態に代わり、地理的制約をかけた「武力攻撃危機事態」を規定。「条約に基づき日本周辺の地域において日本防衛のために活動している外国軍隊に対する武力攻撃」を発端として、「日本に対する武力攻撃が発生する明白な危険」が認定されれば、自衛隊は武力行使できる。該当する「条約」は現状では日米安保条約しかない。日本が直接攻撃される前でも要件を満たせば米艦防護などが可能となる。
 ただ、岸田文雄外相は3日の衆院特別委員会で「個別的自衛権の概念をわが国が独自に解釈して対処すると国際法違反になりかねない」と答弁、否定的な見解を示した。
 双方の立場の違いが明確なのが、中東での機雷掃海だ。政府はホルムズ海峡に機雷が敷設されて石油輸入が滞り、日本の存立が脅かされれば、集団的自衛権行使による掃海活動は可能との立場。これに対し、維新案では経済的理由だけでは武力行使はできない。
 自民党幹部は「維新の考え方は、日本に『戦火』が及ぶことを想定している。われわれは、より広く備えるために日本に『戦禍』が及ぶことを想定している」と指摘した。
 

地理的制約を維持
 朝鮮半島有事を念頭に置いた対応で、維新案は事実上の地理的制約と解釈される「周辺事態」の概念を維持し、「自衛隊を地球の裏側まで派遣させない」と歯止めを明確にした。これに対し、政府案は周辺事態を「重要影響事態」と改称し、米軍支援活動の範囲を拡大する。
 
他国軍への後方支援に関し、維新案は自衛隊の活動範囲を戦闘が見込まれない「非戦闘地域」に限定する従来の政府の考え方を堅持。政府案は「現に戦闘が行われている現場」以外へと拡大する。政府案が認める弾薬提供や、戦闘作戦行動のため発進準備中の航空機への給油は、憲法違反の恐れがある「他国の武力行使との一体化」に当たるとの立場から、維新案は支援対象から外した。
 武力攻撃に至らないグレーゾーン事態への対処では、維新案は領域警備法を制定して自衛隊と海上保安庁の連携を強化する。政府側は運用改善で対処し、法整備は行わない。