中国の老人ホーム７９

ここで気がついたことがあります。

このホーム、事務仕事をやっている人は上海人で
肉体的仕事をやっている人は出稼ぎの田舎人です。

そういう身分関係があるようです。


さてと、契約も終わり、ホテルに帰ります。

明日は飛行機です。

外は真っ暗です。

お母さんが、涙を浮かべ、何かを言いながら
ワタシの手を握ります。

「なんて言っているの？」

「よ～ちゃんは好人だって」

「なんでよ？　お金は小江が出すことになって
　いるんだろう？」

「ちゃんと正直に、よ～ちゃんが出すと説明してあります」

お嫁さん、こういうところは、潔癖です。

ワタシだったら、自分が出すような顔をするん
ですけどね。顔だけですが。


お母さんと再見（さよなら）してロビーにおります。

外は暗いからタクシーでも呼ぶか、と
お嫁さんに相談したら、必要ありません、
ホームの車で送ります、そう交渉しました、
とのことです。

今回は、お嫁さんの手際の良さが目立ちます。

院長さんも一緒に帰るということで、車に
乗って駅まで行きます。

駅は始発ですから、がらがらで楽に座れました。







ＡＬＡ！中国

中国の老人ホーム７８

そうこうしているときでした。

入居者の老夫婦でしょう。

背の高い男女のお年寄りが入ってきました。

職員さんが苦い顔をして説明します。

「今来た人。共産党の幹部ですひそひそ」

「じゃあ偉いんですね」

「男性は、私ども職員と口をきいてくれません」

ハハア、と思いました。

おまえら、下々と話しなど出来るか、ということでしょう。

口をへの字に結び、反り返って歩く様は
頑固一徹というか、威厳を示しているかのようです。

中国の君子ってあんな調子なのでしょうか。

実るほど頭の垂れる稲穂かな、という
ことわざが頭に浮かびます。

中国でこんなことしたら、舐めらたり
馬鹿にされたりするのかも知れません。



○天津の爆発事故。

ネットで中国のニュースをみていたお嫁さんが、
驚いたような顔をしてワタシに
質問します。

「日本の消防は専門の公務員なんですって？」

「そうだよ。中国は違うのか」

「中国は軍隊の人がやっています」

「へえ～」

「だから、数年経てば転勤して軍隊に戻ります」

それでか、と合点しました。

消火活動で水を掛けたら、かえって燃え広がったとか
爆発した、とか報じられたのを思い出しました。

経験が少ないから、動転して、確かめもせずに
水を掛けたのかな、と勝手に推測したりしました。

やたら消防の犠牲が多いのも頷けます。






ＡＬＡ！中国

中国の老人ホーム７７

ホームの職員さんはお金を数えています。

機械の調子が悪いらしく、職員さん総出で
数えています。

中国のお札を数える機械は、意図的に少なく
なるようにしてある、そういう悪い機械がある、と
聞いていましたので、少し心配です。

金勘定も無事に終わり、職員さんと雑談します。

以前説明したように、この職員さんは日本語が話せます。

「お金持ち用の老人ホームは中国にもあるんでしょ」

「ありますよ。ここも高級ですが、もっと高級なホームも
　あります」

「何処が違うのですか？」

「ハード、つまり建物などが豪華なだけでソフトは同じです」

「死んだらどういう手続きをするんですか？」

「契約者に連絡が行きます。遺族が来るまで遺体は保管しておきます」

「ホームで葬式はしないのですか？」

「葬式の会社と契約していますが、高いから自分で探した
　方がいいですよ」

日本からの振り込み手続きを確かめます。

「社長とも話しをしたのですが、外国からの振り込みは
初めてです。今後増えるかもしれない、と言っていました」

後日談になりますが、しばらくして、娘がオーストラリアにいる
オというバアサンが入居しました。

同じく後日談ですが、日本の銀行から振り込む
ときに、この契約書が必要になりました。

テロ組織に資金が渡されることを警戒するため
だそうです。






ＡＬＡ！中国

中国の老人ホーム７６

中国の両替機は信用できない、というので
両替の度にお嫁さんがお札を数えて確認します。

ワタシが日本の札を突っ込み、操作し、出て来た元を
お嫁さんが確認したと思ったら、それを
ワタシのコートのポケットに突っ込みました。

それを何度も繰り返し、ワタシのポケットは
ぱんぱんになりました。

お金を部屋まで運び、２万元になるまで
何度も数え直しました。

小さいお金はお嫁さんが没収します。

「中国、国土は大きいのにお金はなんでこんなに小さいんだ。
　物価が安いから必要ないのか。かさばってしょうがない」

「汚職を防ぐためだヨ」

まさか、と思いますが、お嫁さんはマジメです。

お金が沢山になってかさばると、隠しにくくなり
汚職しにくい、ということでしょうか。

そういえば、昔、目にした中国の麻雀パイは大きかったです。

いかさまを防ぐためだと、聞いたことがあります。

「だから、官僚が汚職で逮捕されると、警察が
トラックでお金を持っていくヨ」

ほんまかいな・・・。

「新聞に書いてあったヨ」

さすがに中国です。スケールが違う。






ＡＬＡ！中国

中国の老人ホーム７５

住所は日本の住所ですが、お嫁さんはこれが
苦手です。ひらがなとカタカナがあるからです。

仕方が無いので、ワタシが代筆です。

代筆はよいのですが、字が下手なので
恥ずかしいです。

まさか、日本国の恥をここでさらすことになるとは
思いもしませんでした。

入居一時金と、三ヶ月分のお金をまとめて払います。

全部で２万元（４０万円）になります。

中国で一番大きなお金は１００元（２千円）ですから
かさばります。日本の５倍です。

このお金、
ホテルで両替したのですが大変でした。

フロントに両替を申し込んだら、両替機さんを
紹介されました。

両替機なら手数料が不要だそうです。

その両替機は日本円で一回６万円が限度です。

だから何回も両替機に日本円を突っ込むはめに
なります。

百元だけではなく、５０元、１０元、硬貨まで
混じって出てきますので、面倒臭いことおびただしいです。







ＡＬＡ！中国