お母さんがやってくる その２１ マンション買うぞ

　お嫁さんがこんなにも欲しがっている。
ワタシもむげに断る訳にもいかず、観るだけ、との約束の下、
更に、こちこちのマンションを見て回りました。

　彼女は、職場の専務さんにも指示？して、捜してもらったそうです。
　こういう怖いモノ知らずの行動力はワタシには無いものです。
　専務さんの紹介したマンションは、職場から近く、
非常に良かったのですが、残念ながら空きがありませんでした。

　そうこうしているうちに
　とうとう新築のマンションを買わされることになりました。
　思えば、観るだけ、と妥協した時点で勝敗は決定していたみたいです。

お母さんがやってくる その１９ マンション買うか？

　お風呂は寝られるぐらい大きいです。
　トイレとお風呂が別々なのも便利です。
　現在は、お風呂とトイレが一緒なので
お嫁さんがお風呂に入っている時は
トイレは使えません。

　台所だけで生活できそうです。
　リビングなどは地平線が見えそうです。

「わー！　迷子になりそうだヨ」
　３ＬＤＫですから、使わない部屋が出そうです。
　新築ですから、まぶしいです。

「ねー、ようちゃん、買おうヨ」
「ダメです。観るだけって約束したでしょ」

　彼女はぐずります。
　それはおウチに帰ってからも続きました。
「ねー、買おうヨ」
　起きても、寝てもそれは続きました。

お母さんがやってくる その１９

　結局、まじめなマンションを観ることになりました。
　
　予算がどんどん大きくなります。
　観るだけだぞ。観るだけ。
　お嫁さんと自分に、懸命に言い聞かせます。

　一戸建ては、犯罪が怖いのと、近所つきあいが面倒臭いのとで、
対象外です。
　特に、近所付き合いは、私達夫婦の苦手とするところです。

　まじめなマンションはさすがに広いです。
　広いだけではありません。
　光っています。

　彼女と二人で、
「わあー！　なんてでかいんだ！？」
　の連発です。

　入り口はオートロックだし、ドアには二つの鍵があります。
　これも中国人のおかげです。

お母さんがやってくる その１８ マンション捜し

　３０分というのはさすがに歩きがいがありますね。
　緑が多く、景色はキレイです。
　しかし、途中の路は、人通りがとても少ないのです。
　ワタシは、地理的条件としては、彼女の職場から近いことが、
絶対条件と決めていました。
　だから
「こりゃダメだ」
「平気ですヨ」
「ダメ。絶対にダメ。途中の路が寂し過ぎる」
　こればかりは、絶対に、絶対に譲れません。

　ワタシはマッチョ主義ですので、女性の夜の一人歩きは認めないのです。
　認めない、というよりも、心配で心配で、しょうがなくなってしまうのです。
　それに、この値段では、さすが、というほどのマンションで、
　これじゃ引っ越す意味がありません。
　現在の公団住宅と大差ありません。

　お母さんに、こんな情けない男と結婚してしまったのか、
　と思われたのでは、日本男子のメンツ丸つぶれでもあります。
　こういう面子は意味が無い、とは想っているのですが
　こういうプレッシャーが無いと、向上心が出て来ない
　という面はあると想います。

お母さんがやってくる その１７

　さて、マンションの話に戻ります。

「よ～ちゃん、捜してくださいよ」
「やだよ」
「捜すだけですよ。お願いしますヨ」
　おや？
　いつになく低姿勢だな。
　常に強行姿勢を保っている彼女が、珍しく低姿勢です。
　低姿勢で情に訴える戦法・・・。
　こういうのには、ワタシは弱いのです。
　圧力にも弱いのですが・・・。
　結局、捜すだけ、という条件で、妥協することになりました。

　捜して驚きました。
　１５０万とか、２５０万、３５０万というマンションが結構あるのです。
　広さは１ＤＫ、とか２ＤＫですが、ここに比べれば、広いです。
　その代わり、築４０年ぐらいで、駅から歩いて３０分・・・・・。
「そのくらいなら、歩けますよ」
　で、休みを利用して、観てみることになりました。