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森の子ヒューゴ

2014-02-01 20:22:51 | 児童書

「森の子ヒューゴ」 作:マリア・グリーペ 訳:大久保貞子 発行:富山房

4572004455 森の子ヒューゴ (北国の虹ものがたり (3)
マリア・グリーペ 大久保貞子
冨山房 1981-10-08

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このブログをはじめてから5年たちました。
最近更新がたまにしかできず、
(あまり本を読んでないので)
いかんな、とは思いますが、
これからも少しづつ書いていきます。
よかったら、これからも読んでください。
では、またマリア・グリーペです。

ヒューゴとジョセフィーンは2年生になりました。
ジョセフィーンは、ヒューゴがいない学校へはいきたくなくて休んだりしていますが、
ヒューゴがくれば世界はバラ色に変わり(?)、
楽しい時になります。
ある日、クラスに転入生の女の子ミリアムがやってきます。
ミリアムとヒューゴが仲よく(?)なると、
ジョセフィーンの心は穏やかでいられなくなります…。

「北国の虹ものがたり3」。この巻が最後である。
子供たちの微妙な心理や、大人が気づかないような真理に気づかされるこのシリーズ。
今回はヒューゴの役割がかなり大きくなるが、
それでもやはり主人公はジョセフィーンかなと思う。
(ただラストシーンはヒューゴしか出てこないんだが…だからヒューゴが主人公なのか?)
心理的な描写は、ジョセフィーンのものがほとんどだからだ。

今回は読みながら、ここはというところに付箋をつけていった。
かなりたくさん貼ることになった。
例えば、
ジョセフィーンの描写。
「ジュースがいいとヒューゴがいったら、あたしはココア。
でもココアと言ったら、ジュース。なぜ別べつのにするかというと、
ヒューゴがいなくてさびしがっていたことを知られたくないからです。
だって、もしさびしかったら、どうしてもおなじものが飲みたくなるに決まっていますもの。」

「ミリアムに対してだけは、ヒューゴのつきあい方もちがうのです。
だからジョセフィーンはうらやましくて、かっかとやきもちをやいてしまいます。
ミリアムのことならなんでもが、うらやましくてしかたがありません。
(中略)そんなことを考える自分が、ジョセフィーンはいやでたまらないのですけれど。」

ヒューゴの描写。
「おれはいろんなことを勉強したい。いろんなことが知りたい。
けど、いつも学校にじゃまされるんだよなあ。
あちこち歩いたり、航海もしたいんだ――つくえにかじりついてばっかりいたくない……。」

「ぼくはいま、よそのクモの子たちといっしょに、学校のクモのすにつかまっています。
(中略)世の中にはこうして、どこにでもクモのすがあるのです。どの人もみんな、
たくさんのクモのすにひっかかりあって、もがいています。どっちがクモで、
どっちがクモのすにかかったあわれなぎせい者なのか、わからないときもあります。」

このシリーズは対象年齢が小学校中学年以上――とあるが、
どこまでわかるだろうか。うーん直感的に理解できるだろうか?
しかし深いところは大人でないとわかんないだろう。
グリーペは、「わたしが書くのは、こどものためでもおとなのためでもなく、人間のためです。」
と言っているそうだ。なるほど、一見子ども向きのものであっても、
内容的には大人が読んでわかるものを書いたのであろう。
もう一つグリーペの言葉を引いて、本稿のまとめとしたい。
「こどもが小さいからといって、こどものかかえている問題が小さいわけではありません。
生は、こどもにとっても、おとなにとっても、同じようにこんとんとして、
つかみどころのないものなのです。」

"HUGO" by Maria Gripe(1966)


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