軌道エレベーター派

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『ゼロ・グラビティ』観てきました。

2013-12-23 22:19:21 | その他の雑記
 映画『ゼロ・グラビティ』観てきました。はじめに言います。宇宙好きの奴、全員劇場で観ろ!
 ストーリーは、船外活動(EVA)中の宇宙飛行士がデブリの衝突で放り出され、絶体絶命の状況に陥るというもので、『ドラゴンフライ』というか『冷たい方程式』のような状況が次々と襲ってくるという感じ。
 いえね、結構ツッコミ所はあるんですよ。ネタバレは避けますけど、 

 ああなって
 こうなって
 そうなる


。。。ていうのはいくら何でもないだろう(MMUやSAFERでΔv得られんのかあ!?)、と言いたくなるのですけれども、それを上回る映像の迫力がすごい。無重量状態の描写も概ね正確だし(ただし慣性の描写に疑問を感じる箇所はある)、正確という以前に独特のアングルだけでも見所十分です。
 実在する宇宙機(ただし運用年代がバラバラだけど)や宇宙飛行士のEVAを、ここまでタップリ描写した映像作品は初めてじゃなかろうか? とにかくあのダイナミックな映像は一見の価値あり。それも劇場の大画面で観ないともったいない。

 しかし、何より本作で評価したいのはです。おと! Oto! It's Sound! 宇宙空間で聴こえるはずのない音を、効果音としてほとんど入れてないんです。登場人物のヘルメット内に聴こえてもおかしくない音(つまり通信を除けば、物理的に接触していない限り聴こえない音)のみを観客にも聴かせて、これは始めの方の場面なので書いてもいいと思いますが、スペースシャトルにデブリがバカスカ当たるシーンなども、衝突音の大部分は聴こえない。この大パニックと正反対の静寂が逆に多くを物語り、観ている側にも戦慄が走るというものです。
 これだよ、こうでなくては! 『アポロ13』だって音入りだったし、心配していた『宇宙兄弟』も結局音が入っていました(『プラネテス』を超えられなかったな。。。)。しかし私は常々、宇宙は無音で描いた方がカッコイイと思っていました。リアルに描きたかったら無音を恐れるな、と。
 もちろん作品にもよるわけで、『ガンダム』や『スター・ウォーズ』で音なしじゃ話にならない。ですが少なくとも、近未来程度の時代設定で、地球近傍、せいぜい月軌道の内側までが舞台の作品は、音を入れたらかえってカッコ悪いぞ、ただし戦争物を除く、といったところでしょうか。嘘の効果音がない。この点一つとっても、この本作は希有な映画だと思います。
 なお余談ですが、原題は"Gravity"(重力)というのですが、日本公開で正反対の「無重力」というタイトルにしたのは正解だと思う。日本の大衆向けにはこっちの方がわかりやすいです。
 もう一度言う、全国の宇宙オタクたちよ、劇場で観ろ!
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