軌道エレベーター派

伝統ある「軌道エレベーター」の名の復権を目指すサイト(記事、画像の転載は出典を明記してください)

「宇宙エレベーター技術競技会」開催

2011-08-21 21:56:13 | ニュース
 エレベーターで宇宙を目指そう――ロケットを使わずに地上と宇宙を行き来できる「軌道エレベーター(または宇宙エレベーター)」の開発試験を兼ねた「宇宙エレベーター技術競技会」が今月4~7日、静岡県富士宮市で開かれ、参加者たちが宇宙を目指すテクノロジーを競い合った。

 「宇宙エレベーター協会(JSEA)」の主催で、ヘリウムガスを入れたバルーンから吊り下げたひも(ロープ状とベルト状の2種類を交互に使用)を宇宙に届くエレベーターに見立て、「クライマー」と呼ばれる機械が昇降する速さや安定性などの性能を競う。3回目の今年は、昨年の倍の高度約600mまでバルーンを揚げた。
 静岡大や日本大など、全国から6校、3個人による16チームが参加し、遠隔操作式の箱のようなものや、細長い自律制御のものなど、クライマーの仕様やデザインも多種多彩。参加者たちが自作のクライマーをベルトなどに取り付け、プログラムの調整などを終えてスタートさせると、クライマーは甲高い音を上げて上昇。「おし、行け」「いいぞ」などと声が飛び交う中、あっという間に点のように小さくなった。
 期間中、悪天候で競技が中断されることも多かったが、物干し竿のような軽量のクライマーで挑戦し、脱兎のごとき急上昇を見せた個人参加のチーム「Aquarius」が533m/39秒と450m/27秒の好成績で、各大学を押しのけて総合優勝を果たした。大会後、JSEAの大野修一会長は「今年600m級を実現できたので、来年はさらに倍の1200mに挑戦し、未来の実現を目指したい」と話した。

 軌道エレベーターは、地上から宇宙へと伸びる塔のような構造物。高度約3万6000kmの軌道を地球の自転と同じ速さで回る「静止衛星」からケーブルなどを吊り下げて地上と宇宙をつなぎ、これに昇降機を備えて人や物資を輸送するシステムで、訓練を受けた宇宙飛行士でなくとも、安価で安全に宇宙へ行けると期待されている。JSEAはこのテーマに関心を持つ有志が集まり2008年に発足、技術競技会や学術会議の開催などの活動を続けている。
(軌道エレベーター派 2011/08/21)
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