軌道エレベーター派

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軌道エレベーターが登場するお話 番外編(3)宇宙戦艦ヤマト2199(前編)

2013-09-27 23:13:23 | 軌道エレベーターが登場するお話

宇宙戦艦ヤマト2199
原作 西崎義展
宇宙戦艦ヤマト2199製作委員会
(2012年)


 言わずと知れた僕らの『宇宙戦艦ヤマト2199』です。軌道エレベーターと言っていいか微妙なのですが、それっぽいものが登場するということで、番外編として扱うことにしました。ぶっちゃけ中身にツッコミまくりたいという欲求からのコジツケなのですが、とにかく始めましょう。

あらすじ 西暦2199年、星間国家ガミラスの攻撃で地球は汚染され、滅亡まであと1年と予想されていた。人類は救いの手を差し伸べてきたイスカンダル人から技術供与を受け、宇宙戦艦ヤマトを建造。ヤマトは地球環境を浄化させるシステムを持ち帰るため、16万8000光年離れたイスカンダルに旅立つ。1974年テレビ放映された人気アニメのリメイク作品。

1. 本作に登場する軌道エレベーターっぽいもの
 当初は『公式設定資料集Garmillass』を確認してから書くつもりだったのですが、発売日が延期になってしまったので、「もういいや」と映像から推測できる限りの説明をしたいと思います。
 地球とイスカンダルの中間位置にバラン星という星があります。旧作では人工太陽を随伴する惑星で、ガミラスの前線基地がありました。2199では、ここに近道ができる「亜空間ゲート」なるものがあり、地球方面-バラン星-大マゼラン銀河のそれぞれの間のゲートをつなぐ「ハブステーション」の役割を果たしています。このバラン星、中心部に何らかの反応炉らしきエネルギープラントを備えた半人工天体の浮遊惑星です。憶測ですが、自重で核融合を起こす手前の褐色矮星であるために、中心核にプラントを設置して、自然には起きなかった「点火」を誘発させたのかも知れません。
 このため、バラン星にはプラントを制御するための「鎮守府」が設けられおり、これが軌道エレベーターみたいに見えなくもない。(付記 その後資料集を確認したら、確かに「軌道エレベーター」とありました!)途中で屈曲した形になっているので、潮汐による張力でピラーを力学的に支えているわけではなさそうです。もっとも、2199の世界では重力制御が可能なので、問題はないのかも知れません。
 さらにオービタルリングがバラン星を囲っています。これまた憶測なのですが、これはダイソン・スフィアの一種ではないかと。ダイソン・スフィアは恒星を球殻で覆い、天体のエネルギーを余さず利用するシステムのことで、これをリング状にしたものがラリイ・ニーヴンの『リングワールド』(早川書房)に登場します。バラン星のリングはこれと同種のものであり、ゲートや鎮守府のエネルギー維持に活用されていると思われます。ですので、本作では本来の意味のORSの役割は果たしていないと思われ、そんなこともあって番外編にした次第です。なおこれらは元々古代文明アケーリアス(やっぱ商標の関係で名前変えたのかね)が残した遺跡であり、それをガミラスが使用しているとのことです。

 本編では、ガミラスのゼーリック元帥がクーデターを画策し、艦隊をバラン星に集結させたところで地球方面側ゲートからヤマトが出現。一時轟沈を装いながらマゼラン側ゲート手前で180度回頭し、波動砲でバラン星のプラントを撃って(いくら人工天体だからって、冥王星はダメでバラン星はぶっ壊してもいいのかよ)ガミラス艦隊に壊滅的打撃を与え、自らは反作用でゲートに後ろ向きに突っ込み、大マゼランまで跳躍を果たします。旧作にはないオリジナルシーン、いやお見事! 後述しますが、沖田艦長がちゃんとした戦術を展開したのはこの時だけだったのではないかと思います。
 はい、軌道エレベーター絡みの話はここまで。あとは思いっきりツッコミを楽しみます。


2. 登場人物について。新しくなってもヤマトはツッコミ甲斐がある(地球編)
 軌道エレベーターについての解説は済ませたので、あとはアンサイクロペディア風にキャラ別にツッコんで、勝手に楽しませてもらいます。まずは地球側キャラについてです(沖田艦長については、別の節を立てて次回述べます)。

古代進
 普通は殉職者にしか適用されない二階級特進で、ヤマト戦術長に就任。一応主人公だけど影薄すぎ。尖ったところのない人格者に設定変更されちゃって、イジリ甲斐のないキャラになってしもうた。戦術長の割にまともに戦術立案したのは冥王星くらいだし、七色星団から後は指揮らしい指揮をまったくとっておらず、最後の波動砲発射まで南部にもってかれた。「ユキーーーーッ!!」って叫ぶ時の表情は狂気じみてて怖いし。今風と言えば言えるキャラかも知れませんが、レギュラーの中で一番書くことがない人であった。

島大介
 ヤマト航海長。旧作の古代から性格を一部受け継いでおり、普段はチャラいようで、ガミラスの悪口になると激情家となる兄ちゃん。古代と同じく棚ボタ出世で、不幸にもいきなりヤマトの操舵士に抜擢された。全長333m(これは世界最大の軍艦である米海軍のニミッツ級空母と同じ長さであり、縦にすると東京タワーの高さに相当する)という巨大な宇宙戦艦の操舵を担っていたわけだが、大軍に突っ込むわガミラス総統府にダイダロス・アタックかけるわ、沖田艦長ときたら駆逐艦や強襲揚陸艦の所業を無茶ぶり。よくあれだけアクロバティックな操艦ができたものです。キャラ的にはツッコミどころは少ないんだけど、いやホント、ヤマトの勝利って島の操艦のお陰だよね。

森雪
 船務長。旧作ではナヨナヨしているくせに生活班長、看護師、電探と何でもこなすスーパー女だったのが、今作では一見気が強そうで意外にか弱いツンデレキャラに。巨乳→原田、熟女&メガネっ子→新見、ロリ→岬、戦う女性キャラ→山本と、それぞれ視聴者層の需用に応えていたのに対し、いわゆるヤマトガールズの中では埋没気味だったヒロイン。
 この女とんでもない奴で、1話で読み聞かせの形でガミラスとの開戦の経緯(しかも嘘)を解説するのですが、「地球は滅びの道を歩んでいるのです。科学者によれば、人類が滅亡するまでおよそ1年」って、子供になんて話してんだよ。「君たちあと1年で死ぬのよ? ねえどういう気分? ☆(ゝω・)vキャピ」って言われてんのに、次郎(島の弟)も「お姉さん綺麗な顔して病んでますね」くらい言い返せよ。大体いくら土方のコネとはいえ、1年分の記憶しかない人間を責任のある立場につけていいのか?
 結局サーシャたちと瓜二つなのは偶然なの? 「お、今回はそっくりなのは何かの伏線なのか、これは楽しみ」と期待させといてそりゃあないだろう。とはいえ、精神攻撃を受けた時に次元波動エンジンを再起動させて艦を救ったり、ガミラスに囚われて第二バレラスを自爆させたりと、かなり活躍してくれました。1年前は事故に遭い、航海中に誘拐され、終盤では銃撃されて1回死んでと(これは旧作もだけど)、大変な苦労人ではあります。

真田志郎
 ヤマト副長兼技術長。この人なくしてヤマトなし。旧作では眉毛がなくてまるで任侠みたいな顔だったけど、今作ではカタギに。推進用に供与された次元波動エンジンをいじくり、当時ガミラスさえ未完成だった波動砲を開発した。志郎。。。恐ろしい子! きっと空間磁力メッキも出番がなかっただけで造ってあったのだろう。
 しかし、一体誰がこの人を副長に選んだのだろうか? 詳しくは後編で述べますが、艦長不在で指揮中、同じ手口で2度も罠に追い込まれるわ、潜宙艦に位置知らせるわ、戦闘の局面になるとまるっきりニワトリ頭で正しい判断を下した試しがない。山南あたりを副長にすべきだったよなあ。ちなみに「シロシンタ」の名で活躍する投稿マニアらしい。「心のお話」とか出てきたので、てっきり旧作と同じくサイボーグで、機械化された自分の心の有無について悩んでいるのかと思っていたのですが、サイボーグネタは無かったですねK田さん。

徳川彦左衛門
 沖田艦長の信頼厚い機関長。地球に残した家族との通信で、闇物資に手を出すなと怒ってたけど、自分はOMCSでたらふく食ってでっぷり肥えた体で何を偉そうに。

南部康雄
 戦術科砲雷長。旧作よりもイケメンだし、古代よりも遥かにキャラが立っていた大艦巨砲主義者で、なんだかんだで愛されキャラ。「三式弾なら実体弾なので射撃可能です」→「三式弾は射程が短い!」、「いいじゃないか星の一つや二つ」→「ダメだ!」(いやこの場合はいいじゃないか。2199屈指の名言だと思う)、「まあまあ君たち」→「お前は黙ってろ!」と、物語前半は皆に否定されてばっかりだったのに、七色星団会戦では「任せろ、俺は大砲屋だ!」と、特殊削岩弾(ドリルミサイル)を狙撃して敵空母を誘爆させ、何とガミラス本星では本編最後の波動砲発射という大役を果たした! 最後のデスラー艦との艦砲戦でも、古代は艦橋にいなかったから南部が砲術指揮をとっていたに違いない。名セリフも連発して大出世だ。
 この男は2199の中で一番の勝ち組じゃなかろうか? 実家の南部重工は大金持ちで、帰還後はアンドロメダや主力戦艦の建造特需で大儲け間違いなし。ヤマトの砲手を務めたのだから、軍人としても民間に天下りしても一流のキャリアで、帰還後の人生は前途洋洋でしょう。ヤマトクルーの中で一番面白い奴だった。森には歯牙にもかけられなかったが、悪いこと言わんからモリタ製薬の御令嬢にしとけ。

新見薫
 技術科情報長。真田さんの補佐役で、色気ムンムンの美熟女という席を独占。回想シーンの学生時代もサーバント×サービスの人みたいで可愛い。悪だくみをする時だけギラリと光る特殊メガネを装着し、クーデターの画策、特殊削岩弾の反転、ガミロイド兵の殲滅と良くも悪くも大活躍。古代より南部の方がキャラが立ってたように、森よりこのお方の方が注目株でした。
 古代守の恋人だったそうで、旧作のように彼が生きていて、スターシャとドロドロの三角バトルになるのを見たかったんだが。
 ちなみにクーデターの時は島や藪を色仕掛けで籠絡しておいて、その島と星名に一杯喰わされ、形勢不利と見るや「もうやめてよ、こんなこと!」と、あたかも自分は反対してたかのように、巧みにポジションを変えて保身に走る変わり身の早さ。さすが頭脳明晰だけど、
お前がそれ言う? (゚Д゚ )
 こんなあざとい姿を見て泉下の守はどう思うことか…「汚れちまった悲しみに…」
 クマさん柄のマグカップとハンコ(古代と島のバツ当番表参照)を愛用。ちなみに技術科では桐生美影も可愛かったのう。

佐渡酒造
 ヤマトの艦医で、佐官待遇の軍属。今度は誤診すんなよ。

加藤三郎
 戦術科航空隊長。古代と島を殴りつけたが、その後二人が飛び級で上官になってしまった時は面食らっただろう。単純で喧嘩っ早いけど、スジの通った熱血漢で人情家という、2199の中では古典的・正道的キャラ。太陽系赤道祭で坊主の格好で表れ周りをドン引きさせていたが、やっぱり太田にかつがれたのだろうか? 航海中に原田とくっついて子供までできた。下世話な話ですが、原田と一体ヤマト艦内のどこで子作りしてたのか? 原田は岬と同室なので、おそらく士官として個室を与えられていたのであろう加藤の部屋に原田が夜這いをかけていたと考えられる。寺の息子のくせしてこの破戒僧! 駄目だよーさぶちゃーん。

原田真琴
 這いよれ!ニャル子さんばりのアホ毛が特徴の巨乳衛生士。佐渡先生に付き従って乗艦しましたが、こともあろうにメイド服を持ちこんでいたコスプレ趣味の持ち主。制服のタイツ部分のファスナーを締めず、セパレートのスカート状にしたり、イスカンダルで水着シーン(この水着も制服のパーツらしい)を提案したり、最終話では花嫁姿を披露したりと、見られるの好きなんだろうね。法衣や袈裟を持ってた加藤とゴールインしたのは当然の成り行きか。マジメに言うと、二人の子供が、ヤマトのお陰で復活する地球で生きて行くのだから、クルーも報われると思う。

山本玲
 戦術科航空隊員。女性に設定変更された。髪が長かった頃の姿は確かに旧作の山本っぽい。コスモゼロを乗っ取ったのにお咎めなしで、そのままα2のパイロットに収まってしまった。ホントにヤマトの規律ってどうなってるんだよ。そのくせメルダとのドッグファイトでは、α2が勿体ないからってファルコンで出撃した揚句、機体をオシャカにしてしまった。さすがに今度は営倉入り(あたり前だ)。気があった古代を森にとられてしまったが、森に火を付けたのは山本自身だったんじゃないかと。艦の修理にかこつけて古代とイチャイチャしてるところを目撃し、森は「他の女のものだと思うと欲しくなる」とばかりに対抗心を燃やし、ある時期から積極的になったのである。マゼランパフェがお好み。人類史上初めて異星人と女子会を開いた人物。

岬百合亜
 船務科の士官候補生。ユリーシャに憑依されたお陰で記憶がとぶわ、ラジオヤマトも放ったらかしになるわでハタ迷惑だったことだろう。しかしユリーシャ憑依中の方が髪下ろしてて可愛かった。「まさかイスカンダル人が憑依していたなんてさ~」って南部、憑依というオカルト現象についてはスルーかよ。まあ次元波動エンジンの副次的効果なのでしょうが。森に憧れているらしいんですが、将来はどちらかというと山本か新見みたいなキャラになると思う。

相原義一
 船務科員。旧作では雪国出身でホームシックにかかり、1人で地球に帰ろうとして宇宙服のまま漂流する(それをスケスケのネグリジェ姿でくつろいでいた森が発見するのである)という、かなり気弱な人でした(最終話の母親を心配する下りはその名残りなのだろう)。岬に気があったらしいが、実社会では女子高生だぞこのロリコン! どのみち星名にとられちゃったんだけど。

榎本勇、岩田新平、遠山清
 メ2号作戦で冥王星の海で艦内に浸水した際、「宇宙船で溺れ死んだりしてみろ、シャレにならんぞ!」と激を飛ばしていた榎本さん。アンサイクロペディアでもツッコまれてましたが、そういう自分は帆のない宇宙船の掌帆長って、シャレそのものじゃねえか。しかも修理が終わると「これで地べたに足付けて闘えますよ」と、シャレを言いたいのか禁じたいのか。
 この榎本さんにパワハラを受けていた岩田と遠山、ブリッジクルーよりもよっぽど印象が強かっただけに、最後の最後で何の前フリもなく射殺されるという末路。いやもう可哀そうとしかいいようがない。アケミちゃん未亡人決定、お気の毒です。太陽系赤道祭で裸の大将のコスプレ見たかったぞ遠山。

藪助治→ヤーブ・スケルジ
 旧作では、イスカンダルで森を拉致して艦から脱走した機関士。今回は反乱の挙句、ドサクサにまぎれてレプタポーダに残ったと思ったら、何と次元潜航艦UX-01に乗艦していて、エンジントラブルから艦を救った。劇場公開ではカットされてたから本当にびっくりしたぜ! 戦艦はダメで潜宙艦ならいいというのはよくわからないが、ある意味、腕一本で宇宙を渡り歩くたくましい人間ということだよね。さすが俺たちの藪!
 もしヤマトが撃沈されて地球が滅びたら、地球人の生き残りは彼だけになってたかも知れないのだから、ある意味貴重な人材だ。もし続編が作られたら、ヤマトの危機に駆けつけるのを期待してるぜヤーブ。

AKB48
 何の話かと思われるでしょうが、乗ってるんだよ、ヤマトにAKBのメンバーが! 大島(夏樹)、柏木(紗香)、篠田、梅田、峯岸、岩佐の6人(その後宮澤、松井、板野など、ほかにもそれらしき人物に気づきましたゴメンナサイ。さらにいるかも)。卒業したせいか顔面センターの人はいない。いずれも下士官か軍属あたりと思われ、太陽系赤道祭などに登場してました。それぞれ面立ちが実物をとらえていて可愛い。公式設定資料集Earthで柏木が特に大きく載っているのは、デザイナーか編集者がゆきりんファンなのかしら? 「由紀」という名前は森雪からつけたって本当なのかね? でも鼻はニンニクじゃない。最終話で新見女史の近くで噂話していて目立っていて、OMCSのモブが多いみたい。ヤマトの歴史に足跡を残したとは、本人たちは知っているのだろうか? AKB。。。恐ろしい子!!!

 ちなみにヤマトの乗員が日本人ばっかりなのは単なる「お約束」であり、22世紀の未来において多国籍じゃないのはリアリティがないという声もあるようですが、純軍事的にみれば、命令の上意下達が齟齬なく行われるためには、部隊は母国語が同じ人員で統一された方が効率的なのは言うまでもない。DQNネームの乗員がいないのも多いに結構。これでいいのである。いや、やっぱりヤマトはこれでなくちゃいかんのである。

 ──好き放題書いてたら、地球側だけでとんでもない行数になってしまったので、次回に続きます。後編はガミラスとイスカンダルのキャラうんぬんと、ヤマトの戦闘の仕方について述べようと思っています。TV版最終回の今月30日にアップ予定です。

後編に続く
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