軌道エレベーター派

伝統ある「軌道エレベーター」の名の復権を目指すサイト(記事、画像の転載は出典を明記してください)

終わりの始まり

2011-03-08 21:32:25 | その他の雑記
 今年の初めに掲載した、軌道エレベーターの構造図にちょっとだけ修整を加えて以下のようにしました。画像を軽くしてあるので見づらいでしょうが、何が変わったかわかりますか?




 そうです。スペースシャトルが逆さまになり、ペイロードベイを開いているのです。
 
 シャトルはミッションによって軌道上で色んな姿勢を取るので、別に必ずこうでなければいけないわけではありません。ですが、姿勢に目的を持たない場合は、比較的この姿勢でいることが多いらしいので、このように変えました。
 別に前の図でも間違っているわけじゃないし、そもそもこの図全体が細部をデフォルメし、記号化して作っているのですが、なんか引っかかっていたのです。知らない人が見れば「あれ、逆さまだ?」とかえって変に思うかも知れませんが、見る人が見れば「わかってるなこいつ」と思ってもらえるかも知れません。

 シャトルは間もなく全機引退する予定であり、先日もディスカバリーの最後の打ち上げが行われたばかり。議会の予算下りたらしいから、あとエンデバーとアトランティスが続くと聞いています。ひとつの時代の、終わりの始まりです。
 そのいわば引退選手を軌道エレベーターの説明図に取り入れるのは、時期的に合わないという指摘もありました。しかし、日本人にとって一番親和性の高い有人ロケットは、やはりスペースシャトルだと思うのです。日本人宇宙飛行士が一番たくさん乗った機体でもあったわけですし、この状況はしばらくは変わらないと思います。
 何しろ無駄の多い乗り物だったので、軌道エレベーターの引き立て役としても惜しまれます。シャトルの悪口を吹聴していたのはほかならぬ私自身なのですが、私は常々、議論や競争のないところに発展はないと言っていて、どんな分野でも成長するためにはライバルや仮想敵が必要なんですよね。その意味で、スペースシャトルは軌道エレベーターにとって、この上なく偉大な好敵手でありました。それが消えていくのは、宇宙マニア(?)として複雑というか、一抹の寂しさを感じずにはいられません。
 そんなわけで、こんなちんまい絵なのですが、役割を終えて舞台を去っていくシャトルへの、せめてもの敬意、あるいはエールとでも言いましょうか。ささやかなこだわりで再制作しました。