奥 山 豊 和 (おくやま とよかず)公式ブログ

培った経験と人脈を活かし、生まれ育った故郷を元気に。
対話重視、市民が主役の市政運営を取り戻します。

議会改革への意思。

2018-02-18 23:48:59 | 日記

昨日は、お隣岩手県北上市にて、同市議会主催のフォーラムに参加して参りました。

例年横手の冬も、かまくら・ぼんでんが過ぎれば春に向かっていくと言われていますが、昨日は行き帰り大変な吹雪に合い、戻りは湯田ICを過ぎたところで足止めを食らいました。

農協青年部の新年会の席でも話題になりましたが、この雪は消えて無くなるのだろうかと、春仕事に影響が出ないか心配になる位、まだまだ容赦ない今年の冬です。


さて、北上市議会の研修テーマは、「これからの議会・議員のあり方について~議員の報酬と定数を考える~」ということで、そのものズバリの重い課題であった。



横手市議会からは、議長はじめ事務局含め7名の参加であったが、何を感じ、何に気付き、これから具体的に議会全体としてどんな行動に移していけるかが問われている・・・

研修会は2部構成となっており、はじめは北上市議会のこれまでの議会改革の取り組みについてご紹介を頂いた。

昨年の議会広報の行政視察で一度お伺いしており、積極的な広聴活動についてのお話はお聞きしていたのだが、改めて意識が高い議会であるということを実感した。

平成23年12月の議会基本条例制定後、24年8月の議会改革推進会議の設置以降、改革のスピードが益々加速していっている印象を受ける。

「開かれた議会、議会への市民参加」については、市民と議会をつなぐ会、いわゆる議会報告会を開催し、対象の多様化とワークショップ形式ということで、16自治区全てに出向くだけでなく、様々な団体や市内高校生との意見交換会を実施しており、議会に対して出される請願や陳情の審査の際には、提出者を必ず議会に招いて意見を聞くほか、議会モニター制度も実施している。

「政策立案機能の強化」については、通年議会を実施し、常任委員会の活性化と機能強化を図っている。

この通年議会。

普通のパターンだと3月、6月、9月、12月の4回、議会の招集は市長の権限であるため、議会の意思で本会議を開くことは通常できない現状のルールを、会期を通年とすることで、「開会と閉会の手続きを休会と再会に改めることで、議長が会議を開く権限を持つ」ことになり、いわゆる「議会を開くいとまがない」理由からの市長の「専決処分」は大きく制限されることになる。

二元代表制下における議会の権限を深く考えたとき、市長の提案する予算や政策を議会がチェックするだけでなく、主権者であり納税者である市民の立場に立った、その意思を代弁する政策提言を行う機能としての議会の在り方が問われているということは、これまでも度々述べてきた通りである。

通年にすることで災害を含め突発的な事案や緊急性のある課題に、これまで以上に素早く対応できることになり、常任委員会という枠組みでより充実した活動、詳細な調査により政策提言を行える環境が整備されることになるのだ。

「当局の提案に間違いはないという感覚」であれば、議会は年4回で十分だし、議会として、執行部の事務執行が公平公正に行われているのかをチェックだけしていれば事足りていたのだろう。

しかしながら、突っ込みどころ満載で出されてくる予算や政策に対し、議会が歯止めをかけていかなければ、そのまちはきっと間違った方向に進んでしまうのだろうし、それは選挙を通じて市民の負託を得ている我々が、議会全体として責任を果たしていないことでもある。

横手市議会においても、週明けからいよいよ3月議会モードに突入するわけだが、どうやら大盤振る舞いらしい新年度予算の大枠は総務文教常任委員会に示されただけだし、たった1度の行政課題説明会にて異論の出た案件が平然と当初予算に盛られていたり、新規事業にも関わらず所管の委員会ですら一度も協議がなされていない政策も見受けられる。

当局側の姿勢がいつまでたってもそうなのだとすれば、議会全体として行動に移さなければならないのだ。

あくまでも通年議会は手段の一つであるが、常日頃から議論できるシステムに、議会と当局が市民の意思を踏まえたキャッチボールができる環境整備を、議会の責任として私たちがしていかなければならないのである。

議会改革の本質はそこにあるように思う。

最も、異論が出ているのはごく一部であって、多数決で通ればいいという感覚が仮に当局側ににあるのだとすれば、「いちいち文句をつける議員」の少数意見など無視してしまえばいいのかもしれない。

政策決定に議会の意思=市民の思いが反映されないのであれば、否決なり修正することをためらってはいけないし、それができない議会など、市民の負託を受けていることにはならない。自らの二元代表制の否定である。

北上市議会では、平成3年の三市町合併以降、議員定数や報酬の在り方について様々な角度から議論をしてきたようだ。

通年議会の実施によって明らかに増えた議員の活動量を調査してみたものの、個人の記憶により集計したため正確さが確保できなかったり、活動の個人差があまりにも大きかったため、その平均値を議員活動の目安としていいものかといった問題が出てきている。公務といわれる議会活動には差は出ないかもしれないが、その質を高めるための活動こそ不可欠であり、そこをいかにして見える化していくのかというのも大きな課題なのだろう。

若い世代や女性を対象としたワークショップ形式による意見交換会で出された議会や議員に対する率直なイメージとしては、自分じゃなくても他に誰かがやってくれるだろうという政治に対する無関心、他人事の姿勢が見てとれる。

また、選挙に対する抵抗感や、生活の保障がないこともチャレンジに二の足を踏む要因にありそうだ。

このことからも、議員定数を考える視点としては、性別や年齢、地域性や職業など、多様な民意を反映させるためには、定数は多い方が望ましいのだが、委員会構成など議会に求められる機能の確保と充実を考えれば、最小限いなければならない人数もあるわけで、人口や財政規模など他市との比較も必要だ。

報酬についても、議員の役割や議員に求められる働き方と、個人差の大きい議員の活動量の間をいかに埋めていくのかというのは、大変難しい課題である。

北上市議会では、この永遠のテーマとも言える難しい課題に、恐れず怯まず積極果敢にチャレンジしようとしている。
改選の折り返し時期にあることから来年度には特別委員会を設置し、次の選挙には若い世代の挑戦を促すためにも、ある程度の方向性を示す方針のようだ。

今後も近隣の先進的な取り組みに注目していきたいし、我々も決して議会改革の歩みを止めてはならない。


第二部は、元三重県知事の北川正恭先生のお話。

横手市にも一度お越し頂いていて、大変刺激的なご指導を頂いているお馴染みの方である。

県議・衆議院議員を経て三重県知事と、半世紀に亘り議員としても首長としても裏の裏を知り尽くしている大政治家がお話になる二元代表制の意義には説得力がある。

定数を減らし、報酬を減らし、政務活動費を減らす・・・

減らすことがこれからの議会改革ではないと、チェック機能ではなく、真に政策提言できる議会に生まれ変わらなければ、地方創生など成しえないということである。

中央集権体制から地方分権に変わった前提に、「議会としての立ち位置」があるべきなのだ。

議会を構成する議員一人ひとりが存在感を示していかないと、「議会の信用」は決して高まらないというご指摘は、「議会の在り方」を考える我々への叱咤激励にも聞こえる。

国が華々しく掲げた「地方創生」。にも関わらず、結果としては東京一極集中は加速しているのが事実である。

しかしながら、何も変われない自治体は置いて行かれることだけは確かなんだろう。同じように、「目覚めた議会と寝ている議会」の差が広がっていくのも、平成の次の時代なんだろうと思う。

地域が自立しなければならない時に、市民の代表である議会が市民の意見を背にそれを執行部に伝えていくことができなければ、間違っているものに反対をし修正をかけられないのであれば、それは市民のために故郷の未来のために仕事をしているとは言えないのだ。

横手市議会においても、議会基本条例の検証を踏まえて個別具体的に様々な議論を展開している最中である。そもそもの方向性というか、議会の意思がバラバラなままでは議論する時間の無駄だし、どういう方向に議会があるべきなのかという議長の明確なリーダーシップも、その前提として必須であるように感じている。

研修を受けてその場限りではなく、我々も具体的にどんな行動に移せるか、そのための具体的な指示があるかどうかが問われている。

「寝ている議会」にならないためにも・・・


追伸・本日、横手市体育協会主催による「平成29年度横手市スポーツ賞表彰授与式」に参加してきました。



団体の運営にご尽力された方々の功労賞はじめ、各種大会で優秀な成績を収めた小中高生に賞が贈られました。

オリンピックが絶賛開催中ですが、大きな試合で結果を残すことの大変さは私自身も身に染みているところです。さらなる高みを目指して、感謝の心と謙虚さを忘れずに、これからも努力し続けてほしいものです。


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