おかずさんの読書

ビジネス・歴史を中心に読んだ本の感想を記載

藤井聡太論

2021-08-29 20:16:27 | 囲碁・将棋
「藤井聡太論」 谷川浩司著 講談社

 加藤一二三が書いた「羽生善治論」とよく似ている。すなわち、将棋の天才が、自らより若い将棋の天才について語るとしながら、自分自身の話が多い。
 自分の経験や自分のとの比較で藤井プロのすごさを語るが、話が色々と飛び、将棋好きにはたまらないかもしれないが、藤井プロの話を知りたい者にとっては読みにくい。
 詰将棋の創作に関する記述は、知らないことが多く興味深く読めた(将棋とは異なるゲーム。詰将棋を考えることは棋力向上に役立つが、創作することは、あっという間に一日が過ぎ、棋力向上にはあまり役立たないなど)。
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うつ病九段

2021-01-04 21:00:02 | 囲碁・将棋
「うつ病九段」 先崎学著 文春文庫

 筆者が長年にわたり週刊文集に掲載していたコラムなどを楽しく読んでいた私。本書もうつ病の発症から回復までの過程を、家族・親族・棋士仲間との交流を交えながらわかりやすく記載してあり、楽しく読めた。
 うつ病が気持ちの持ちようではなく、脳の病気であることがよく分かるとともに、うつ病の症状が赤裸々に記載されており、うつ病を知ることにも役に立つ。
 また、将棋界という限られた特殊な世界で生きる棋士達の心温まる交流が描かれており、一つのことに傾注できる才能・努力に憧れる。
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盤上の向日葵

2020-11-27 21:11:57 | 囲碁・将棋
「盤上の向日葵」 柚木裕子著 中公文庫

 1泊2日の出張の移動中に読んだが、ぐいぐい引き込まれ、1日半で上下2巻を読破。
 主人公の育った家庭環境に涙し、主人公に迫る警察にドキドキし、命をかけた将棋の勝負にハラハラし、将棋の駒という文化・芸術の世界に触れ、色々と盛りだくさんなサスペンス。
 
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幻庵

2020-09-21 16:21:03 | 囲碁・将棋
「幻庵」 百田尚樹著 (株)文藝春秋

 面白い。上・中・下で1000ページを超えるが、読み始めると止まらない。一週間で読破。
 江戸時代に活躍したプロ棋士の十世井上家当主幻庵因碩の生涯を描いた小説。
 幼少期に服部因淑にその才能を見いだされ、数多くの棋士と戦いながら名人を目指すもかなわなかった生涯。弟子の死や妻の駆け落ちなど様々な困難に遭いながら、ひたすら囲碁の修行に励み、数多くの棋譜を残している。
 江戸時代の棋士の育成・生活・お城碁の位置づけなど、様々な情報が盛り込んであり、囲碁好きにはたまらない。コミや時間制限がない江戸時代の碁は、一手に何時間もかけれるし、何日でも続く。体力が必要で、まさに命をかけている。
 すごく、囲碁が打ちたくなる一冊。
 
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羽生善治論ー「天才」とは何か

2013-06-21 05:17:39 | 囲碁・将棋
「羽生善治論ー「天才」とは何か」 加藤一二三著 角川書店

 加藤一二三が羽生善治を語る。タイトルに引かれて即購入。
 しかし、内容はかなりタイトルとは違う。。。筆者自身がいかに「神武以来の天才」かが続く内容。特に最後の羽生VS加藤の3番は、加藤が2勝・羽生1勝の公式戦が紹介されており、本書の最後は加藤が羽生に勝った一番で終わり、読み終えた後に違和感。

 もっとも、筆者が自分の棋士としての過去を振り返り、戦いの中で感じてきたことをまとめたと受け止めれば、楽しい一冊。棋士はやはり自分自身を天才と思うようなところがないとなれないと感じる。また、自慢話も嫌みがなく、そのままに受け止められる。
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大局観

2011-07-03 18:03:33 | 囲碁・将棋
「大局観」 羽生善治著 角川書店

 将棋の羽生棋士が「大局観」というタイトルで書いた本。筆者とタイトルだけで、既にすごい魅かれる。
 内容も将棋を中心にしながら、長嶋茂雄や映画のアバターなど色々なものについて、筆者の考え方が語られている。羽生氏が書けば、すべてオーラを感じるのだが、特によかったのは以下のような内容。

 ・リスクを取らないことが最大のリスク(頂点を極めても現状に満足せず、日々新しい戦術などを研修・実践している)。
 ・知識や知識は大きな意味や価値はない。実際に活用して初めて意義を持つ(情報ばかり食べていると、情報メタボになる)。
 ・坂田三吉の「今にわかる」のエピソード(昭和12年の初手端歩の疑問手に対し、坂田が言った言葉。21世紀になって理解される)。
 ・大局観は、多くの経験から培われるもので、自分以外の人間の過去のケースをたくさん見ることでも磨かれていく。
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勝利は10%から積み上げる

2010-03-06 18:33:35 | 囲碁・将棋
「勝利は10%から積み上げる」 張栩著 朝日新聞出版

 筆者は、台湾出身の囲碁棋士で、現在、日本最強。囲碁の弱い私から見ればまさに神様。
 この筆者が、囲碁に対する思い、家族、自らの歩みなどを記載。囲碁好きの私は、休むことなく一気に読んだ。
 400年前からプロ制度のある日本の囲碁界であるが、最近は、中国・韓国にまったく勝てず、悔しい思いをしているが、本書は囲碁をそして日本の囲碁を愛する筆者の思いが伝わり、すごく嬉しく感じた。
 また、勝負に関する多くの名言。超一流のプロが語ると説得力と凄味がある。
 ・「最後に勝ちたい人は本当に勝ちたい人」
 ・「あたりまえのことが確実にできる人が本当に力のある人」
 ・「言い訳をしているうちは本当の力はつかない」

 ところで、途中に奥さんの小林泉美のコラムがあり、既に有名な話だが、デートで詰め碁を解かされたいたというのは笑える。
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囲碁の名棋士たちの頭の中

2010-01-10 06:40:02 | 囲碁・将棋
「囲碁の名棋士たちの頭の中」 荒谷一成著 中経出版

 朝日新聞の観戦記者だった筆者が、現在の有名棋士12名について書いた一冊。毎週、囲碁新聞を読んでいる私にとっては知っている内容がほとんどだが、囲碁ファンにとっては大変楽しい本。休むことなく一気に読んだ。

 本書を読むと、囲碁の棋士といっても色々な人がいて、それぞれ棋風だけではなく、私生活なども様々なことがよくわかる。
 ・先妻が13歳年上で、再婚相手が15歳年下の小林光一プロ
 ・NHKとケンカして、名人でありながらNHK杯を欠席した依田紀基プロ
 ・デートで自作の詰め碁を渡していた張プロ(妻の小林泉美プロが、これを解かないと交際が行き詰ると思って一生懸命解いたのがかわいい)
 ・慶応卒で夫がJリーガーの梅沢由香里プロ(最近スズキのCMにも出ており、かわいいのはよくわかるが、そろそろ「囲碁界のアイドル」は年齢的に厳しいのでは)

 このような各棋士のことも知って囲碁を観戦すると、さらに楽しくなるので、囲碁ファンの方には読むことをお勧めします。


 
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わが天才棋士・井山裕太

2009-11-01 17:43:46 | 囲碁・将棋
「わが天才棋士・井山裕太」 石井邦生著 集英社

 史上最年少で名人となった井山裕太。彼の師匠が井山裕太を語った一冊。
 囲碁好きの私は、井山裕太の成長の軌跡がわかり、楽しく休憩なしで一気に読んだ。また、師弟愛にあふれた筆者の心が伝わる。
 弟子が師匠を超えても(公式対局はなんと石井九段の3連敗)、弟子は弟子。昨年名人を獲得できなかったときに、「次が勝負だよ」と言い、「はい」と力強く答える井山。手紙、インターネット、対局など、色々な方法で長い年月をかけて指導してきた師弟の固い絆を感じた。

 しかし、囲碁のプロとは過酷な世界。井山裕太は小学1年生で石井九段に弟子入り。12歳でプロになり、中学生の時から対局の時は学校欠席。高校には進学していない(ちなみに、囲碁のプロには東大出身のもいるが、トッププロは中卒が多い)。子ども時代から遊びもほとんどせず、囲碁づけ。
 井山裕太名人! 世界戦で中国・韓国を破り、もう一度日本の囲碁を世界の頂点に導いてくれ。
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プロ棋士の思考術

2008-07-05 13:17:47 | 囲碁・将棋
「プロ棋士の思考術」 依田紀基著 PHP新書

 ここ数年、囲碁にはまった私。全然強くないが、囲碁界のことには詳しくなった。
 本書の筆者は、私の好きなプロ棋士。国際戦に強く(日本は、韓国、中国に勝てないのが現状)、和装で対局、民主党の小沢党首の囲碁の師匠。期待して本書を購入。

 今まで知らなかった依田プロの半生が書かれており、知らなかったことばかり。学校の成績はオール1に近かったこと、酒とギャンブルに溺れていた時期があったこと、碁盤の線が擦り切れるほど囲碁に打ち込んだ時期があることなどなど。一気に読み終えた。
 私からみれば、神さまであるプロ棋士も人間であり、いろいろな過去や悩みなどがあることがよく分かる。

 感銘を受けたところは、ギャンブルと酒に溺れていた時代に、先輩棋士の故上村九段から「碁が弱い碁打ちの人生ほど、惨めなものはないよ」と言われ、立ち直ったところ。人生に深い影響を及ぼす言葉てあるだよね。


 
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