おかずさんの読書

ビジネス・歴史を中心に読んだ本の感想を記載

宇宙は何でできているのか

2010-12-29 10:50:57 | 科学
「宇宙は何でできているのか」 村山斉著 幻冬舎

 面白い。宇宙を構成するものを分かりやすく解説してあり、日本人のノーベル賞受賞者の功績などにも触れている。最新の物理学は、ここまで宇宙を解明しているとともに、まだまだ未知のものが多いこと両方に驚き。
 例えば、宇宙が膨張していることは知っていたが、膨張の速度が加速しており、この加速をもたらしている正体不明の「暗黒エネルギー」が、宇宙の7割を占めていることなどは、我々の日常生活では創造もできない。
 太陽系の属する天の川銀河が、45億年後にアンドロメダ銀河と衝突する予定と書かれているが、中の神秘を感じる。
 また、原子より小さい素粒子について、新しい理論が色々とでるたびに、それを膨大な設備で実験して検証していることも、当たり前かもしれないが感動した。
 ただし、第3章・第4章の素粒子のあたりは、悲しいかな文系の私にはなかなか理解できない(もっとも、これ以上にはやさしく書けないと思うが)。
 
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これから「正義」の話をしよう

2010-12-26 17:02:17 | 社会
「これから「正義」の話をしよう」 マイケル・サンデル著 早川書房

 今年度話題になった本で、かなり以前に購入したが、なかなか手をつけず、読み始めてからも読み終えるまで1カ月。
 具体的な事例を交えて、なにが「正義」かを考えさせてくれる。自分はどちらを選択するかを考えることとなるが、哲学が苦手な私には辛い。読みをえた後も、いまだ頭が混乱。
 結局、絶対的な「正義」などなく、一人ひとりが判断することになることだけがよくわかった。
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激安のからくり

2010-12-26 12:47:39 | ビジネス
「激安のからくり」 金子哲雄著 中央公論新社

第一章では,激安ジーンズ,100円バーガー,低価格スーツなどが,なぜ安くできるのかを記載している。日経新聞などを通じて得られる情報が整理してある程度であまり驚きはなかったが,分かりやすく読めた。
第二章では,激安に関係する経営者(中内功、鈴木敏文、柳井正,安田隆夫)について簡単に記述し,第三章で筆者の激安に関する意見が述べてあるが,こちらは楽しかった。例えば,安売りに徹していたダイエーやイトーヨーカドーが,「付加価値」という言葉を使い始めて,固定費を膨らませて衰退していったこと。
筆者は,激安は「消費者」という立場で見れば歓迎かもしれないが,「生産者・労働者」という立場で見れば,自らの首を絞めているとして,行き過ぎた激安に否定的である。私も全く同感。商品の生産・販売に関わる人にも一定の利益を与え,国全体として豊かになるという視点が日本には必要。


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枯れるように死にたい

2010-12-19 14:30:28 | 社会
「枯れるように死にたい」 田中奈保美著 新潮社

 妻に薦められた一冊。医療技術が進んだ現代において、高齢者の死はどうあるべきかを深く考えさせられた。
 現在は、老衰で衰弱しても病院へ入院することが多く、多くの日本人が病院で死亡する。そして、多くの病院が「病気を治す」ことを使命として、食事ができなくなれば、点滴→経鼻栄養(鼻から管を通して胃へ栄養を送る)→胃ろう(お腹に穴をあけ直接胃に栄養を送る)として、必要な栄養を与える。この結果、寝たきりで会話もできない状態で何カ月・何年も生き続ける。

 この現状に大きな疑問を抱き、人工栄養による延命治療を行わず、自宅で自然な最後(干からびて死ぬ)を向かえることが、当該高齢者の尊厳をもった死であるとする筆者。確かに、私自身、回復する見込みもないのに、食べたくもないのに、無理やり栄養を与えられ、意識もない状態で生きることを望まない。
 ただ、このような情報や経験から離れた今、弱った人を目の前にして、何もしないのはすごく辛く勇気がいると思う。周囲からの誤解(病人を放置して衰弱死させた)、親族間の意見の相違(植物人間でもよいので、一日でも生きてほしい)、日に日に衰弱する人を見守るだけの辛さなどなど。
 生きているうちから、自らの死に方を真剣に考え、家族と話し合い、紙に自らの意思を記載しておくことが必要と強く感じる。

 なお、本書は筆者の経験をベースに書かれており、客観的なデータがあれば、もっと説得力があると感じる(例えば、パリの老人施設への訪問経験をベースに「ヨーロッパに少ない延命治療」としているが、これを信じてい良いのか判断できない)。
 
 
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「英語公用語」は何が問題か

2010-12-18 19:09:36 | 英語
「英語公用語」は何が問題か 鳥飼玖美子著 角川書店

 楽天やユニクロに代表される英語の公用語化について,英語教育の専門家が見解を述べている一冊。
 内容は「日本企業なら日本語を使用言語にして当然。日本人が圧倒的に多い会社で社員同士が英語で話すことは不自然」という極めて常識的もの(鳥飼氏が書くと説得力が高い)。
 また,経済界が「仕事で使える英語」を求めることが,英語教育をゆがめていると警告している。筆者は学校英語の使命は「英語が必要になった場合に,少しの努力をすれば対応できるくらいの一般的な英語の基礎を教育する」こととしており,英語教育の現場の実態(既に20年前に読み書きからコミュニケーション中心に転換していることなど)を把握せずに,経済界が速効を求めて教育現場を駆り立てているとしている。
 私自身の経験でも言えることだが,日本においては日常生活で英語は不要であり,この環境において学校教育だけに英語の能力向上の責任を負わせることは無理。また,英語の能力を習得するには,膨大な努力と時間が必要であるとともに,その維持にも多くの努力と時間が必要となり,これをすべての日本人に課すことは,時間の浪費であり,真に英語が必要な人のみが習得すればよい。
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日本の原発技術が世界を変える

2010-12-12 13:34:50 | エネルギー
「日本の原発技術が世界を変える」 豊田有恒著 祥伝社新書

 小説家の筆者が分かりやすく原子力発電の歴史・日本と世界の現状について書いた本。
 専門的・技術的なことも、たとえ話などを用いながら分かりやすく記載しており、原子力発電の概略・現状を知るのによい本と思う(ただし、話が多岐にわたっており、詳しく知りたい人には情報が足りない)。特に、原子力と言えば、いまだ否定的な報道や書籍が多いなかで、冷静に分析し肯定的に記載していることが嬉しい。

 筆者は日本の原子力発電の技術が世界最高水準にあり、世界に広める独力をすべきと主張している。ただし、技術力だけでは勝てないのが、原子力発電の世界。フランス、ロシア、中国なども積極的に活動しているし、世界第6位の原子力発電保有数を有する韓国も、世界各国の原子力発電建設の受注獲得に国をあげて取り組んでいる。日本も政官民一体の取り組みが必要

 原子力発電に反対の人にも読んでほしい本。
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無縁社会

2010-12-05 21:47:49 | 社会
「無縁社会」 NHK「無縁社会プロジェクト」取材班 文藝春秋

 NHkの番組は見ていないので、この本で初めて「無縁社会」について知った。衝撃的な内容。 人間の死という部分で現代の日本が抱える問題の一つが浮かび上がっている。
 官報に掲載される「行旅死亡人(行き倒れで亡くなった身元不明の方)」が年間3万2千人。自宅でひっそりと亡くなり、死期かなりの期間がたって発見される人、親族から遺骨の引き取りを拒否される人、様々なケース・事情があるにせよ、人間関係の希薄化が進んだ結果。
 社会・技術の進歩(??)のおかげで、生涯未婚でも不自由なく、地元や親族と縁を切っても一人で生活できる現在。他人との関わりをあまり持たなくてもよい社会は、確かに居心地がよいかもしれない。しかし、行く着く先は、孤独な老後。
 本書の中では、銀行員や看護師として、誇りと生きがいをもって働いていた人が、退職し年齢を重ねることで、孤独化している内容が書かれている。当然であるが、仕事は社会とかかわっていく上で大切なものだが、一生を保障するものではない。家族・親族・地域での自分の居場所を絶えず維持していくことの大切さを痛感。
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